「新幹線馬鹿、首都に突っ込む」

新幹線を高級に感じ崇め奉る奴らは救い難い馬鹿に違いないのだ。崇める神を見誤ったとしか言いようがない。

私はたった今、新幹線に乗っている。売れっ子作家よろしく足組んで窓際のコンセント付き自由席で書く。

ま、早めに白状しておくと、テンションが上がっている。つまり、私も例に漏れず馬鹿の1人というわけだ。記憶に自信がないが、確かすべらない話の中で秋山竜次が訴えていたこと、新幹線は飛行機の離陸時よりも早いスピードで走り続けているにもかかわらず飛行機のように飛ばないから、イきたくてもイけない感覚に似ている、と。

朝から低俗な話にて失敬。なんといってもこちとら、朝5時から活動するためには徹夜が必須の男なので、それくらいの無礼はお許し願いたい。

そう、新幹線はイきたくてもイけない乗り物なのだ。それゆえに新幹線を礼賛する私たちは馬鹿だ。


それでも話が分からない新幹線馬鹿にもう少し薬を塗って進ぜよう。

新幹線は目的地に着くまで出られない、それゆえに長時間の拘束が前提となる。

窓際に1つしかないコンセントを巡って自由席の乗客は醜く取り合いをするし、誰1人としてそのソリューションとしてのタコ足を持って来ようともしない。

勝ち組に見えたかに思えた窓際族どもは、トイレに行きたくなった時、通路族に頭を下げて、お願いですからコンセントを奪わないでくださいと懇願しなければならない。

新幹線の車内、少なくとも自由席には、粋のかけらなどあったものじゃない。


おいらはトイレだって我慢できるし、コンセントなんかなくてもモバイルバッテリーがあるから気にするもんか、なぞとナマを言うブルジョワ小僧にはもう塗る薬も、投げる石も尽きたので、放っておくとするが、そこを離れる前に、貴様の座っておった席に帰りの切符も置いていけ。

あれやこれやと、のたまってきたが、やっぱり新幹線は好きだ。新幹線にウキウキ乗る奴は馬鹿丸出しだ、といくら言おうが、粋がなかろうが、みんな等しく万券を叩いて夢と人を乗せて走るのだから、いいぢゃないか。

スーツを鞄に放り込んで、ハワイにでも行くような格好で、どれだけ本屋を回れるか、どこのクラフトビールが呑めるか、本業を捨て夢想、平成の浜崎伝助、眉間にしわを寄せながら原稿作りに励む若者に幸あれ。

新幹線馬鹿、それもよかろう。

2017/6/24