海上タクシーで上五島へ移動し、キリシタン教会を巡る

福江空港にタクシーを呼んで貰い、20分ほどで福江港に着きます。

五島には幾つかの海上タクシーがありますが、数軒に電話して値段の安かった小型の「むさし」を予約しています。

予約の段階から「はい」と返事をするだけの船長さんで、私達が港に着いても無表情。どこからどう乗れとも言われないので、後ろから船室に入ると、船は一気に出発します。

年の頃は60台後半?全身迷彩服だし、ちょっと心配になりますが、せっかくなので、船の中を這うようにして船長のもとへ近寄ってみます。

設備が立派なのは何となく分かるし、あれこれ質問しているうちに、船長さんの方からもポツポツと話をしてくれます。要は、人見知りだったようで、その後は到着まで、

・右のモニターはGPSの地図で、左はレーダー。視界が悪いときに役にたつ。

・本業はイセエビ漁師だけど、最近は漁獲量も減っていて、磯釣りの渡船や海上タクシーもやっている。

・お父さんが漁師だったので、見よう見まねであとを継いで、ずっとこの海を生業として生活している。

などの世間話をします。

波は凪では無いけど、大荒れでもない感じ。でも、時々、船と波がぶつかり、ドーン!と揺れることもありますが、船長さんは、ニヤリとするだけで余裕の表情です。

さて、

40分ほどで、船は若松島の土井ノ浦港に着きます。ホテルのある新上五島町のメインである中通島とは橋で繋がっており、3時間1万円でお願いしていた観光タクシー(上五島共和タクシー)が桟橋まで迎えに来ています。

*実際に行ってみようと思っておられる方への情報

最初ホテルからは、ホテルのある中通島の郷ノ首港まで海上タクシーで行くことを勧められました。その港に迎えに来てもらおうとタクシーに電話して、ついでに2-3時間の観光をしたい旨を伝えました。それならば、今回海上タクシーを降りた土井ノ浦港のほうが、船に乗る時間も短いし、島を渡る橋も通るし景色もキレイですよと勧めて頂き、変更しました。結果的には今回のコースで良かったと思っています。ご参考までに。

中ノ浦教会

タクシーの運転手さんは、昔東京で歌手を目指していたというフレンドリーでひょうきんな方。ご自分は仏教徒で、クリスチャンのことを「信者さん」と呼んでいました。

五島の宗教の歴史は、私調べ(ほぼwiki情報)で以下の通り。

空海の時代から元々島には仏教が伝わっていました。

1549年にフランシスコ・ザビエルが鹿児島にやってきて、キリスト教が広まり、五島でも改宗してキリシタンになる人達が徐々に増えました。

1614年に徳川家康が禁教令を出し、キリシタンは仏教への改宗を余儀なくされました。しかしながら、キリスト教信仰を捨てられない人たちは、仏教徒のふりをしながら隠れて信仰を継続し、彼らは潜伏キリシタンと呼ばれています。

その後、潜伏キリシタンたちは、拷問や弾圧にさらされ、一時はほぼ壊滅状態に。

1797年、五島の領民(特に農民)が減り、困った福江藩主が、長崎の大村藩主に移民を依頼しました。長崎の西彼杵郡のキリスト教の農民たちは、五島は長崎本土より弾圧がゆるいと考え、移住しましたが、実際はそうではなかったようです。

特に、1868年(明治元年)から、弾圧は激化し、五島崩れと呼ばれています。石抱や水攻めなどの拷問で多くの方が亡くなり、生き残ってもその後遺症に一生苦しんだ方も多かったそうです。

1873年(明治6年)、外圧に押される形で、明治政府が事実上キリシタン禁教令を廃止し、一部の信者以外は普通のカトリック信仰に戻り、政府による弾圧はなくなりました。

しかしながら、江戸時代に長年潜伏していた五島のキリシタンたちは、仏教、神道、民族信仰などと結びつき、独自の変化を遂げていました。そのため、一般的なカトリックリには戻らず、いままでの信仰を継続する人たちもいて、彼らはカクレキリシタンと呼ばれています。

これら、潜伏キリシタンとカクレキリシタンを総称して、隠れキリシタンと言うそうです。

タクシーの運転手さんの話では、本人たちは今までの信仰を続けているだけで、特別に変わった宗教を信じている感覚は無いのではないかとのこと。

現在、比較的人口の多い福江島では、仏教徒もクリスチャンも混在しているけど、上五島では今でも住んでいるエリアが違うし、名字で判るそうです。昔から住んでいる仏教徒は港近くや平地など比較的便利の良いところ、クリスチャンは山の斜面や交通の便が悪かった港から離れた場所に住んでいるそうです。

冷水教会

明治40年に建てられた教会で、地元上五島町出身の鉄川与助さんの設計施行。大工の棟梁の息子であった彼は、フランス人宣教師から教会の建築方法を学び、長崎各地に多くの教会を建築しています。

でも本人は、生涯仏教徒だったと知って驚き。

今回、私が旅行先で上五島を選んだのは、福江島より離れており交通の便が悪いので、冒険感が味わえると思ったから。実際来てみると、潜伏キリシタン関連遺産がユネスコの世界遺産に指定された影響で、そこそこの数の観光客が訪れています。

訪れる前は、これらの教会で潜伏キリシタンたちが信仰を継続したのかと勘違いしていましたが、実際は信仰の自由が認められ暫くしてから、カトリック達が建立したものだとわかりました。

まあ考えてみれば、隠れて信仰してるのに、こんなに立派な教会ってことはないですよね。隠れキリシタンたちの信仰の様子は、翌日行った福江島の堂崎教会に展示してあったので、後ほどご紹介します。

青砂ヶ浦天主堂

教会内は撮影禁止ですが、各教会とも構造やステンドグラスが違っており、シンプルですがとても美しく心休まる空間です。ちなみに中はこんな感じです。

個人的にも、高校まで暮らした長崎でシスターは普通に見かけたし、高校3年のときは、英会話勉強目的で外国の人を対象とした教会の日曜のミサに通っていたので、キリスト教には興味があり、とても有意義な時間になりました。

さてさて、

今日のお宿、マルゲリータに到着。

シンプルでおしゃれで景色も接客も最高で、期待した以上に素敵なリゾートホテル。ここまで来る価値あり!

なんと、私達の部屋やお風呂からは、五島の海と教会が一望。

夕食までに時間があったので、先程部屋から見えた、歩いて5分ほどの曽根カトリック教会へ。

玄関は締まっていたのですが、中から人が出てこられ、18時からミサなので準備してるから、自由に見てくださいとのこと。中はこんな感じです。

明治32年にフランスからの宣教師によって建立。

現在、上五島だけで29の教会があるのですが、常駐の宣教師さんがいるところは少なく、多くが掛け持ち。主に長崎の教会から交代で派遣されているそうです。

初日の夕方ですが、2日は経ったのではないかと思えるくらいの充実感。

さて、リゾートホテルの夕食と参りましょう。