
#010 「ENERGY : COCKTAILS TO GET YOU UP」にはゼロ年代のカルチャーが透けて見える
レビュー:powerHouse Books『ENERGY COCKTAILS TO GET YOU UP』
エナジードリンクを用いたカクテルの奇妙なレシピ集、「ENERGY : COCKTAILS TO GET YOU UP」を著したのは、ミクソロジストであり、イベントの広告宣伝なども手がけるSteph Russ氏。
ミクソロジストというのは、果物や野菜、ハーブなどを使ったオリジナルカクテルをつくるひとたちを指すのだそうだ。
彼女は、ノースカロライナ大学チャペルヒル校に在学中から実験音楽やパフォーマンスに親しみ、その後ロサンゼルスでパフォーマンスアートや詩のイベントに参加しては、数多くのポップアップバーを開催してきたという経歴を持つ。
まあ、早い話がいわゆるパリピである。
夜どおしで連日開催されるイベントに参加する彼女たちにとって、最大の関心事は「いかにして寝ないでいるか」である。そんな彼女たちのニーズに、ゼロ年代に次々と登場したRedBullやROCKSTARなどのエナジードリンクはぴったりとマッチした。
なかでも彼女が特に好んでいたものは、Four Lokoという、アルコール・カフェイン・タウリン・ガラナという4成分が入ったエナジードリンクだったという。
しかしこのFour Loko、飲用した学生が集団急性アルコール中毒になるという事件が社会問題化し、2010年12月には単なるアルコール入り炭酸飲料に成分変更されることとなった。
Four Loko, the boozy caffeine beverage dubbed "blackout in a can," has been banned from a New Jersey campus. Officials…www.nydailynews.com
この措置に困惑したのが、若者たちである。彼女の言葉を借りれば、「多くの若者たちが、Four Lokoなしで生きる準備がまだできていなかった」。
そこで彼女は、自分自身でFour Lokoに匹敵するエナジーカクテルのレシピを考案しだす。そうした積み重ねの末、このたび出版の運びとなったのが、この「ENERGY : COCKTAILS TO GET YOU UP」なのだ。
彼女は「この本で最も気に入っているカクテルは?」というNew York Magazineの記者の質問に、こう答えている。
「どのカクテルもセンチメンタルな思い出と結びついているので、どれが一番かなんて決められない。でもおいしさという点で選ぶなら、Dark Crystalね」

これがそのDark Crystalのページだ。イエーガーマイスターというハーブリキュールにSToKという濃縮コーヒーショットを加えて、ルートビアで割ったもの。
これくらいなら、ぼくもちょっと飲んでみたい。
でもカフェインがきつそうだなあ。
彼女のインタヴューは、いまでもNew York MagazineのサイトThe Cutで読むことができる。
A weeklong series on the art of entertaining, for women who are too busy for Pinterest. Do you remember where you were…nymag.com
現在の彼女は、今度は酔い覚ましに飲むカクテルのcookbookの準備中であるという。