戦後空間WGシンポジウム05| 賠償・援助・振興 ── 戦後空間のアジア
戦後空間WGの第5回目のシンポジウムでもある本公開委員会では、戦後日本と東~東南アジアの関係性に目を向ける。1952年に発効されたサンフランシスコ講和条約により、日本国はその独立を回復するとともに、東西冷戦構造のなかで、周辺諸国との関係性を新たに構築していくことになった。建築や土木に注目したとき、浮かび上がってくるのは3つの政策的キイワードである。
ひとつめは、先の大戦で侵攻した諸地域に対しておこなわれた「戦争賠償」。ふたつめは、開発途上国への経済協力としての「政府開発援助(ODA)」。そしてみっつめが、本土復帰した沖縄に対する格差是正政策としての「沖縄振興開発計画」である。
賠償し、援助し、振興すること。独立後の日本はこれらのアクションを端緒とすることで、アジアの国際秩序の一端を担いながら、その「戦後空間」を構成していった。政治学からの報告も迎えながら、建築や土木が実質的に担った役割や戦前からの連続と断絶などを検証する。