PBGLK
わんわんがうがう
2 min readFeb 2, 2017

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ジョン・ハートになりたかった

ジョン・ハートが亡くなった。
格好よくて大好きな俳優で、エレファントマンは勿論、ザ・シャウトみたいな怪演から一連のジャームッシュ監督作品に、後期のオックスフォード連続殺人での老獪な教授役辺りも印象深い。あらゆる作品で最終的にとにかく死ぬことでもお馴染みだが、なかでもいちばん思い入れが深い死に様はやっぱりなんといっても『エイリアン』のケインで、あの最悪のファーストコンタクトを身をもって体現した存在としても語り継がれていくことと思う。

最悪とはいったものの、ケインの死は崇高な光に満ちている。彼は死に際、自分の敵の存在を確かに目撃したにも関わらず、それが何なのかを知ることは最期までできなかった。マムシに咬まれ、その毒が体に回りつつあることを自覚しながら死んだ寅さん(男はつらいよTVシリーズ版)とは違う。だいたい今日において、自分を殺す相手の正体がわからないということ自体、滅多にあるものではない。すこし前だったらたとえば未知のガス兵器だとか、癌なんかに最初に殺された人間たちのことを思うと、すこしうらやましくなる。

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