再会の旅路⑺

Mayu Kuji
にじだより
Published in
5 min readMar 31, 2020

フィールドワーク展について
2月7日から9日にかけて、フィールドワーク展を開催した。展示から時間が経って、改めてフィールドワーク展について振り返りながらこの文章を書いている。

フィールドワーク展で私が卒業プロジェクトの成果物として展示したのは、主に二つ。再会までにたどった道のりを示したB1サイズのパネル(フロー)と、再会した30人分の冊子だ。冊子は、これまでフィールドノートとして残してきた文章をまとめたもので、再会した人の印象や再会後に交わしたやりとりなどを描いている。フローの矢印をたどっていくと、その流れをたどった人の冊子を読めるようになっており、パネルと冊子が紐づいている様子が見て取れる。

卒業プロジェクトの成果物

この展示の形を選んだのは、自分がどのような経過をたどって再会を果たしたのか、何人の人と会ったのかなど、プロジェクトの経過と全体像を一目で伝えられるようにするためである。冊子を30人分まとめて一冊に綴じるのではなく、一人一冊という形で綴じたのもその工夫の一つだ。

フィールドワーク展は、研究会に所属しているメンバー以外の人に自分のプロジェクトについてフィードバックをもらえる機会でもある。そして実際に3日間を通して、展示を見に来てくださったさまざまな方から新鮮なフィードバックをもらうことができた。このプロジェクトを通して起きたことすべてを事細かに伝えることはできないけれど、立ち寄ってくれた人の時間の許す限り説明に努める。その際、一方的に説明することはせず、冊子を手に取って読んでもらったり、質問をもらったりした。プロジェクトの大きなテーマである「再会」についてお互いの意見や経験を伝え合ったりする場面もあり、双方向のコミュニケーションが生まれていたように思う。フィールドワーク展は、これまで進めてきたプロジェクトやプロジェクトに関わってくれた人への責任を果たす意味もある。私自身、今回のフィールドワーク展を一つの締めくくりとして楽しみながらも、頭を使いながらこれまでの経過を噛み砕いたり、落とし込んだりして過ごしていた。

お茶会について
フィールドワーク展の最中である2月8日15時、再会した人を招きお茶会を開いた。参加者は、小学校の同級生、中高の同級生、アメリカに住んでいた頃の友人など合わせて6人。いずれも、招待状に「出席する」と返事をくれた人たちだ。中高の友人2人は互いを認識していたが、その人たち以外の参加者は初対面という状態だった。

お茶会は私の展示ブースの前で行われ、集合から挨拶、自己紹介、乾杯、鑑賞タイム、記念撮影という流れで進んだ。お茶会自体は、45分ほどのものだった。お茶会が始まる前までは、お通夜のような状態になってしまったらどうしようかと心配していたが、その心配は杞憂に終わった。お茶会の中で、参加者は自分との再会について描かれた冊子を読みながらも、参加者同士で互いの冊子を読み合ったり、自己紹介の続きをしていたり。冊子が参加者同士をつなぐメディアとしての役割を果たしてくれていたのか、私が輪の中に入らずとも参加者の間で自然と会話が生まれていて、一人感激していた。それは、私がつくった冊子を題材に会話が弾んでいることへの喜びでもあったし、私が想定していた以上のやりとりが生まれていたことへの驚きでもあった。

お茶会を終えて、改めてもうこんな機会はないのだろうと思った。このプロジェクトやお茶会がなければ、出会うことがなかったかもしれない人たちが、「私」やこの「卒業プロジェクト」を接点にこうして一同に会していることが尊く思えた。

フィールドワーク展レポ
フィールドワーク展が終了してからしばらくして、招待状を送った人に展示レポを送った。このプロジェクトに関わってもらったことへのお礼、そして都合が合わず、展示に来られなかった人にプロジェクトの進捗具合や展示の様子を伝えることができたらと思ったからだ。展示レポは、卒業プロジェクトの説明と会場レポ、お茶会レポなどの項目を含み、全8ページで構成されている。

展示レポ

展示レポを送って数日後、レポが届いたという連絡が入るようになり、そこからやりとりが続く人が現れた。定期的に連絡を重ね、やりとりを途絶えさせない工夫をすれば、こうして関係性はゆるく切れることなく続いていくのかもしれない。コミュニケーションの続け方、関係性の紡ぎ方など、「再会」に次ぐ新たな視点がこのプロジェクトに加わった。

これから
卒論の提出が3ヶ月後に迫り、少しでもプロジェクトを進めていきたいところではあるが、コロナウイルスの影響で再会の日程を調整したり、人と会う約束を断念したりせざるを得ない状況が続いている。状況が状況なので無理せず、相手と相談しながら様子を見つつ進めていきたい。一刻も早くこの状況が落ち着いてほしいと思う今日この頃である。

これは、慶應義塾大学 加藤文俊研究室学部4年生の「卒業プロジェクト」の成果報告です(2020年4月1日時点)。

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