事業創出前夜の迷い:ハリネズミの概念:シンプルかつ突破力のある戦略をたてる

『ビジョナリー・カンパニー2 第5章単純明快な戦略』は、何かを始めようとしている人はマストで読んで欲しい部分だ。

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狐は賢い動物で、複雑な作戦をつぎつぎに編み出して、針鼠を不意打ちしようとする。

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対するハリネズミは、短い足でちょこちょこ歩き、餌を探し、巣を守るだけの単純な生活を送っている。

ビジョナリー・カンパニー2に登場する寓話では狐はハリネズミを仕留めるために何度も襲い掛かる。狐は目にも止まらぬ速さで飛びかかる。ちっぽけなハリネズミは身体を丸めて小さな球のようになる。狐はハリネズミの防御姿勢をみて飛びかかるのを諦める。狐は知恵が有るのに、勝つのはいつもハリネズミだ。

狐の繰り出す作戦は、丸まって針をたてるハリネズミに勝てない。ハリネズミはシンプルな防御戦略をとる。というかシンプルな防御しか取れない。それでも毎回勝つ。

ハリネズミはどうしていつも勝利するのか?

ハリネズミ型とは、こういう人間のことですよ。という説明がある。

針鼠型の人たちは、複雑な世界をひとつの系統だった考え、基本原理、基本概念によって単純化し、これですべてをまとめ、すべての行動を決定している。世界がどれほど複雑であっても、針鼠型の人たちはあらゆる課題や難題を単純な、そう、単純すぎるほど単純な針鼠の概念によってとらえる

ハリネズミはどこにフォーカスしているのか?

ハリネズミは3つの円が重なるエリアに集中している。

何にフォーカスするべきか?を考えるための3つの問いがある。

自社が世界一になれる部分はどこか

コアコンピタンスが大事、というわけではなくて。世界一を目指すべきだとビジョナリー・カンパニー2は言う。もっともだ。無難な仕事を続けていても無難になれるだけである。世界一を目指そう。

ただし、「できること」と「世界一の目標」は全然別だ。

この基準は、中核的能力がどこにあるかよりもはるかに厳しい。中核的能力があっても、その部分で世界一になれるとはかぎらない。逆に、世界一になれる部分は、その時点で従事していない事業かもしれない。

偉大な企業へと飛躍するには「何かをうまくできるからといって、利益をあげていて成長しているからといって、それで最高になれるとかぎらない」と判断する規律がなければならない。やめるべきことリストの活用が重要だ。

経済的原動力になるのは何か。

お金も大事だ。ただし利益確保を優先しろという意味ではない。利益とキャッシュフローは血液と水分のようなもので、身の丈にあった量をもちつつ、循環していることが大事だという考えに立脚する。

その数値をどう選ぶか、がハリネズミ型になるためには大事になってくる。

飛躍した企業はいずれも、鋭い分析によって、キャッシュフローと利益を継続的に大量に生み出すもっとも効率的な方法を見抜いている。具体的には、財務実績に最大の影響を与える分母をたったひとつ選んで、「X当たり利益」という形で目標を設定している(非営利事業であれば、「X当たり年間予算」になるだろう)。

この財務指標の分母をどうやって選ぶか。

自社で「X当たり利益」(非営利事業なら「X当たり年間予算」)をたったひとつ、基準になる財務指標として採用し、これを長期にわたって一貫して上昇させていくことを目標にすると想定した場合、Xに何を選べば、自社の経済的原動力にもっとも大きく、もっとも持続的な影響を与えられるだろう

何がビジネスに影響するか、よく考え抜けつづけろ、ということである。

情熱をもって取り組めるのは何か。

偉大な企業は、情熱をかきたてられる事業に焦点を絞っている。どうすれば熱意を刺激できるのかではなく、どのような事業になら情熱をもっているかを見つけ出すことがカギになっている

情熱の価値は計り知れない。上に挙げたような「世界一を目指す」なんていう困難そうなことと、「経済的原動力」を兼ね備えたことを同時に達成するなんていうのは、大変なのだ。世界を変えそうな飛躍のあるものほど、実現可能性は乏しい。もしくは実現させるための技術や組織づくりがむずかしいものだったりする。このジレンマを乗り越えるところの原動力が情熱だ。

ビジョナリー・カンパニー2では、ハリネズミの気質を持つひとをバスに選んで載せろ、ということも言っている。難しいのは「情熱家はそれを表に出さない。心に秘めている」という傾向があることだ。だが、情熱を持っている人はそれが生き方に表れてくる。粘り強さ、気概、真剣さ、すべてをなげうって没頭する姿勢といった情熱家の資質は、履歴書でははかれない。あとで振り返って気づくことは出来る。おもわずやらずにはいられないこと、誰にも強制されずに没頭したこと、などがあなたの情熱だ。

リバネスの「3つの円」

3つの円がなんであるか、言葉にしてみようと思う。世界一になれる部分はシンプルにいえば「科学技術をわかりやすく伝えることによって、事を仕掛ける」ことだ。教育、人材育成、事業創出を同時に巻き起こすための1つの仕組みを運用しており、これを世界一に持っていく。

経済的原動力は、「プロジェクトあたり利益」だと思われる。50%利益率ルールを課すことで内部チェックが入る。自律的であり、メンバー個々人が計算して知ることができるダッシュボード的にも機能する。

情熱の円に入るものはなんだろうか。それは「科学」と「教育」と「ビジネス」なんだと思う。必ずしもビジネスの経験じゃなくて、「ビジネスにして、問題解決に取り組んでみたい」という好奇心や趣味嗜好だったりする。

研究だけがしたい!という人のことでもないなあ。ましては実験がしたい、という人のことでもない。

今からリバネス入社面接を受けるとするなら

自分だったら何て説明するかな。改めて考えてみるのも一興だと思った。ビジョナリー・カンパニーをよーく読んだうえで、リバネスの事業を見渡した経験から言うなら「世界一の教育・人材育成・事業創出スキームづくりに参加したい」。うん、このモチベーションが健全そうだ。

なお、弊社リバネス、絶賛採用募集中ですので「科学技術の教育・人材育成・事業創出プラットフォーム」をつくっていくことに興味のある方はぜひお問い合わせください

また、ビジョナリー・カンパニーの感想書いたほかのエントリもあります

「熱本」「Zero to One」「Exponential Organizations」と、「ビジョナリー・カンパニー」クロス読解のご提案

http://y-shinozw.hateblo.jp/entry/2015/01/03/225155

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