フリーランスを待ち受ける6つの困難

波打ち際に打ち上げられたフリーランス

私自身フリーランスになって始めて分かったことがたくさんあります。そのひとつが、「フリーランスが当たり前の時代はまだ先の話だ」ということ。

もちろんそんなことは百も承知で、だからこそキャリアの多様性のひとつの事例になろうと思って自らフリーランスになったわけです。

「フリーランスになったら毎日楽しいよ!人生バラ色だよ!」という感じで毎日ブログを更新する手もあるのですが、あまりに現実とギャップがあります。だから私ができることとして、フリーランスになることにどういった困難があって、どういった点が解消すれば一般的なキャリアの選択肢として有力になり得るのかといった現実をお伝えしようと思うわけです。

じゃあ、フリーランスになることの何が困難なのか。ここでは6つを挙げます。

1.セーフティーネットが足りない

以前こんな記事を書きました。確かに、フリーランスの福利厚生は充実し始めています。当然、各サービスの囲い込み施策としての側面があることは否定しませんが、それでもフリーランスにはありがたい話です。

しかし、病気やケガの保障、そして収入の安定性はサラリーマンのそれに遠く及びません。

サラリーマンの場合は労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金に加盟していますが、フリーランスは労働者ではなく事業主なので労災保険と雇用保険には入ることができません!さらに、雇用保険は会社が半分以上、健康保険と厚生年金は会社が半分を負担してくれていますし、労災保険なんて全額会社持ちです。逆に言えば、健康保険と厚生年金はフリーランスになったら倍払わないといけない・・・。

さらに、サラリーマンだったら病気やけがで会社を休む場合、最大で給与の60%が1年半支給される休業補償なんかもありますが、フリーランスにはもちろんそんなものありません。

詳しくは下記の記事で紹介している本でチェックしてみてください。

2.リモートの孤独

これは思った以上にフリーランスを悩ませます。「組織から自由になりたい!」みたいな同期でフリーランスになると、企業に所属していたときにチームで様々なことを分かち合って仕事をすることのありがたさを思い知ることになると思います。私の場合は常駐したり打ち合わせに参加するケースが多いので、あまり感じませんが、リモートばかりの仕事は精神的に厳しいはずです。

フリーランスの先輩からも「リモートは時間単価を上げにくいから減らしたほうが良い」というアドバイスをもらっています。精神面、収入面からも、常駐型の案件は持っておいたほうが良いです。後述しますが、やはりクラウドソーシングだけで食べていくのは簡単ではありません。

孤独に近いところで「自律の大変さ」みたいなことも正直ありますが、自律できない人はそもそもフリーランスには向いていないのでここでいうフリーランスの難しさには当てはまりません。どちらかというと個人の問題ですね。

3.個人でできることの限界

ある新規事業の案件相談があったのですが、それを引き受けるためにはエンジニアとデザイナーが必要だったので、フリーランスネットワークがなかった私は前向きに返答できなかったことがあります。

このように、個人で小回りが効くことと表裏一体で、組織的なアプローチが必要な仕事は個人で受けるのが難しくなります。最近ではそういった案件に対応して、クラウドソーシングサービスが案件を受けてフリーランスに割り振るようなスタイルもあるみたいですね。

フリーランスができることとしては、大きな案件を受けるためには、勉強会に参加するなどして、フリーランスのネットワークを作り、案件を一緒に対応するという手があります。もちろん自分の報酬が減ってしまいますが、それを懸念するのであれば、組むフリーランスに対して案件紹介料をもらうこともできると思います。そこは持ちつ持たれつの方がいい気はします。

4.営業コストがかかる

toCのマスアプローチとは異なり、フリーランスはtoBのニッチなマーケティングが必要になります。だから、こういったメディアによるマーケティングは、営業活動としてはとても非効率だったりします。

そのため、勉強会やセミナーを開催したり、人の紹介をお願いするなど、一人ひとりと対面しながら案件を探していく必要があります。よっぽどのコネがあれば別ですが。これはとてもコストのかかる活動なので、これ以外に営業代行してくれるフリーランスに特化したエージェントにお願いするのも悪く無いと思います。

私が研究目的も含めて登録しているエージェントを列挙しておきます。どれもエンジニアっぽい感じがしますが、私のような文系フリーランス向けの案件も扱っていますよ。

5.エージェント案件は週3日以上が大半

4で挙げたようなエージェントに頼っていればいいかといえばそんなことはなくて、きちんと自前でコントローラビリティの高い案件も持っていたほうが良いと思います。

文系フリーランスは明確なアウトプットがないので、常駐型が多いです。それにエージェントの案件は週3日以上のものが多いのですが、一般的に1週間は7日しかありません。もし週2日休むとすれば、残りの5日間で週3日以上常駐の案件を2つ受けることはできませんよね。これが相当なリスクです。

エージェント案件を1つだけ持っていることは、当面食べていくことには困りませんが、大変なのは契約更新の時期です。もしそのとき契約終了ということになれば、来月からの収入のアテがいきなり消えてしまいます。

こういった事態を避けるためにも、エージェントの案件だけではなく、縛りの少ない別の仕事もいくつか持っておいたほうが安心だと思います。自分の経験の幅も広がりますし。

6.クラウドソーシングは発注者利益が大きい

代表的なクラウドソーシングサービスには登録していますが、やはり単価は低くなりがちです。ライティングなどは顕著で、誰にでも書ける文章であるほど単価も低くなります。

エンジニアやデザイナーについても同様で、発注者からすれば「同じアウトプットなら安い方がいい」という意識が働くので、市場原理として単価が下がるのは避けられません。

Crevo(旧社名:PurpleCow)が2013年に、国内外のデザイナーに対して行ったアンケートによると、日本ではクラウドソーシングでの報酬が国内平均賃金の1/3程度であるのに対して、インドネシアでは逆に3.5倍にもなるというのです。発注元の多くは欧米など先進国であるのに対して、新興国の人が受注した場合、「先進国基準での報酬」を得られれば、このような結果となります。
出展:http://president.jp/articles/-/15328?page=2

新興国クラウドワーカーからするとチャンスですが、先進国クラウドワーカーにとってはピンチです。一物一価が適用されることは、両者にとって真逆の状況を生み出しています。

下記のグラフはランサーズが公表した調査結果です。やはり報酬面での懸念がうかがえます。

出展:http://www.lancers.jp/award/img/freelance_survey.pdf
ワーカー(過去12か月の間に仕事の対価として報酬を得たことがある方)の69%は「ランサー」として自由な働き方をする人が今後増えていくと考えている一方、自由な働き方から得られる報酬が増えていくと考えているのは43%となった。
出展:http://crowdsourcing-i.com/research/post-58/

しかし、困難はやらない理由ではない

ここに上げたフリーランスの困難は、しかし、「フリーランスになるべきではない」ということを言いたいわけではありません。

こういった困難を認識して、乗り越えたり変えていく覚悟をした人がフリーランスになるといいと思います。それぞれのフリーランスが対策を考えて工夫し、ときにはフリーランス同士がコミュニティを作って課題解決に取り組んでいくことが必要です。また、クラウドソーシングサービスを運営する「働き方を変える」と意気込む企業も、行政に働きかけるなどルール作りに乗り出していくべきですし、既にそういった動きも見られます。

IT革命という大きな変化の中で働き方も変わろうとしています。その変化に乗っかるのだけではなく、その変化を起こす担い手の一人として、またはモデルケースの一人として、活躍するフリーランスが増えることを望んでいます。

私もその一助となればいいなと思っています。


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