ベトナムと自分

アセナビ・ベトナム記事ライターの森です。今回は僕のMedium上での初めての記事。この記事では、僕がこの3年間でベトナムに抱いた想いを書きます。

ベトナムと自分の話

この3年間、自分はベトナムのことばかり。

「森といえばベトナム」と周りの人たちにも思われていたし、それが何となくちょっと嫌だった。もちろん色んな世界への好奇心があるから、インターン生としてスリランカのiNGOに2ヶ月いたこともある。

でもやっぱり自分にはベトナムが合っていると思う。

2015年8月から2016年8月までの1年間、ベトナムのリゾート地ダナン(写真の都市)でお土産事業立ち上げのインターンをしていた。そこでは本当に大切だと思える友人が何人かでき、仕事も一生懸命にやりたかった。

ダナンにいた1年間は目の前のことばかりで、立ち止まってゆっくり考えることがほとんどなかった。

ベトナムに興味を持った理由としては、3年前に初めてホーチミンに行った時にできた2人の友人の影響が強い。こんなsuper niceなベトナムの人たちがいるんだって感動した。

それは、2歳年上の青年Lと1歳年下の女の子T。

現在24歳のLは、3年前に月給2万円の給与明細を自慢げに見せてくれた。当時、ほとんど日本のことしか知らなかった自分はその額に大いにショックを受けた。こんなに安いのかと。その後、彼から筑波大学に留学したいと相談を受け(筑波大学には英語のみで卒業できるG30という政府のプログラムがある)、筑波大学のベトナム人職員を紹介したが、56万円/年の授業料のハードルはあまりにも高かった。奨学金を利用しても到底賄えきれない。そしてその後Lは筑波大学への留学を諦め、フィリピンに半年留学することに。元々の飛び抜けた英語力と勤勉さもあり、さらに実際は24歳だが28歳と偽っていいポジションについていることもあり、月給は12万円になった。今はアメリカ出張中。

もう1人の女の子のTは現在21歳。彼女は海外経験が全くない高校生の時からTOEFL iBTが112点という驚異の英語スコアを保有していた。高校生の頃からボランティアや、大学に入学してからはホーチミンでの英語教育に力を入れるなど精力的に活動している。将来の目標は日本国内閣府の東南アジア青年の船に乗ること。

こんな素敵な人たちがいるんだって分かった。また会いに来たいって思った。

それがベトナムに興味を持ったきっかけ。

そんなベトナム滞在も今まで計5回、期間は1年半になった。

ベトナムでは、「お金がない」という話をベトナム人の友人たちから時には涙を流しながら何回もされた。

貧しいのがみっともないと思うのは、世界中どこでもそうだろう。「健康であればそれでいいの」というのは真理かもしれないけど、それはお金持ちの言葉。それに健康であるためにもお金は必要だ。ベトナム人にももちろん本音と建前はある。自分の周りの日本人学生たちもやっぱり学生だから「お金が無い」ってなるし、それは事実。でも、そこに必死さがある人はそこまで多くない。扶養者や社会が担保してくれるだろうというある程度の安心感。自分の大学の国際関係という専門もやはり比較的裕福な人が多い。

ベトナム人が日本に行くことがどれだけ大変なことなのか、海外に来ている森のことがどれだけ羨ましいか。”I envy you.”や”You’re so lucky!”と何十回も言われた。

一方で、自分は親のすねをかじりながら、ロクな経済活動はしていない。時間を切り売りするアルバイトはしたくないけど、それをしている人も偉いと思う。

学生のうちに海外に出るメリットは、何といっても現地の若者と友だちになれること。

ベトナム人と一緒にまくらを並べて寝た数も、一緒に食卓を囲んだ数も誰にも負けない。

社会に出てから海外に出て、お金が絡まない関係になることは難しい。もちろんお金が絡むことは全然悪いことではないし、自分も全く絡んでいないわけではない。そんな中でも、ネガティブなことも対等にシェア出来る友人がいること、自分の夢と劣等感を恥ずかし気もなく堂々とさらけ出してくれる友人がいること、恋人と別れた時に目を潤ませながら気持ちをぶつけてくれるベトナム人の友人が、数は少ないけど自分にはいる。このことは、自分が学生であることも1つの理由だと思う。

本気で語らうことができる人が1人でも出来たのであれば、その国の見方は変わる。

表面上だけの関係であることも往々にしてあるけど、それもいい。

確かに、日本人にベトナム人の気持ちは分からないと思う。

ベトナムの人にとって日本は経済的にも文化的にも先進国。一方で、日本にとって「ベトナムにとっての日本」のような存在は無い。日本はアメリカなどに文化的な憧れを持っているけど、GDPが10倍も違うということはない。そして、もちろんベトナム人にも日本人の気持ちは分からない。一般化は出来ないけど。

