「JG&JB」

Joseph Arrington Jr.通称Joe Tex

60年代のファンクミュージック界で帝王JBとのデッドヒートに敗れたミュージシャン。

2人とも33年組でありながら、敗者JTは80年代に没し、勝者JBは帝王として21世紀まで生き長らえた。

JBは云うまでもなく、”ゲロッパ”の人だが、JTは恐るべきほどに知られていない。Wikipediaでの翻訳言語数を比較するだけでもその差は露骨だ。

JTが没年にリリースしたアルバム”Rub Down”収録の”You Might Be Diggin’ The Garden”は中でも埋もれた曲だ。前年に発表された”Ain’t Gonna Bump No More”が彼にとって久方ぶりのヒットであり、生涯最後のヒット曲となったのだが、”You Might Be Diggin’ The Garden”のコード進行は完全に一致と云っても差し支えない。

JTの英語のWikipedia(JBについてなら溢れんばかりに情報が出てくるのだが)と不完全な英語読解力しか持ち合わせてない私が推測をつけながら、この晩年の曲について考察を加えるのも、この曲が映画”Too Late”のエンドロールで流れていたからに他ならない。その曲は最高だった。晩年の落ち目のミュージシャンが自らが前年に制作したラストヒット曲を丸パクリしたにも関わらず。私はその事実を知ってもなお、自らのアイデアをパクり、その上、音産から露骨なシカトを受けた曲でありながら、こちらの曲が最高だと思う。それは映画によるところが大きい。

カリフォルニアの街を大切な女の子の死の真相を求め私立探偵が彷徨う物語。時系列がシャッフルされ、徐々に真相がパズルのように組み合わされたラストシーン、映像の美しさは極限まで引き上げられる。ラストシーンはオンボロカーのキーをひねりエンジンをつけると同時にJTの曲がエンドロールと共に流れ始める。

自分が好きな映画は?と聞かれて即座に本作を挙げられない私を、私は心から軽蔑する。みんなが好きなものもいいけれど、この愛を誰かに伝えられないものだろうか。そしてこの愛を伝えられるような人との関係性を築けていない私、不覚。その関係性を越えて語り得ぬ私の才気の無さに鬱。

2017/6/21

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