アジャツール 第6回 立ってよし寝てよし!子供のように巨大ホワイトボードを使うワケ
published at 2005/12/14.
はじめに
今回のアジャツールは、前回ご紹介した持ち運び可能なホワイトボードの「Light Write Board」を個人的購入し使用し、さらには業務でも使用してみた使用感について書いてみます。
(注:Light Write Boardは廃盤。連載以降、類似品をいくつか見かけたが、例えばアルテ PSホワイトボード 7PSW-3×6 両面使用可能 サイズ900×1800mmが近い。当時のプレスリリース、Pen-infoの製品紹介はまだネット上に存在する。類似品を自作するブログもある。創材ホワイトボード(モドキ)を作ってみた)
Light Write Boardとは?
前回も解説しましたが、改めて解説してみます。「Light Write Board」 (以下LWB)はコクヨのブランドである「創材」が作成、販売している発泡ウレタン製のホワイトボードです。LWBの特徴としては、まず巨大、軽い、立てかけられるという点でしょうか。
大きさは縦180cm、横90cmになります。数字で見ると「ふ〜ん」という感じですが、実際に目の前に置いてみると思ったよりも大きいことに驚くはずです。次にその軽さにも驚きます。2kgを切っている(注:1.5kg)ため、持ち運びは比較的楽です。むしろ重さよりも大きさによる弊害(物がひっかかる)の方が多いでしょう。最後に「立てかけられる」という特徴ですが、これは特徴というか、むしろ「自立できない」ために「立てかけて」使うことが基本になっているといったほうがよいでしょう。
LWBはホワイトボードというよりも、展示会のパネル作成に使う発泡ウレタンボードといったほうがイメージしやすいでしょうか。あのボードの表面(両面)に、ホワイトボードシートを貼ったものなのです。
使い勝手
最初に自宅向けに1枚個人購入してみました。まず最初に包装をはがしてみた感想は「とにかく大きい」でした。高さ180cmというのもさることながら、幅90cmというサイズは個人で使うには十分過ぎる大きさです。なにしろなんでも書いてよい壁を一枚購入したのに等しいのですから。
そしてその存在感と反比例した、軽量さにも驚きました。物理的に障害物がなければ、持ち運びはとても楽です。表面は両面ともにホワイトボード加工がされているため、180cm☓90cm☓2面の空間をホワイトボードとして自由に使っていいということです。
早速、今のとある検討事項と、それに対する解決策案をLWBに書きはじめました。驚いたことに、普段A4ノートやスケッチブックに書くのと比べて、すらすらとアイディアが書けるではありませんか。ものの30分もしないうちに、LWBの両面はホワイトボードマーカで埋めつくされました。正直自分でも驚いてしまいました。書いている最中の物理的制約に縛られない感覚は思った以上の開放感をもたらし、快適にペンを進めることができました。
今までもホワイトボードの前でディスカッションを何度も何度もしていましたが、LWBに触れて、はじめて巨大な筆記空間がもたらす効果に気づきました。よく壁全体がホワイトボードになっているオフィスの写真を見かけますが、きっとそういうオフィスで仕事をされている方は、毎日上記の私のような感覚で仕事をされているのでしょうか。さらに言うと、立ったり座ったり(下の方に書こうとすると必然的に座って書くことになります)して全身を使って「かく(書く/描く)」という作業は、血流を促し、脳に酸素を送ってより頭が冴えた状態をもたらすのではないかと感じました。
(注:脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方には、まさに「運動が脳の血流を高め活性化して、脳の働きを向上させる」という科学的研究結果とその事例が多数掲載されている。)
職場に導入
LWBを個人で導入してとても気に入ってしまったので、今度は職場(注:当時出向していたチェンジビジョン)で3枚セットを購入してもらい試してみました。それまでのワークスペースには掲示用のホワイトボードしかなく、あとは会議室の中のホワイトボードを使用する、といった環境でした。
