アジャツール 第20回 用途別オススメ筆記具はこれ!

はじめに

早いもので、この連載も20回を数えてしまいました。最初は10回くらいでネタ切れか?と予想していたのですが、無理矢理なネタと、皆さまの暖い応援もあって、なんとか続けてくることができました。

(注:第19回は、筆者の代理で当時の同僚の川上氏が振動時計を紹介した。)

今でこそライフハック花盛りで、個人のblogなどでもアナログツールの使い方やコツを紹介していますが、この連載当初(2005年)では、まだアナログツールのコツを紹介するような機会はあまりなかったように思います。どちらかというと暗黙知に近い状況だったのかもしれません。

しかし最近では、「これはアジャツール?」といった声や、「アジャツールに、こんなツールを紹介したいんです」というお話もちらほら聞きます。実際の現場で便利なツールや工夫を共有するという流れは、素晴しいとつくづく思います。今度のオブラブのイベントで、皆のアジャツールを持ち寄って紹介しあうセッションなどができると良いなぁと妄想している今日この頃です。

筆記具を忘れていた

今回紹介するのは、筆記具です。実はいままでのアジャツールはスケッチブック、情報カードなど、書き込む媒体を中心に紹介していたのですが、筆記用具については万年筆くらいしか紹介していませんでした。万年筆は筆者の半分趣味ですので、なかなか現場で使うことは難しいと思います。ボールペンがあれば十分という方もいらっしゃるかもしれませんが、筆記具は用途によって使いわけるほうが楽しいですよ。

主にオフィスで使うことを考えて、使いやすさの他にも、入手しやすさ、手頃な価格という観点で選んだ筆記具を紹介します。

貼り物に書くならコレ

壁に貼る付箋やカードにはどんな筆記具で書いていますか?もし自分しか見ないのであれば、ボールペンやシャーペンなど何で書いてもよいでしょう。しかし壁に貼り、数人で共有するのであれば、ちゃんと視認性を考慮した筆記具を選ぶ必要があります。筆者が使っている筆記具を紹介します。

筆者の回りでは、ラッションペンを使う人が多いです。ラッションペンは水性ですが、よく書け、ペンの太さが0.4–0.6mmと適度な視認性を提供してくれます。使い続けていると、キャップが外れやすくなるのが難ですが、非常にバランスのよい水性ペンです。

水性ペンと言えばぺんてるのサインペンも外せないでしょう。こちらはラッションペンよりも若干太い(0.8mm)ので、大きめの付箋、カードに書く場合に適しています。

他にも各社からサインペン、水性ペンが出ていますが、書く紙のサイズと、字幅のバランスを考えて使うとよいでしょう。どちらの製品も長く使われており、入手しやすいのが特徴です。他のペンでも視認性がよければよいのですが、油性マーカーだけは避けましょう。なぜなら裏うつりしてしまうことがあるからです。

(注:現在は、プラチナのプレピーシリーズもオススメ)

絵を描くならコレ

日々の仕事の中で紙に絵を描く機会がありますか?もし絵を描く機会がないなら、積極的に絵を描く機会を設けることをお勧めします。先日勉強会が開催されたファシリテーショングラフィックでは、会議の進行を見える化する目的で、板書をビジュアルに表現することを提唱しています。普段の生活ではなかなかカラフルな絵を描く機会などありませんので、できるだけ楽しさを感じられるものがよいですね。

(注:執筆当時はファシリテーショングラフィックが日本で提唱され始めたが、まだグラフィックレーコディングはまだ日本には紹介されていなかった。)

模造紙のような大きな紙に、カラフルな絵を描く場合は、入手しやすく扱いやすい三菱鉛筆のプロッキーがお勧めです。最大12色と現場で使うには十分な色数が用意されています。太字と細字の種類があります。筆者は細字を使っていて、キャップをきっちり締めるのを忘れて乾燥して描けなくなった経験が何度かあります。そのため太字をお勧めしておきます。先のファシリテーショングラフィックの勉強会でもプロッキーを勧めていたそうです。

もうひとつお勧めなのは、オブラブイベントの景品にもなったゲルマーカーです。一部ではすっかりお馴染のパステル風画材です。ゲルマーカーの最大の特徴はその書き味にあります。固形の芯が、紙に触れたとたんに液状化し、パステル風に色を敷きつめていく、このなめらかな書き味は、言葉では伝えることが難しいです。実際に書いてみないとわからない気持ち良さです。

プロッキーがはっきりとした線で描けるのに対して、ゲルマーカーはもっと鮮やかな発色と、パステル風のややかすれた表現が特徴です。

ホワイトボードに書くならコレ

オフィスではどんなホワイトボードマーカーを使っていますか? 大抵のオフィスでは、ホワイトボードマーカーはまとめて発注して用意していると思います。しかし常備してあるマーカーをあえて使わずにお勧めしたいホワイトボードマーカーがあります。それがボードマスターです。他のホワイトボードマーカーに比べ、このボードマスターは明かな違いがあるのです。

(注:執筆当時はボードマスターは太字と中細字だけだったが、近年は中字、細字、極細字、ペン先も丸芯だけでなく、平芯も加わり、さらに使い勝手が増している。(メーカーサイトより))

ペン先、カートリッジインクが交換できるというエコロジカルな面も魅力なのですが、最大のお勧めポイントは濃い筆跡にあります。大抵のホワイトボードマーカーは、長く書いていると、だんだんかすれてきてストレスの原因となります。しかしボードマスターは、ギリギリまで濃い筆跡で書くことができます。そのあまりのインクの濃さで、手で消そうとするときれいに消えなくなるほどです。

ホワイトボードマーカーのような消耗品は、オフィス向けの通販で低価格な使い捨て品を大量購入することが多いかもしれません。そのようなホワイトボードマーカーを使っていると、会議室に描けないマーカーが大量に乱立し、どれもこれも「かすれマーカー」ばかりで、怒りでゴミ箱に投げつけてしまうことがあるかもしれません。そんな時には是非ボードマスターを使ってみてください。ストレスフリーなホワイトボード利用ができるはずです。

まとめ

今回はメジャーどころな筆記具を紹介しました。最近文房具の紹介の本が多く出版されていますが、どれも個人的な用途に留まっており、オフィスの筆記具でどんな製品がよいか、という紹介はあまり見あたらないように感じます。「単にオフィスに常備されているから使う」ということではなく、自分の用途に求められる要件を通じて筆記具を見直してみると、また新しい発見があるかもしれません。今回の紹介した製品以外にも、よい製品があれば是非教えてくださいね。

Published at 2007/03/07.

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