フィルムのフォーマットと写真の構図 — WS2B 57期 8回目前編
35mmか、6x6か、6x7か
ワークショップ2B 57期 (WS2B) は写真家・渡部さとるさんが主宰する写真ワークショップ。第8回は前回撮影したポートレート写真のプリント。長くなりそうだったので前後編に分割した。
今回の撮影はライカだった。他の参加者はハッセルやMakina67など、様々なフォーマットで撮影していた。
構図はフォーマットによって大きく限定されてしまう。このことはお盆休みの特別講座でも教わった。スクエアは中央にものを配置しやすく、35mm は四隅や左右端に広がりをもたせやすい。フォーマットによって構図の向き不向きがある。
6x6:被写体は正面から、中央に据えて撮る
正方形の6x6フォーマットは、下図のように写真中央へ集中するような形のものがよく見える。下図の点Eは最も力を持つ部分となる。
特にポートレートは構図が限定される。6x6の枠を埋めるには、人間は正面(あるいは後ろ姿)から撮影する必要があるからだ。
なぜ埋めるかといえば、無限遠との相性の悪さがある。スクエアは遠近感の出しづらいフォーマットで、中央に置いたものがよく目立つ。斜めや横向きでポートレート撮影すると、枠が埋まらず、遠近感を出しづらいため余白の情報量が落ちてしまう。
開放絞りによるボケを活用しにくい、と言い換えられるのかもしれない。特にモノクロの場合、色味の無いボケは絵的にイマイチで、絞って撮ることが多い。
35mmや6x7:遠近感の出しやすいフォーマット
非正方形な長方形フォーマットは力を持つ場所が4箇所に分散される。スクエアのように中央にものを埋めづらいが、遠近感は出しやすい。
35mm と 6x7 は概ね似たような特性をもつが、6x7 は 35mm よりも幅が狭く、同じようなもので画面を埋めるのも得意らしい(たとえばお祭りで、高いところから人の頭だらけの道を撮影するとか、そういうのかな)。
スクエアでは不向きとされる無限遠を活用し、遠近感のある写真が得意だ。横や斜め方向に力をもたせやすく、左右への広がりや奥行きを感じさせる写真は 35mm 向きといえる。
この 35mm フォーマット向きの構図を非常に上手く活用している例として、アンリ・カルティエ=ブレッソン (Henri Cartier-Bresson) の “The Desicive Moment” が挙げられる。上記のリンクから作品を辿ってもらえると分かるが、斜めと遠近感を活用した写真が多数見受けられる。
35mm らしくない構図:中央・正面の配置
逆に 35mm らしくない構図で — ものを中央・正面に配置して — 撮影するとどうなるのか。以前、お盆の特別講座で私の撮影した写真がまさにそれに該当したので、恥ずかしながら紹介する。
私は 35mm らしい構図が非常に苦手で、雰囲気で良いと思ったものを撮影するとこのような構図になってしまう。左右に情報がまったく無いので、右図のようにスクエアに削り取っても情報がまったく変わらない。
話が長くなりすぎた(8回目は学ぶことが多かった)ので、前後編に分けて書くことにする。前編はフィルムのフォーマットと、フォーマットが限定する写真の構図について、教わった限りのことを書き連ねた。
後半につづく。