目次
・行き当たった課題
・「アプリケーション」
・これから
前章では、「個人レイヤー」と「集団レイヤー」におけるそれぞれの特性と使い方について、プロトタイプで作った図を交えながら説明した。それから2ヶ月間、主に個人レイヤーのより具体的な機能を考え、図式化していった。その中でいくつか解決すべき課題が見つかり、解決案を考えたので、その経緯について詳しく述べていく。
行き当たった課題
今までの「カテゴリー×レイヤー説」について考えていくうちに、下記2つの課題に行き当たった。
①Illustratorを参考にするのは万人向けではないこと
私は本プロジェクトの成果物を万人が触れられる作品にしたいと考えている。そのために「初心者用のレイヤー説明書」というコンセプトの成果物を目標にしていたが、Illustratorなどのペイントソフトの「レイヤー」という機能自体が万人受けではないことを感じ始めた。研究会のメンバーは日常的にペイントソフトに触れているためレイヤーの説明を受け入れてもらえたが、その他ペイントソフト未経験者に説明をしても、「そもそもレイヤーって何」という意見が多かった。そこで、より万人にとってより直感的にわかりやすくなるような仕組みが必要だと考えた。
②カテゴリー表現が直接的すぎること
前回あげた個人レイヤーの図を見るとわかる通り、レイヤーに書かれている文字は、該当者の持つ「カテゴリーの名称」となっている。これにより、実際に自分のカテゴリーを記載し、組み替えていく作業をする際に、表現が直接的すぎて不快に感じる人がいることは事実であった。私自身、「セクシャルマイノリティ」というカテゴリーを自分で記載して、常時そのカテゴリーレイヤーが画面上に存在していることを不快に感じる瞬間が度々あった。
「アプリケーション」
そこで生まれたアイディアがスマートフォン用アプリケーション(以下アプリ)だ。
このアプリは、基本的にこれまでに考えてきた「カテゴリー×レイヤー」「個人レイヤー」「集団レイヤー」の定義と機能はあまり変わらず、より多くの人が気軽に触ってもらえるような仕組みにすることを考えている(上記の「①Illustratorを参考にするのは万人向けではないこと」を解決できると考えている)。現時点では荒削りな案だが、主な機能を述べていく。
・今のカテゴリーレイヤー状態の表示、編集(メイン画面)
メイン画面は操作者の「個人レイヤー」が表示されている。操作者のカテゴリーレイヤーが重なっており、それぞれのレイヤーはタップで選択可能。そのまま上下にドラッグすると重ね順を入れ替えられたり、左右にドラッグすると不透明度を変更させることができる。また、フリックすることで削除ができる。
・保存した個人レイヤーファイルから選択
操作者は今実際にいる場面によって個人レイヤーを変えられる。「メニュー」から「保存レイヤー」を選択すると、今まで自分が編成した個人レイヤーを見られる。それぞれのレイヤーは名前を変更させることができ、例えば「大学」「アルバイト」など、操作者は場面に合わせてどのレイヤーにするかを決定する。そのため、場面が変わるごとにいちいちメイン画面でレイヤーを編成する必要がない。
・プリセット選択
アプリ側が提供する、場面毎に合わせたプリセットから選び、それを自分好みにカスタマイズできる。例えば、操作者が初めて「就活場面」に入るとする。一から個人レイヤーを編成して就活現場用の個人レイヤーを編成するのはかなりの労力を使うため、あらかじめ「学歴」「研究内容」などが設定された「就活用個人レイヤープリセット」を選択し、そこから編成するというものだ。
このプリセット機能に今まで述べてきた「集団レイヤー」の概念が入っている(場面によって強調されるカテゴリーが変わってくることから)。
これから
上記の「②カテゴリー表現が直接的すぎること」の解決は、メイン画面でのカテゴリーレイヤーをどう表現するかにかかっている。カテゴリーの名称を記入する仕様にすべきかどうかはまだ模索中だ。
また、アプリの段落で述べた機能はまだベースの部分しか考えられていない。スマートフォンアプリであるからには、通信機能を使った「似た個人レイヤー同士が繋がるSNS機能」によってアプリが面白くなるのでは、と漠然と考えている。