日常に潜むExtraordinary(普通じゃなさ)を切り取りたい
京都国際写真祭 Kyoto Graphie 2018「The Hatarakimono Project」@Kyoto Makers Garage
Makers Boot Campのコミュニティーマネージャー、二神マリです。京都でモノづくりスタートアップのサポートとモノづくりをするためのメイカースペース Kyoto Makers Garageを運営しています。3Dプリンターやレーザーカッター等を誰でも使うことができ、起業家・アーティスト・エンジニアが集うイベントや展示を定期的に開催しています。
Kyoto Makers Garageは丹波口南西にある「ニシナナ」と私達が呼んでいるエリアにあります。「ニシナナ」は京都市中央卸売市場第一市場のすぐ横の場外市場に位置し、京都駅からもタクシーで15分ほどと京都の中心地からも近く、これからモノづくりや起業が盛り上がっていくであろうエリアと勝手に(!)宣言しています。
2012年から毎年京都で開催している写真展「京都国際写真祭 Kyoto Graphie」が4月14日から始まります。「写真」への理解と、その可能性を伝えることを目的として開催されている、日本でも珍しい国際的な写真展です。毎年メインとなるエリアや会場は変わるのですが、今年はKyoto Makers Garageのある丹波口エリアが選ばれました。通常は通常入れない元氷貯蔵庫(339)での展示や京都市中央市場関連10・11号棟南壁面を利用した屋外展示等、新しい写真の関わり方を教えてくれます。
Kyoto Makers GarageはK-NARFの「THE HATARAKIMONO PROJECT」のメイン会場として選ばれました。K-NARF氏は日本在住のフランス人アーティスト。2000年代初頭より、時間軸を超えた要素が混じり合う実験的な試みを写真を通して表現してきました。このプロジェクトは、展示会の前から京都に滞在し、Kyoto Makers GarageをベースにK-NARF氏が京都市中央卸売市場第一市場周辺で働く人達をフーチャーする形で、出来上がった作品です。これまで彼が撮り続けてきた日本の働き者たちは100人以上となります。
今回、K-NARFはKyoto Makers Garage をメイン会場として丹波口の周辺の屋外等で展示を行います。K-NARFさんの作品について、説明していただきました。
日常の中に存在する「Extraordinary」(普通じゃなさ)を切り取りたい。〜働き者プロジェクトについて
日本語の「働き者」は、多言語に訳すことが難しい日本語の一つです。
働き者プロジェクトは写真展ではなく、写真をもとにしたプロジェクトなのです。
「日本人」は私にとって日本の文化の重要な構成要素です。多くの人が、禅、建築、料理などが日本文化を代表するものとなりますが、私にとっては日本人こそが日本を表現するものです。なので私は働く人を保存するために、このプロジェクトを始めました。技術が恐ろしい勢いで発展している現在ではテクノロジーによって「働き者」たちが消え去ってしまうかもしれない、そうなると私たちは「働く」最後の世代となる可能性があります。
失わって初めてなくなったもののを大切さを気付くものです。
100人の働いている人たちに「作品のために2分撮影させて欲しい」とお願いするというのは、とても大変でした。これは製作に一年間かけたプロジェクトなのです。
今、Kyoto Makers Garageにて展示してあるこの「働き者」の写真を25年間保存し、2042年に私が選んだ6つの美術館、ロンドンの大英博物館、パリのギメ東洋美術館、シドニーのニュー・サウス・ウェールズ州立美術館、東京の根津美術館、ニューヨークの国際写真センター等にて展示をする予定です。「働き者」をアーカイブ化して保存し、それを残したいと思っています。
私は写真家ではないので、被写体を選んでいるという感覚はありません。毎日私が生活をおくる中で出会った人達を記録していきたいのです。これは、皆さんが通常鑑賞する写真作品とは全く違ったものであると思います。その違いを感じていただきたいです。
展示会場と作品について
今回丹波口エリアのK-NARFの展示は、京都市中央市場関連10・11号棟南壁、Kyoto BMW、Kyoto Makers Garageの3箇所です。場外市場の壁面展示とKyoto BMWのウインドウ展示では、中で働く人たちの写真を壁に飾ることで、被写体としてだけでなくこのプロジェクトに彼らも参加しているこことなります。Kyoto Makers Garageでは、これまでK-NARFが撮りためてきた「働き者」たちの写真を展示しています。撮影からK-NARFが独自に開発したテープへの転写技術を用いた作品はすべて彼の手を通して生まれたものです。
今回全てのアーカイブはご覧いただくことは出来ないのですが、展示会場にいているカタログでご覧いただけます。また、会場には写真作品作製の様子をビデオに映した作品、彼が通常使っている道具、2042年のスケジュール等も展示しています。
Kyoto Graphie は5月13日までです。Kyoto Makers Garageではワークショップなども予定しています。Kyoto Makers Garageは無料で開放していますので、是非お寄り下さい!
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