「あの時、それは 3/1, 0:00 の時」

親戚が総出で可愛い大学生のために説明会予約のボタンを連打する就活解禁日。

そんな並行宇宙のような情景がこの時期になると見られるらしい、と聞いたのはつい最近のことだった。
私も紛れもない就活生なのだが、実感がわかないものだ。それどころか、周囲の友人たちがどこかの惑星に連れ去られ、別人になって戻ってきたかのように見える。然るべき時がやってくると、また以前のような人間に戻ったりするようだ。宇宙人の方も、毎年やって来るのだから、サンタさん顔負けだ。


popeye3月号の特集
「二十歳のとき、何をしていたか?」
このお題に惹かれて、書店へ走った。

suchmosボーカルのヨンス、ロバート秋山、細野晴臣、宇多丸、玉袋筋太郎、安藤サクラ・・・

錚々たる面々に、
「20歳のころどんな風に過ごしていたか」
手垢にまみれた問いをあえて正面からぶつけてみる。
そのシンプルなコンセプトに心を掴まれた。

特集の冒頭において、今回の企画の元ネタとなった『二十歳のころ』という本について紹介されていた。
著者は「立花隆と彼の東大でのゼミ生」
ゼミでの調べ学習の集大成として、学生が自らアポイントをとり、数百ページにも及ぶ各界の著名人へのインタビューを行なっている。

坂本龍一、大江健三郎、橋爪大三郎、鶴見俊輔、糸井重里・・・

こちらもまた巨星が天球を埋め尽くす星図さながらの豪華な顔ぶれである。

機会あって、どちらも読んでみたのだが、やはり20歳は何か大切な砂金が詰まった年齢なのだなと感じさせられる。それがたとえ、無為に思えるようなグウタラ生活であったとしてもだ。


就活が解禁された日の夜、何をしていたか、という問いを数時間前のことだが、自らに投げかけてみる。

3/1零時の私はといえば、ボタンを連打する”就活星”にではなく、お風呂宇宙、ジャズ星系、Chet Baker星にまで出かけていた。

数時間前の就活解禁がもしかすると一つの角を曲がった瞬間だったのかもしれない。


小学校の頃、まっさらな1/1がやってきた瞬間、ジャンプしていたのをふと思い出した。
ジャンプそのものには意味がない、
でも、少なくとも、ジャンプして地面と私の脚が離れている、その隙間、その刹那に、新しい年が滑り込んでくること、そのことは確かなことのように感じられた。

風呂の中で、Chet Bakerを聞いていたあの零時、頭の中にあったのは、”La La Land”のオマージュ素材とされたという鈴木清順『東京流れ者』のカラフルな色使いより、民謡のように繰り返された映画音楽がやけに頭から離れないなぁ、ってこととか、今ゼミで制作中の本の参考になりそうなイメージのシーンはなかったかなぁとか、そんなことだ。

そんな風に違う星の上で、ジャンプしている時に、何かが始まったような何も始まっていないような、そんなふわふわした空気の中を揺蕩う心。


就活解禁の夜、何を考えていたか?

そう問いかけられたとき、その瞬間、今、本当に大切だと思うことを考えていたのだ、そう言えるような気がする。

それが私の”3/1"です。
みなさんの”3/1"もよかったら教えてください。

2017/3/1

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