といかず
といてら
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5 min readApr 4, 2018

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海では、ぴょん吉くんなんて呼ばれてたんですよ

ぴょん吉くんっていうのは、ウィンドサーフィンをやっていた最初の頃の愛称なんですけどね。
何年やってても、Speedが遅いのでそう言われていたのです。

同じ風なのに、なぜか私は超遅かったのです。

今は速いかというと、自慢できるくらいそんなことはありません。 当時は、もっと遅くて、ぴょん吉くんと呼ばれていたのです。

ウィンドサーフィンの世界は、年とか、職業なんて関係なく、「速い」、「パフォーマンスがすごい」奴が偉いのです。

その域になんとか辿り着きたいと、頑張っているのですが、ウィンドサーフィンってなかなか上達しないんですよ。

ウィンドサーフィンを始める時、
グラグラするボードに立って、セールを上げることから始めないといけないんですよね。 セールを立てて、風を受けることができなければ、動くことすらできないのです。

初心者の頃は、セールを立てようと
体重をかけてセールを海面から引き剥がすのですが、
小さいセールなのになかなか上がりません。
足元も、グラグラするだけではなく、突然波が来てあっという間にバランスを崩されて
ドボ〜って、セールとともに海の中に落ちてしまいます。

ドボンドボンを繰り返していると、不思議なことに、
波に合わせて、膝でバランスを取り、セールに受ける風の受け流しを調整して、うまく走ることができるようになります。

そして、今度はプレーニングといって、
自分の体重を完全にセールに預けて、
海面を滑るように走れるようになります。

そうなると、もう快感しかないのです。

私でも50km/hの速度は出るようになります。

苦労したものは手放せない

このレベルになるには、
結構時間がかかるんですね。

やっと休みを取って海に来ても、全く風がなかったり、

初心者なのに、ものすごい風と波でぐちゃぐちゃにされるだけの日があったりと。
なぜって、自分がどんなに望んでも自分の状態にあった環境が作れないからです。

そんな環境の中でも諦めずに、続けていると何事もうまくなってくるんですね。

上手くなって、気持ちよく、トビウオと一緒に海面滑るように走れるようになるのです。

自分では、とても気持ちよく走っているつもりだけど、プロと走るとまったく速くないんですねこれが。

小さな女子プロの選手にも簡単に抜かれてしまうのです。
自分では気持ちよく走れているし、とても速いと思っているのです。

なんとか速くなりたいと思って、少しずつセッティングや乗り方を変えてみるのですが、
少しでも変えると、走りずらくなるので、またすぐに元に戻してしまうのです。

人間、苦労して、苦労して、やっとつかんだ快感は、 なかなか変えられないのです。

遅いということはどこかに無駄なことをしているということなんですが、自分では気づけないものなんですね。

しかし、ある時 あまりの遅さに耐えかねたのか?

日本の有数のプロの一人、山田プロがセッティングを直してくれたんですね。

「小野さんこのセッティングで乗って」

山田プロがやってくれたセッティングに乗ると、
とても走りにくい。
気持ちが悪い。
変なところに力が入ってしまって、疲れてしまう。
体の置き場所がなくて、とても不安定になって速く走れない気がする。

これは走れないと、浜に上がってセッティングを変えようと思ったら、

「変えちゃーだめ! このセッティングで走れなかったら、速くはならないですよ。 小野さんの気持ちいいいは、遅いということ 速く走りたかったら、このセッティングで慣れてください」

すごい違和感の中で、乗り続けていると、
今度はだんだんとその感覚に慣れて来てきます。

今まで、重たかったボードの感覚が、スーッと抜けて軽くなり、力一杯持っていた手の力が抜けて、いつまでも楽に乗れるようになって来たのです。

大きな風の力を受けるので、力が入るのは当たり前だと思っていたのです。
当たり前だと思っているので、力がどこに入ってどうやっているのかも意識に上らない。

ぐーっと力を入れていると、最初は、力を入れているってわかっているのですが、
そのうち、力を入れていることすら気づかなくなってしまいます

それが、クセと呼ばれているもので、
自分ではなかなか気づけないものなのです。

次元を高くする

これって、なにかを学ぶときにもあるような気がしませんか?

一生懸命にやっているので、すごく充実した感じがしているのですが、
実はただ無駄に力を使っているだけで、

何も改善されていない。

何もよくなっていないのに、頑張っている充実感だけで満足している。

それでも満足しているのであればいいのですが、
ウィンドサーフィンが速くなるように、できたことの次元が上がるともっと楽しい。

次元の違うレベルに行くには、

今までとまったく違うこともあえてしなくてはいけないのかもしれません。

速いセッティングに合わせていくというのは、教わっているのではなく、次元の違う感覚を自分の中に落とし込む作業をしている感じがしています。

教わったことを自分のなかで感じて、求めていること 探求していく。

そこで感じる違和感や、変な不安感、混乱。
それって、次のステージに上がるサインなのかもしれません。

違和感がないことは、変化してないということ。

どんなに一生懸命にやっていても、 いつまでも遅いままかもしれないのです。

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といかず
といてら

人の学習について学び始めると、還暦もとうに過ぎているのに、もっと自分を高めることができると気づいた。ヘリコプターから小型ジェット、新聞社の取材飛行を経験して、東亜国内航空へ、最後はJALで翼をたたみました。新しい人生を歩むために自分の学習能力を高めていきたいと思っています。