「精進料理3時間前のチーズバーガー」

もうなんかこの語感の響きが既に気持ちいい。

朝からお寺に行ってきた。
というのも、西本願寺という京都のたいへん大きなお寺で、ロボットエンジニア、ラッパー、アートディレクター、僧侶、等々のお偉い方々のトークセッションがあるというので、わざわざ朝陽を拝みながら向かったのである。

家を出ようとするとき、電車の時間まで4分ちょっとしかなかった。
通常ゆっくり歩いて6分掛かる距離だ。
こういうときは、いつものようにランニングシューズを靴箱から取り出し、走り出す。
今日の朝の冷気は頬に刺さることなく、冷気すらも駅への路の追い風になっていた。
ランシューは陸上部時代引退前に使っていたasicsで、捨てられず今や「カジュアルシューズ兼急いでる時用」の靴となり、その用途も変わってきた。
そんな感傷からも逃れようとスピードを上げると、駅の目の前まで辿り着いていた。
最後は余裕をもって、歩いて列車に乗り込む。
いつものことながら今日もやっぱりちょっと走れば間に合ってしまうのだ。

「世界の問題の大半は小走りで解決する」

走り終わった後の、数年前競技者として毎日走っていた自分とは変わり果てた息切れに肩を揺らしながら、想い浮かんだ内容まで荒れた呼吸のリズムに合わせて、ちょっぴり大げさなのが、我ながらちょっと可愛らしい。


お寺に行ってきた話であった。
お寺に行く前に、そういえば朝走らなければ間に合わないような時間に出てしまったが故に、もちろんのことながら朝ご飯は食べてきていない。

電車からバスへ乗り換える大宮の駅前で、少し時間がありそうだということで周囲を見渡し、朝ご飯の気配を探す。

マクドナルド、ローソン、セブンイレブン、まだ空いていない格安立ち飲み屋、まだ準備中らしきファーマーズマーケット。

結局最後に目を移した、ロッテリアへ、殆どの迷いなく吸い込まれていた。
迷いなく吸い込まれたかと思えば、2分後にはチーズバーガーを手に自動ドアをくぐり、バスの発車までの時間に平らげてしまう。
ゴミを捨てに行って戻ってきたところで、バスもやってきた。


お寺の「朝の空気」という「アレ」に触れ、ご本尊の前で合掌していた時に思い出した。

「チーズバーガー後の”合掌”、はあかんやろ...」

誰かに感づかれていやしないだろうか。

空港の麻薬探知犬みたいに、これだけ大きな境内を持つ西本願寺サマなのだから、チーズバーガー探査犬なんてのがいても全く不思議じゃない。
件の探査犬に嗅ぎ付けれたが最後、極楽浄土への入会リスト最後尾に回され、代わりに地獄枠の優先搭乗権を手にする、なんてことはなかろうか。

神様すんまへん、朝から罪深き衆生の末席を汚すような粗相をしてしもて、おゆるしくんなまし。
と祈祷したところで、指がクロスされており「アーメン様」の方になっていたのに気づき、こりゃもう地獄だなァと朝から諦める。

おまけにその日のイベントには、参加費に昼食も付いており、案内された先にはやっぱり「精進料理」が並んでいた。

これから精進料理を口にしようかという直前の口の中が、ロッテリアのチーズバーガーだということで思い悩む。
もう救いようがない。
我は無間地獄を彷徨う餓鬼なり。


絶望の淵を彷徨ったあと、午後のプログラムが行なわれる会場へ向かう道すがら、事務所のような建物があった。
もう一通りの想像の旅をも済ませていた私に怖いものはなく、その「~会館」と書かれた建物がどういう名ならばおもしろいか考えていた。

「末法会館」
「仏滅会館」

大して面白くもないはずが、境内の中にある建物にこういうのがあると考えただけで頬が緩む。

それにしてもなぜだろうか。
仏教用語で遊ぶとこんなにくだらないけど、どうしようもなくおもしろいのだろうか。

コラ!地獄に落としてやるぞ~!

ほんとは震えあがるほどシリアスな宣告にもなる言葉のはずなのに、ちょっと可愛らしさがでるというのだろうか、捨て台詞のようにも聞こえるのはなぜだろうか。不思議だ。

そんなことを想うちょっと眠く微睡みの夕べであった。

※ちなみに帰宅する前に、精進料理の味冷めやらぬ前に、パン屋で焼き立てのベーコンエッグをつまんで帰ったのは、神様ご存知なのでしょうか。
だとしたらちょっとヤバいかもね、、、

2017/2/5

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