弱いつながりが得られる場所 新潟県「ギルドハウス十日町」

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場の醸造研究所

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新潟県十日町市という街の山深い場所に「ギルドハウス」という面白いスポットがあります。シェアハウスであり、ゲストハウスであり、地元の方も集まるコミュニティのような場所です。起業家や音楽家、服飾デザイナーなどモノづくり系の方が集まっている印象はありますが、決して敷居の高い場所ではありません。ここの雰囲気を表現するのは難しいのですが、ある時はカオスのように多種多様な人が混ざりあい、ある時は昔の実家のようにのんびりした雰囲気で、行くたびに違う顔に出会えるような不思議な場所です。確か築100年以上の古民家で、住民や訪れた人たちが改修を重ね、独特な磁場のある場所に醸造されている、そんな印象です。

私がここをはじめて訪れたのは約1年前、2015年11月のことでした(仕事旅行という面白い職業体験サービスでお伺いしたのですが、仕事旅行については、また別の機会に書きたいと思います)。ギルドマスターの西村さんにこういう場所をどうやって作るのか、その時に色々と教えてもらいました。たとえば、ギルドハウスのHPやブログは作らず、来てほしい人が興味を持つようなメディアに情報を流して存在を知ってもらうことによって、ギルドハウスに来てもらう動線を設計すること。こんな場所にしよう!と決めて作り込む計画性は1割でよくて、9割を偶然性にまかせること。ギルドマスターが何から何まで介入するのではなくて住人ややりたい人に任せてしまうこと等々。他にも面白い話を沢山聞かせていただきました。この場所が面白い人が集まってくる磁場のような場所になっているのは、西村さんの存在がコアにあるのは間違いなく、これからも色々と勉強させてもらいたいと思っています。

さて、この文章を読んでくださっている方は「弱いつながり」という言葉をご存じでしょうか。アメリカの社会学者、マーク・グラノヴェターという人が提唱した言葉で、転職活動で満足度が高い結果が得られた人は、家族や職場の上司といった「強いつながり」の人たちではなく、「たまたまパーティで知り合った」といった「弱いつながり」がきっかけにしているという調査結果があるそうです(東浩紀さんの、その名も「弱いつながり」という本に詳しくのっています)。私がギルドハウスに行って一番強く思ったのは、この「弱いつながり」が得られる場所だなぁということでした。普段の生活では絶対に会うことのない、職種も年齢も志向も異なる人たち。そういう多様な人たちが偶然居合わせ、混ざり、出会う。こういう場面は日常生活ではなかなかなくて、ギルドハウスの大きな魅力になっている、と思います。もし機会があれば、ぜひ一度訪れてみてください。きっと、思いもかけない出会いに遭遇することと思います。

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ミーティングプランナーという仕事をしており、イベントのコーディネーションを中心に、人が集まる「場」をつくることを生業としております。「場」をつくることで、さまざまな変化を生み出すことができると考えています。