アジャツール 第2回 ホワイトボードだけじゃない!スケッチブックでアイデアや思考を表現する

published at 2005/08/31.

はじめに

前回は筆者の独断と偏見で「アジャイルなツール」の定義をしてみました。今回は「アジャツール」の定義をふまえて「スケッチブック」を取り上げたいと思います。

スケッチブックとは

わざわざ「とは」と書くまでもなく、まぁ絵を描くための画用紙ですね。安い物は100円から、高い物になると1000円以上するものもあります。筆者がよく使っているのは、マルマンのスケッチブック(B4)です。スケッチブックは厚手の紙を使用しているため、スケッチブック単体だけでも下敷なしに書き込むことができます。リング綴じなので、使用しない面を返して書くことができるため重宝します。紙が厚いので、両面使用することが簡単です。大きさは大きければ大きいほどよいのですが、持ち歩きなどの考えるとB4が現実的なサイズでしょう。

使い方

スケッチブックの使い方としていくつかの用途がありますが、その代表的な使い方を紹介します。

(1) アイディアの記録媒体として

筆者は主にマインドマップを使って、1人作業の場合の作業の洗い出し、問題抽出、方針決定、などを行います。また、UMLを使ったモデリングもスケッチブック上で行うことが多いです。その際にスケッチブックにマインドマップやUMLを描いて考えるのです。

もちろんB5やA4のノートでも構いませんが、紙のサイズはより広いほうがゆったりと描けます。また色をつけるために水性マーカーなどを使用するため、ある程度の紙の厚みがあったほうが裏写りが防げてよいです。またスケッチブックは無地です。自由に筆を伸ばせる無地のスケッチブックはアイディアを記入する媒体として非常に適していると思います。

(2) ホワイトボード代りとして

複数人でなんらかの議論を行う際に、スケッチブックをホワイトボード代りに、水彩ペンで書きながら議論を勧めます。もちろん、会議室にホワイトボードがあったり、携帯サイズのホワイトボードがあったりすればそれでよいのですが、ホワイトボードがない環境や、ホワイトボードの永続化(=コピー)ができない環境では、スケッチブックが重宝します。紙のサイズがそれなりに大きいため、テーブルの真ん中に置いて複数人で書き込みするということも可能です。

(注:2016年現在では、ホワイトボードの永続化はコピーではなくスマフォで写真撮影になっているため時代を感じさせる表現だ)

(3) メモ帳代りとして

「思考の表出」といった大袈裟な言葉を使わなくても、単なるメモ帳としても使うことができます。ただしメモ帳として使う場合は、一度に大量にメモする場合のほうがより有効的でしょう。一度にちょっとしかメモしないような用途では使用効率があまりにも悪すぎます。例えば1枚を4つのエリアに分割して使用する、などの工夫が必要です。

(4) 描いて考える、見せるために

最近、筆者が意識しているのは「描いて考える」ことです。これはマインドマッピングもそうですし、プライベートライティング(考えたことをそのまま紙に書き写す技法)という技法を使って、とにかく頭の中にあるもやもやとした考えを紙に描きだすこともそうです。

もちろんPCを使ってテキストエディタや、ワープロソフト上で書くことでもいいのですが、筆者は手描きを好んで使っています。手描きは鉛筆を使わない限り、Undoが効かないのが難点ですが、失敗も含めてデジタルよりも思考過程を記録できることも特徴です。

先日、雑誌の記事で「渋谷で働く社長の告白」の著者であり、(株)サイバーエージェントの代表取締役である、藤田晋氏が、マルマンのスケッチブックを片手に社内を練り歩き、所々でアイディアをスケッチブックに書き、社員に説明しているという話が掲載されていました。(注:当時の藤田氏のブログにその片鱗が書かれている:marumanの画用紙

スケッチブックを持ち歩くことによって、アイディアの「速記と表出化」を、周りの人間と一緒にできるように準備しているのかもしれません。

常に自分のアイディアを表出化して共有するためにスケッチブックを持ち歩く、これは十分「アジャツール」なのではないでしょうか。

補足

私が使用しているスケッチブックはマルマンの「図案印刷スケッチブックS120 B4」です。使用したことはないですが、同じマルマンの「ソーホーブック SOHO200A 大」はサイズがB4で、リング綴じで画用紙が60枚セットのようです。(現在は廃盤)

追記

2016年現在のマルマンのサイトには、スケッチブックの使い方のページがありました。単に絵を書くだけでなく、様々な用途での利用シーンが紹介されており、スケッチブックの応用範囲の広さを伺わせます。

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