クリエイターがモノを売る時代。キンコン西野『革命のファンファーレ』
キングコング西野さんの『革命のファンファーレ』を読んだ。「現代のお金と広告」という副題がついているけれども、クリエイターがここまで資金調達と、マーケティングについて語ることはなかなかなかったと思う。というよりは、これまでその部分には触れずに、「いいモノをつくる」ことが美徳とされてきた、ということだろうか。
いくつか、僕に刺さったキーワードをまとめてみる。
好きなことを仕事化するしか道が残されていない
これは僕がこの数年で実験していることでもある。
お金は=ストレスの対価
と捉えている世代がまだ大多数だが、ストレスがかかる仕事から順にロボット化されていく。そうなると、人間に残された仕事は、ストレスのかからないこと、つまり遊びや趣味しかない。
時間軸はこの数年で大きな変化が訪れるか、10−20年かかるのか分野にも寄ると思うが、少なくとも僕の場合は好きな仕事だけして生きることが出来ている。好きであることは、突き抜けることにつながり、なにかしらの価値を創出できるからだ。
芸人というのは、肩書きではなく、生き方の名称だ
芸人って、見ているだけで面白い。彼らの芸も、生き方も。僕も芸人でありたいと強く思う。
テレビとインターネットで求められる価値の違い
「好感度」ではなく「信用」
「認知」ではなく「人気」
が大事な理由が説明できない人は読んだ方がいい。
テレビでは、ビジネスモデルがスポンサーからの広告収入だった。だから、とにかくスポンサーが求めるのは認知度と好感度。
一方、インターネットで課金モデルをベースにする場合は、信用と、人気。本当のことを言っているか、広く浅くではなく、深く突き刺さるファンを持っているか。
この部分は、メディアを運営する僕らも気にすべき部分だろう。
「やりたい」というエネルギーが人を動かす
「やりたい」の力は大きなムーブメントを起こす。
一方、ただ「ラクに暮らしたい」だけの場合にはお金は集まらない。
コンテンツの、無料と有料の使い分け
西野さんは、コンテンツを無料でばらまいて貯信(信用を貯める)することと、ファンから有料でマネタイズする部分の使い分けが天才的にセンス良いと思う。
無料で貯信=コンテンツをばら撒いてムーブメントを起こす
それを使って、
有料でマネタイズ=オンラインサロン、クラウドファンディング
無料で絵本をばらまくとは何事だ、という方も多いけれど、その多くは自分の仕事の保身だったり、感情論だったりする。彼がそこを破壊できているのは、感情じゃなくて、今の環境の理解から来ているのだと思う。
クリエイターは、最強のマーケターであれ
彼が作品として生み出しているのは『えんとつ街のプペル』くらいだったりするのだが、徹底した「売る」ことへのトライと、webのグロースハッカーなみのPDCAにより、とにかく売れていることが分かる。売れるのだから、次の作品が創りやすくなる。クリエイターは、環境に甘えてはダメだ。自分で次の制作チャンスを生み出すこと。
もちろん、この「売る」部分が不得意なクリエイターは、得意なプロデューサーと組む手もあるだろう。ただ、境界線が溶け合っている時代ではあると思う。
編集者の箕輪さんの手がける作品は、今の時代の変化をズドンと突いてくる。こちらも激刺さりしたので、合わせてどうぞ。
前作の『魔法のコンパス 道なき道の歩き方』も面白かったけど、今回はそこから1年経って、その分の実験結果が公開されている。きっと、1年後には新たな実験とその結果が出ているのが楽しみだ。