LWBを導入してみたところ、チームのメンバーはとても喜んで使っています。LWBの前に立ち、書きながらディスカッションをし、アイディアをまとめるという使い方から、個人作業の際に、余白(下の方は比較的空いているため)に書いて考えをまとめたり、画面のラフスケッチを裏紙に書いて、LWBに貼って掲示したり、といった使い方をしています。また、会議室で会議をする際にも、ワークスペースのLWBをそのまま移動させることができ重宝しています。
またこれはホワイトボードの常ですが、書いたものはそのままではデジタル化できません。そのためデジタルカメラが必須となります。ホワイトボードを写した写真をWikiに貼っておいたり、PowerPointに貼りつけて配布したりと、デジタルカメラが大活躍しています。(注:スマフォで写真撮影が当たり前の今では、もっと簡単に共有できますね :-))
LWBは面積が広いので、とりあえず書いてみる、書いて消して考えてみる、といった思考錯誤の道具という観点でも、A3のホワイトボードよりも機能する気がします。また会議室に行かずともチーム専用ホワイトボードとして使えるという手軽さも嬉しさの一つです。
ちょっと困った点
ここまでベタボメのLWBですが、さすがに万能の道具ではありません。長所を打ち消すほどではありませんが、使用してみてはじめて気づいた、ちょっと困った点を列挙してみます。購入の参考にしてみてください。
端が切り離しのため弱い
LWBの端は特別な加工をしておらず、単に切り離しになっています。そのため使っているうちに端のホワイトボード加工がめくれてしまうかもしれません。筆者はまだそのような場面に遭遇したことはありませんが、気になっています。(注:実際に長期間使っていると、端のホワイトボード面がウレタンボード部分から剥がれてくる現象があり、予測は正しかった)
書く時に揺れる
LWBは、立てかけたままだとしっかりと固定されることはないので、表面に書く際に不安定になりがちです。そのため書く時には手で押えておくことが必要になるかもしれません。
折れそう
LWBはウレタンフォームのため、あまり力をかけて書くと折れてしまいそうな気がしてなりません。(そんなことはないとは思いますが)筆圧が高い人はご注意ください(?)。
マグネットがつかない
これは当たり前なのですが、LWBのホワイトボード面は鉄粉をまぜていないため、マグネットがつきません。そのため何か掲示したい場合には、貼って剥がせる糊を使うか、コクヨ プリット ひっつき虫 タ-380N、長光 Bostik 粘着ラバー ブル・タック 45gといった粘着剤を使う必要があります。マグネットで鉄板に貼れるタイプのイレーサーを使っていると不便と感じるかもしれません。
(注:これらのブチルゴム系の粘着剤で長期間つけていると、粘着がネバネバしすぎてとれなくなる現象もあるので要注意)
「開放感」の中で「かく」ということ
最後に、最初に書いた「開放感」について気づいた点を挙げておきます。
LWBを使って「かく」ときの「開放感」はどこかで感じたことがある気がしました。ふと考えてみると、子供の頃に壁やアスファルトの地面に落書きをしていた感覚にとても近いのですね。
一般の現代人は成長するにつれて「何かを書く/描く」という衝動を「B5」や「A4」のノートに押し込めてしまいます。さらにはパソコンの画面の中といった狭い空間に閉じ込めてしまいがちです。子供の頃は、学校の教室によく貼ってあった「模造紙」や「大地のキャンバス」に思うままに「かいて」いたはずなのに…
「簡潔にまとめる」、「ポイントを押さえて」、仕事で何かを「書く」時に、こんなことしか求められないこの時代に、何をかいてもいい、何度も消せる、開放感の中でかける空間として、LWBがある生活は楽しいことが起きる気がしませんか?
まとめ
今回は、LWBの使用感について書きました。ほとんど筆者の趣味自慢みたいになってしまいましたが、次回も凝りずに続けます。内容は未定です。(注:次回は情報カードについてです)