アジャツール 第21回 小さなカイゼンを楽しく積み重ねていく先にあるもの

はじめに

二年以上に渡り続けてきた本連載ですが、突然ではありますが今回を持ちまして連載を終了します。今回は最終回ということで、今迄のアジャツールを連載中の気づき、筆者の想いを書き記して、「筆」ならぬ「キーボードとSKK」を置きたいと思います。

連載の中での気づき

まず一番感じたのは、読者が多くいたことです。筆者がコミュニティやお客様で自己紹介をした時に、「アジャツール、読んでますよ」と言われたことが一度や二度ではありませんでした。こういうことを言われて一番驚いたのが実は筆者自身です。フィードバックが前提のblogなどとは違い、メルマガはどうしても単一方向の発信ですし、モチベーションの維持にも気を使うのですが、こういった声を聞くとやはり励みになりました。時には読者の方から編集宛てのメールアドレスに感想が届くこともあったと記憶しています。つくづく読者のフィードバックほど嬉しいものはないな、と感じます。

また連載を続けていると、ネタ不足で「何を書こうか?」と悩むことは一度や二度ではありません。その中でちょっとしたネタを元に、内容を膨らまして書いたネタなどは、本来ならばそこまで書く必要も機会もなかったようなネタでした。例えば第9回の壁のネタなどはその典型的な例です。

実はアジャツールで試みたのは、日々のちょっとした工夫、Tipsなどあえて文章化するまでもないような小ネタ(暗黙知)を文章(形式知)にまとめるということだったのです。「わざわざ書くまでもないかな? でも書いておくことで他の誰かのためになるかもしれない」、そのような内容を書き記したつもりです。

このことは、筆者の連載開始当時にはあまり意識していなかった 「XXX Hack」にも繋がっていると感じています。今では、個人のblogで「Life Hack」というカテゴリで様々なハック(Tips)が公開されている時代です。そんな時代が来たことを嬉しく思うと同時に、アジャツールの役割も終了したのだと感じるのです。

また、第10回のお菓子第11回のジャグリングのように、なかば冗談のようなネタも真剣に書いてきました。これらを通じて伝えたかったのは、例え小さなことでも、その裏には必ず意図があり、その意図はなんらかの根拠の元に成り立っているということを伝えたかったのです。このような小さな意図の積み重ねが、現場の効率や雰囲気を作り上げていくのです。これらは派手なものではないですが、取り巻く人々にとっては重要なことで軽視してはいけないのです。

もしあなたのまわりの環境が、そういったちょっとした工夫を許さない環境だったとしても、腐らないでください。まずあなた一人から初めてください。そしてその良さを楽しそうに、さりげなく周囲に伝えてください。人から聞かれたら、にっこり笑って説明してあげてください。そしてそれを続けてください。そうすれば、あなたの工夫はじわりじわりと回りに広まっていくのです。筆者はこれを腰リールというものの広がりで体験しました。

試すこと、改善すること、無駄にしないこと

そして最後にアジャツール連載開始時には考えていなかった点に触れたいと思います。日々の現場から生れる工夫を実現するには、まず試すことが必要になります。そして最初の試作品が改善されて、現場の必需品になっていきます。

筆者が最近強く思うのは、常に試作品だからこそ、その材料には気を使わなければならないということです。具体的に言えば、紙なら再生紙や計画された森林を使用していると明記されているものを、できればプラスチック素材を避け、使うならば、燃焼時に有害ガスが発生しないものやペット製品のリサイクル、、輸送時にCO2を大量に発生する輸入品ではなく国産品、こういった視点を、コスト、ブランドのような指針のひとつとして、頭の隅に置いて、日々の工夫の糧になる素材を選んで欲しいと願います。

おまけ

第6回 で紹介したLight Write Boardがメーカーから販売が中止されていたのですが、類似品がカウネット で「デビカ」というメーカーから「ワイドカラーボード」という名称で購入できるのを最後の情報としたいと思います。これまで連載を御読み頂きありがとうございました。また別の機会に御会いしましょう。

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