日本人がベトナムに行ったら、先進国から来ているからチヤホヤされる。これを受けて、ベトナム人が第一印象では日本人を一般化していて個人を見ていないと嘆くような贅沢な悩みもある一方、このことが自分がベトナムに行く理由と関係がないというのも嘘になる。

チヤホヤされて勘違いすることは危ないけど、それは暮らしやすさでもある。嫌われたり、無関心でいられるよりはいいはず。人種的にチヤホヤされない国・環境の方が多いのも分かっているけど、日本人がそこそこ尊重される環境にあるのならそれをスタートにして頑張ればいい。それを恥じたり、後ろめたく思う必要はない。

自分はベトナム南部ドンナイ省の友人の日本語教室で会話を教えたことがある。筑波の外国人留学生40人に声をかけて、その教室に日本語教材を寄付したことがある。

サイゴンにあるコンサル・人材会社からお金をもらって、インターン&ボランティア斡旋の団体を紹介したこともある。でもそれはsustainableではなかった。

この社会にビジネスでアプローチしたい。

確かに、最近は日本でも格差社会が問題視されている。

しかしそれは、アジアやアフリカの比ではない。周りに豊かな人が多い分、日本にいる方が劣等感が大きくなるのかもしれない。でも、その分浮上するための色々な手段が出てくる。そしてそれは、海外への距離の近さでもある。

自分がどれだけ恵まれているかどうかを知らないっていうのは本当にヤバい。

父親がアメリカに進学するという理由で1歳の時からアメリカを経験「出来た」自分。小学生の時から飛行機で一人旅を「出来た」自分。大学を1年間休んで海外インターンを「出来た」自分が世界平均的に見てどれだけ特異な存在かは分かっている。

そして、それについて深い感謝はあれど、申し訳ないという気持ちは全くない。

自分や多くの日本人の友人たちは世界的に見ると、かなり恵まれている。

世界の全所帯の経済の中では、上位0.0何%だ。

おばあちゃんから「あなたはとても恵まれているのよ」と言われたときも頭では分かっていた。

でも頭で分かっているのと実体験が伴っているのでは全く違う。頭で分かっているだけでは、なかなかアプトプットには移せない。

ベトナム中部クワンナム省のおじさんが1年間農業に費やして稼ぎだすお金よりも、日本人の18歳の青年が1ヶ月間1日8時間アルバイトをした方が多く稼げる。かけている時間は12分の1。

そして、そのクワンナム省のおじさんが稼ぎだしたお金で家族を養うのがギリギリで世帯としての貯蓄は10万円しかない一方で、豊かな家庭に生まれた18歳の青年がその1ヶ月のアルバイトで稼いだお金で行けない国は世界のどこにもない。

物価が違うのはまた別の話。なぜなら物価の水準が平均で6倍違ったとしても、ベトナムの2万円と日本の12万円の持つ意味は違うから。2万円でベトナムからパリに行くことはできなくても、12万円あれば日本とカリフォルニアを往復できる。憧れとエネルギーに溢れる若者たちに「物価が違うから」というそんな体のいい説明で国内だけに目を向けさせて納得させるのは無理がある。

だからといって申し訳ないけど、ベトナム人が日本人よりも頑張っているとも一概には言えない。

ベトナム人学生は日本人学生よりもたくさん勉強する。それは事実のようにも見える。なぜならベトナムに来る日本人とコミュニケーションをとるのは主にエリートだから。

みんな生きるために一生懸命で、見栄を張るために美しい言葉を探しているのは一緒だ。

ベトナム人の情報感度の低さは本当に危惧すべきだと思う。「イギリスがEUを離脱したことによる自国への影響は?」「民主主義の国家の特徴は何か?」後者については、海外経験が無ければベトナム人が実体験を伴って知るのは難しいと思うが。大学の同期の多くが自分と同じ時期に欧米に飛び立ち、その国の人たちの政治への関心の高さに驚いていた一方、ベトナムにいて主にベトナム人と関わっていた自分がそれを感じられたことは無い。

自分も語れる程の知識はないが、ニュースを追いながらなんとなく日本人が一般的に持つアイディアに実体験を付け加えることぐらいはできる。月並みな感想だが、ベトナムもこのままでは、リテラシーがない大半の層がグローバリゼーションとITの波に飲まれ、格差は広まるばかりだと思う。

自分はこの3年で何が変わったか。

それは諦めだったり、とにかく身近な人を幸せに出来るようになればという新しい形の当事者意識だったり。

帰国してからもうすぐ2ヶ月が経つ。就職活動で満員電車に揺られている内にこのベトナムでの想いを忘れるのはあまりにも間抜けでもったいない。

やっぱりダナンが好きだ。ベトナムの人材にアプローチしたい。

自分に問い続けたい。

ホーチミンで青年が2万円の給与明細を誇らしげに見せてきたことに驚いていた18歳の自分と比べて、今は何が変わって、何を出来るようになりましたか?

自分が身近なベトナム人たちにとってVIPになる日を目指して。

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