ビジネスモデルは創業チームのため、ビジネスプランは銀行のため。ビジョンは(誰よりも)自分のため

テクノロジービジネスを起こすにあたって、周りを巻き込むために必要なものは4つあるんじゃないでしょうか。

ビジョン、ビジネスモデル、研究計画、事業計画。ただ、最初から全部つくる必要はないです。

研究者の場合、いきなり研究計画から作ることが多いように思います。ただ、それでは”研究費を稼げる”研究としてだけ、成り立つ計画になってしまいがち。事業化を念頭においたときは具合が悪い。

そんなわけで、作る順番も重要だと思うようになりました。まずはビジョンとビジネスモデルを作っておいたほうが、意味のある研究計画が立つ。そこからの帰結で、優れた事業計画が出来上がる。そういう仕組みになってるんじゃないかと。


ビジョンは自分のため

たいがいの研究者の人は「どうやってビジョンを描けばいいですか?」なんて聞いてこない。たいがいの研究や技術には存在意義がある。もしくは語りきれないほどの妄想を抱えている。ので、わざわざ教えるというか、そういう機会はあんまりないように思うが、ビジョンを描いて、端的にまとめて周りに言いふらすところまで是非やってほしい。自分に跳ね返ってきて、結果、自分(創業者)のためになる。

まずは作ってみたいMission-Drivenな言い方

ひとつがミッションドリブンな表現の仕方だ。この場合は事業が課題解決を志すものだと、ピタリとはまる。

世の中にはAという課題がある。この課題をなんとかしたい。その結果、こんな世の中にしたい。

もっと縮めると「◯◯を解決します!」と言えばいいのがMission-Drivenなビジョン表現の究極の形だといえる。これを言っておけば、周りの人は「あの人は◯◯を解決したい人」と覚えられる。

地に足をつけつつ、発想を飛躍させたいTechnology-Drivenな言い方

研究中の技術がモノになりそうだ!というテンションのときは、技術から発露するイメージをまとめたらいいと思うんですよね。典型的な表現は、

私の開発した技術Xを発展させていって、PやQやRを良くしたい。

研究者にありがちなのが、「良くしたいPやQやR」をシャープに表現できない場合が多い、ってことかと思っています。あんまりにも手近な目標でもつまらない。かといって高尚すぎる課題でも人にピンとこない。あと、技術が発展するとかなり用途の広がりがイメージできるものの場合、いろんなものが解決できるなら、それを幾つか具体的に言うべき。そんなことを相談のなかから感じています。

両方を併せ持つ。

研究者がはじめるテクノロジービジネスの場合、ミッションと技術の両方の後押しがあってしかるべきです。その場合、ビジョンは

世の中にはAという課題がある。それを私たちの技術Xを用いて、PやQやRをよくしていくことで、その結果、こんな世の中にしていきたい

みたいな表現にまとまっていくのかなあ、と思う。

事業を進めるにあたって、人を惹きつけたり、投資家にアピールしたりするときに、ビジョンがどこまでまとまっているか。とても重要です。さらにフレーズとして、人に言いふらしやすいかは自分の熱の米やすさにも関わってきます。

リバネスの丸幸弘やユーグレナの出雲充も対談のなかで「ビジョンはバームクーヘンのようにできる」と言っています。結局、自分に一番腑に落ちするビジョンは「ゆっくりと形成される」んだと思います。

だから冒頭に書いたように、とりあえず「その妄想を言葉にして、まわりに言いふらしてみる、するとMissionとTechnologyの両成分を含んだ、使えるビジョンができあがる」というふうに思えるのです。


ビジネスモデルは創業者(たち)のため

研究者の方々に「ビジネスモデル」というととかく複雑に考えがちですが、結局ビジネスモデルってなんなんですかね。もっとも簡素に表現すると、

  1. 誰のポケットにあなたのお金があるか?
  2. それをどうやってあなたのポケットに移すか?

に尽きます。まずは「出品料と手数料がかかる」「ライセンス料がかかる」くらいの表現でよいのです。

これが一言でいえたら、どうやって作って、どうやって届けて、とかを補足していく。市場規模とかは未だ調べなくていいです。まず最初の数名をどうやって捕まえるか、のほうが大事です。

で、むっちゃあやふやでいいから作ったほうがいい理由もあります。

ポイントは「ビジネスモデルは仮説」ということ。「どういう価値をつくって」「どうやって届けるから」「いくらくらいお金を払ってもらえる」という部品を束ねてつくっていけばいいと思います。所々を適当につくっているので、できればヒアリングや、パイロット生産などの実験的手法を使って仮説の正しさを証明する。というスタンスがテクノロジービジネスには向いていると思います。


研究計画はビジネスモデルを強くしていくため。

これでようやく「研究計画」の出番です。ビジネスモデルを粗々でいいかた作りきると、

・そもそも技術開発ができていないから製品ができない

・いまの費用感だと無理/製造原価が合わない

・宣伝費とか利益を乗せると、価格が高すぎる

とかそういった悩みがはっきりするんです。すると、製造の研究開発をしたほうがいいとか、そもそもの技術を積み増すほうがいいとかわかります(他人が)。すると研究チームと経営チームの間に共通言語がうまれて、予算の回しあいなどもスムーズでしょう。

結局、研究計画は、研究予算承認者のためのもの。プロジェクトにとりかかるメンバー集め、資金集めに役立つものなのです。ヒト・モノ・カネのうちヒトとカネを集めるために必要。「まだやられていない」「できそう(取り組めそう)」という2点を証明すればよい。ということになります


事業計画は銀行のためのもの

「こうやって儲ける」がわかって、「こうやって技術を事業にしていく」という研究計画ができたら、ようやく事業計画です。

事業計画は何に応えるためのものかというと、「いつまでに、いくら儲かるの?」という問いに応えるためのものです。何に使うかというと、資金調達です。ですが、資金調達のさいに最も重要性が低いものの一つとも揶揄されてます。では事業計画をつくる重要性とはなんでしょうか。ガイ・カワサキいわく、

  • いずれにせよ事業計画は提出する必要がある。ただ出せることが大事
  • 事業計画をつくるには一致協力せざるを得ない。副作用として邪魔な人がわかる
  • 適当にごまかしてきたことがわかる。

といった辺りだそうです。


長くなりましたが、以上です。

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