『コワーキングスペース』が『個ワーキングスペース』にならないために必要なこと

コワーキングスペースがどんどん増えています。世界中の都市で展開するケースも増えてきており、目立つところでは以下のようなコワーキングスペースがあります。

  • wework(34都市139拠点。評価額は160億ドル)
  • naked Hub(上海・北京に11拠点。先月 Gaw Capital Partners より資金調達)
  • ImpactHUB(86拠点。 社会起業家が集まっている印象)

そんなコワーキングスペースの盛り上がりを受けて検索サービスもたくさん出てきました。

増え続ける「個ワーキングスペース」

このトレンドに乗って多くのプレーヤーが参入していますが、その多くがコワーキングスペースではなく「個ワーキングスペース」になってしまっています。

つまり、個人でただ働くための場所です。それなら別にカフェでもいい。

キレイな空間でコーヒー飲み放題、電源とWi-Fiもあるよ、というだけのスペースだったら、付加価値は低いのです。

では、コワーキングスペースに求められる価値はなんでしょうか。

それは、ユーザー同士でアイデアを交換したりしながら新しいなにかを生み出していく共創の場になることです。

これこそまさにCo(共に)Work(働く)ですね。

企業に属さないフリーランスや複数の仕事をするパラレルワーカーは、そういった場での出会いが仕事につながります。また、 会社員にとっても新しい刺激を受けたり新たなキャリアのきっかけになるでしょう。

必要とされるコワーキングスペースの特徴

では、どんなコワーキングスペースであれば、Co(共に)Work(働く)を実現できるのでしょうか。

私は5つのポイントがあると考えています。

1.他のユーザーのできること、やりたいことが分かる

同じ運営主体のコワーキングスペースに所属しているユーザーどうしがつながることができる工夫が必要です。特に、どんなユーザーがいるのか分かると良いでしょう。

なかにはクローズドなSNSを導入しているコワーキングスペースもあります。

そのようなSNSでは、どの拠点にどんなユーザーがいるのか分かるようになっています。さらに、そのユーザーができることややりたいこと、そして依頼したいことが検索できます。

つまり、「デザインの仕事をお願いしたい」と思っているユーザーと「デザインの仕事がしたい」と思っているユーザーがつながることができるのです。

このようにしてユーザー間でつながりが生まれれば、コワーキングスペースは新たな仕事が生まれていく共創の場になります。

クローズドSNSの導入が難しければ、まずは大きなボードを人の往来が多いところに設置して「できること」や「依頼したいこと」を書いた紙を貼っていくことから始めても良いでしょう。

2.誰が来ているのか分かる。

コワーキングスペースに誰が来ているのか分かる仕組みも良いですね。もちろん本人の許可は必要ですが、わたしなら許可します。

もし話をしたいユーザーがいまコワーキングスペースに来ていることが分かれば、その人に会いに来る人もいるでしょう。そうしてコミュニケーションが生まれるのもいい。仕事の依頼かもしれませんし。

コワーキングスペースとしても利用者が増えて売上になります。

3.仕事がある。

「あのコワーキングスペースに行けば仕事がある」となれば、フリーランスやパラレルワーカーが集まりやすくなります。

ユーザー同士の交流を通じて仕事が生み出される場合もあると思いますが、それ以外にもコワーキングスペースが外から仕事を集めてくる機能を持つと良いでしょう。

仕事が人を呼び、人がいるから仕事を受けられるという好循環が期待できます。

4.コンシェルジュがいる

コンシェルジュはコワーキングスペースで共創が生まれることをサポートする役割です。コンシェルジュが、ユーザーのことをよく理解していたらどんなことが起きるでしょうか。

近い志を持っているユーザー同士をつなぐことで、共同創業者になるかもしれない。

近いスキルを持っているユーザー同士をつなぐことで、ノウハウの交換ができるかもしれない。

全く違うタイプのユーザーをつなぐことで、思いもよらない化学反応が起きるかもしれない。

コンシェルジュの存在は共創の場としての価値を大きく高めてくれるでしょう。

5.コミュニティがある。

1~4の内容を、コミュニティによって実現することもできるでしょう。

定期的なイベントや食事会、ミートアップを開催することで、ユーザーの交流を生み出すことができます。

アナログな手法ですが、かえってセレンディピティに満ちています。

すでに上記の取り組みをされているコワーキングスペースはいくつもあります。

フリーランスにとっては精神的にも仕事としても拠り所になる可能性があるので、もっと共創の場として機能するコワーキングスペースが増えて欲しいですね。

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Yusuke Kuroda(黒田 悠介)
文系フリーランスって 食べていけるの?

「フリーランスを実験し、世に活かす」という活動ビジョンのもと自分自身を実験台にしているフリーランス研究家。東京大学→ベンチャー社員×2→起業→キャリアカウンセラー→フリーランスというキャリア。ディスカッションパートナーを生業とし、新規事業の立ち上げを支援。その他、議論メシ代表。FreelanceNow発起人。