An article to coming Christmas
1年先の私のことも分からないから、1年先のあなたとのことなどなお分からない。
人の心がどこにあるのかなど測れないし、誰の何のどこまでが真実でどこからが嘘なのか、血眼になって追及するほどの気力もない。
少女だったころの「ずっと一緒だよ」の言葉は間もなく、「永遠の半分だけ傍にいて」になり、やがて今の私に確かに言えるのは、「今あなたといたい」だけだ。
もう昔のように、「この人が寄せてくれる感情に、果たして私はふさわしいだろうか」なんて自問自答するのをやめてしまった。そんな真摯さ、持ち続けていたらきっとここまで生きてこられなかった。相手の評価と自己評価を引き比べるなんて不毛に過ぎる。
かたちだけの甘い言葉ももういらない。「その場限りの愛の言葉に縋るほど切羽詰まっていなくなった」が正確か。
何かを始めたくも何かを終わらせたくもなくて、1人の人にフォーカスすることをしばらく避けていたのは、「この人がいないと生きていけない」と思う相手など私の人生にはもう必要ないと思っていたからだけれど、今、「この人がいなくなっても、私はきっと私のまま生きていくだろう」というある種諦念めいた覚悟がある。この人といても、私は私だから。
「ずっと一緒」なんて、二度と口にすることも、願うことすらもないだろう。人は変わるもので、その人が変わってしまってさえ愛せる自信などないし、自分が変わることをその人のために諦められる自信もない。ただ、それでも、「ずっと一緒」を誓えなくても、期限を定めずにした約束が、いつか必ず実現すると根拠もなく信じられるような人といるのは、幸せなことだ。
三分間の感情しか誓えない私は、きっとこれからも身勝手だ。
《№7 お題: 愛は三分間》
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エナメルさまのお題をお借りして、短いお話を綴っています。
人の心から生まれ、育つ言の葉。うつろいやすい心が、うつろわぬ言葉として、あなたのもとに届きますように。