ファミリーカメラのおばちゃん(4)

キムラマサヤ
にじだより
Published in
5 min readSep 30, 2019

前回からの続き

目次
・進捗
・ここまでのまとめ、意見は何か
・フィールドからの離脱
・フィールドワーク展に向けて

進捗

この2ヶ月の夏休みもやってきたことに大きくは変化はない。夏休み前にMediumにも書いた通り、フィールドワークとジャーナル(研究会内のブログ)・Medium、そしてインタビューだ。
特筆すべきはインタビューだ。インタビューの進み具合は正直なところ芳しくない。理由としては、インタビューの相手をおばちゃんの紹介が必要な人に実際のところ偏っていたことがある。これは全く私の準備の悪さに起因している。その条件があるために、菜穂子さんが手術・入院をされたことで大きく影響が出た。菜穂子さんの不在により、おばちゃん自身想像以上に大変だった様である。そのためインタビューの依頼ができない状態が続いた。また、インタビューをお願いしていた2名の方も入院や親族の方が予断を許されない状態に陥るなど、予想外の事案が重なった。想定外の事態が発生するというフィールドワークの現場感を非常に痛感している。
現状、菜穂子さんの体調も徐々に回復してきていることに加え、元々お願いしようとしていた方も戻られたので、再度お願いしている。先方に合わせる形にはなるので、10月いっぱいまで延期をせざるを得ない状況である。フィールドワークやMediumに関してはこのペースのまま継続していく予定だ。

ここまでのまとめ、意見は何か

まちの再開発、おばちゃんやまちへの感謝の気持ち、おばちゃんという存在に対する純粋な好奇心から、この卒業プロジェクトを始めた。前回の投稿まで進めてきて、意見を持つことができるように最終的になることを目標にしてきた。しかし、ここまでで私が考えていることなどを少しまとめたい。
おばちゃんの存在は貴重だ。時にまちの人の話し相手になり、時に叱咤激励をし、ファミリーカメラというある種憩いの場所をつくりあげている。また、面白いのはおばちゃんと知り合ってから、まちに対するアクセシビリティが上がったことが挙げられる。ファミリーカメラに通うようになってから、紹介・出会う方が増えた。これはレイ・オルデンバーグの言うところの“顔役”に近い感覚で原体験だった(注1)。そもそも、2年半前に私は写真用廃液の処理で困り、どうすればいいかアドバイスを求めにファミリーカメラに初めて足を踏み入れた。そこでおばちゃんは初対面の私に対し、知り合いの写真屋さんに聞いてみたり、写真業者を紹介してくれたりしたのだ。それ以来、おばちゃんを通して数多くの出会いがあった。カメラを譲り受けたり同世代のフィルム仲間ができたり。これは一例でしかない。私の限られた例でしかない。枚挙にいとまがないのだ。

現時点で思う、おばちゃんの2つの存在

このような社会的な役割、作用はおばちゃんにまだありそうで、他にもどういったものを持っているのか、私の興味の源泉である。そしてなぜそうなっているのか。また、こういった役割や作用を有した存在というのは何と表すのか。今のところ、おばちゃんは「おばちゃん」という概念でしか語れないのではないかと思ってしまっているが、そのポイントもこの卒業プロジェクトのキーだ。
上記のポイントを詳しく知りたいがためにフィールドワークを繰り返しているわけだが、おばちゃんに聞いてもなかなか答えてくれなかったり、自分自身のことは卑下したように捉えている。そのためおばちゃんがまちの方とどう接しているのか、お客さんやまちの人はどう思っているのか、おばちゃんらしさが滲み出るところを観察し、丁寧に振り返る必要があることを強く感じている。

フィールドからの離脱

フィールドワークは元々10月末を期限に設定していた。それは柿生のお祭りである柿祭りを重要なイベントと捉え、それが例年10月末に催されるからである。それまで含めた形でこの卒業プロジェクトを終わらせたいという想いがある。
柿祭りは今年、10月12日に実施されるということだ。またおばちゃんの誕生日が10月26日で、こちらも何か起こりそうな気配がする。そしてインタビューを結果として延長して実施しようと考えているため、やはり予定通り10月末でフィールドからの離脱に至りそうだ。

フィールドワーク展に向けて

フィールドワーク展は来年2月7日から9日に行われる予定だ。フィールドからの離脱のあと、残された時間は3ヶ月と少ない。その期間で展覧会に出せるものをつくらなければならない。
現状、どのようにまとめていくかは決めていない。ただ、ファミリーカメラに置けるものが良さそうだと感じている。もし店内に置いてあれば、お客さんとのコミュニケーションを取るきっかけになったりする。またおばちゃんは本が好きなので、本は良さそうではあるが、同様にどのような本がいいかなどはまだ全く考えていない。
フィールドからの離脱まで1ヶ月を切っているので、まとめの時期に向かいながら考えていきたい。

次号に続く…

参考文献
1. Ray Oldenburg. サードプレイス コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」. 忠平美幸訳. 東京, みすず書房, 2013, 520p

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