「オムツへの大いなる助走、走行日記」

Ryunosuke Honda
たぶん屋日誌
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5 min readFeb 15, 2020

2/1阿寒

帯広から車で2時間半。飲み友達と、その友達の東京の方、3人で旅。阿寒湖で念願のワカサギ釣りをするも大不漁。3人で2時間粘るも3匹。東京からのお客さんと私にアタリつかず。ビールケースみたいに硬い椅子が尻に負担。夜、痛みを酒でごまかす。

2/2陸別

椅子に座るたびに軽く声が出るほど、左尻の痛みが重篤化。尻の痛みで車内トークを盛り上げる。

2/3個室の店(帯広)

すかさず仕事。夜は接待めいた酒席。終始正座。痛みも忘れるくらいに身体がこわばっていた。心身によくない酒席。

2/4行きつけの店(帯広)

帯広から車で1時間弱の酪農と農業の王国「士幌」で働く大阪出身の飲み友達とゆるゆる飲み歩く。はずが、尻の痛みが加速し、歩くだけで痛い。最後の店はカウンター6席。痛みのあまり椅子に座れず立ち飲みスタイルに。店主から病院に行くよう強く勧められる。

2/5病院から屋台

10年以上ぶりの病院。「僕はホント病院とは縁遠かったですよ」という億万回あらゆる人の口にのぼった繰り言のクリシェを云いそうになる。肛門科の先生がお休みで外科に通される。30代とおぼしき男性医師。パンツを脱ぎ、人にケツの穴を見られる屈辱。診察の結果、その場で処置をすることに。尻に麻酔注射を打たれ、メスで膿を掻き出す。今世紀最大の痛みに叫び散らす。帰りがけに抗生物質の受け取りと、オムツの購入、当日夜の飲酒の禁止を指示される。ドラッグストアで10日分のオムツを買おうとすると店員さんに「黒い袋にお入れしましょうか」と気遣われる。透明な袋でいいですと強がり、すぐにオムツを履く。夜は士幌の友人と街で飲む。もちろん、当方はノンアル。葡萄ジュースなどを楽しむ。屋台に来た客に「僕、いまオムツ履いてきますけど大丈夫ですか」と聞いて回る。

2/6映画館から屋台

岩井俊二の『ラストレター』をレイトショーで鑑賞。福山雅治がカッコ悪い男を演じる映画。終了後屋台で豚しゃぶ(通称シャブ)を白ワインと食す。

2/7自宅

仕事終わりに、大切な友人からの小包到着を家で待つ。届いた、さつま揚げを楽しむ。手紙を読み、前日夜に観た映画との符号に物思いにふける。

2/8病院からホームパーティー、屋台

2回目の病院。もう一度来るよう指示を受ける。傷は塞がってないが痛みはマシになる。ホームパーティーはなんとも居心地の悪い思い。手土産が必要なシステムと知らず忘れたのが原因。飲み直しで単身屋台に行くと妙齢のシンガポール人女性の隣に。ツーリスト英語を話してると「私があなたと同じくらいの年頃だったら付き合ってあげてもよかったわよ」と上から目線で褒められる。600人が働く建設会社の社長らしい。日本フリークのようで伍代夏子の演歌を1時ごろ流し口ずさみ泣いていた。人生はよく分からないことがまことに多い。

2/9町内会の新年総会と屋台

フリーライド気味に加入してる町内会の新年総会。温泉&昼食付。本田くん、お酒飲めるね、そしたらまずビール、いけるクチだね、日本酒も行ってみようかと飲まされた。水をゴクゴク飲むコップに日本酒が並々と注がれていく。帰宅後昼寝し屋台で飲み直し。

2/10日本酒講座

仕事終わりに日本酒講座へ。いつもは3人の生徒さんと一緒に受けるのだが、今回は先生とサシ。初っ端から4タイプ分類を間違え、重苦しい雰囲気に。あからさまに凹んでおったら、先生が気を遣って「日本酒とかそういうことにこだわらず自分がおいしいと思うお酒を突き詰めてみたらどうですか」と云われる始末。士幌の友人と合流し屋台など。

2/11屋台

2日後に十勝を離れる士幌の友人と屋台へ。たらふく飲み食い。ちなみに友人は既に我が家に2連泊してる。毎日顔を合わせる同居人と化してる。

2/12午前半休で病院、喫茶店、回転寿司、夜は送別会

午前半休取り、最後の病院。士幌の友人を病院に付き添わせ、コーヒー飲み、優雅に回転寿司。寿司5皿と汁物でちょうどいい。夜は士幌の友人を送別。彼の送別のために集まった人がこちらで私自身がお世話になった人ばかり。このメンバーが同じテーブルを囲む奇跡にわずかに感動。酔いも気持ちよく回った。3軒目のダイニングで久々にダーツやったらひどい出来になってた。

2/13オムツ最終日

10日分のオムツも最後。士幌の友人を朝、駅で見送り別れ。人生初のドライブスルーを使ってマックシェイクを買う。夜はなか卯。そうこうしてるうちに尻の痛みを忘れていた。教訓めいたことを考えようとしたけど、この2週間を象徴してるような気がしてならないパワーワード「天ぷら揚げ券」が頭から離れず、気の利いたことひとつも云えない。ワカサギが釣れなくても保険で食えるワカサギ天。人生なんてまずもってうまくいかないけど、棺桶が全てを解決してくれる、それと揚げ券がちょっと似てるような気がした。

2020/02/15

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Ryunosuke Honda
たぶん屋日誌

「道」のつく日本唯一の地域に移住。蓴菜、オクラ甲乙付けがたし。 対面でお話する時、ポテチ成分談義の話題がお好き。