【対談】「人材領域の共有経済を創りたい」 姜大成氏の考える社外エキスパート人材のインパクト

アナウンサーにいそうな顔をしていらっしゃる姜さん。語らせると面白い。
人材領域での共有経済(シェアリングエコノミー)を実現するBizlinkを展開するGrowther代表の姜大成氏。キャリアのスタートは銀行で、その後はインテリジェンス社の社内ベンチャー立ち上げに参画。入社4ヶ月で最年少にしてMVPを獲得しリーダーに抜擢。その間、家業の倒産を経験する過程で資本主義社会の矛盾や限界を感じ起業を決意したそうです。姜氏の事業にかける想いと、シェアリングエコノミーを基盤とした未来の働き方について伺いました。

黒田:よろしくお願いします。私自身も専門家として登録しているBizlinkについてお伺いしつつ、働き方について姜さんの考えをお聞きしていきたいと思います。

姜:了解です。私が代表を務めるGrowther社としては、Bizlinkという専門家のシェアリングサービスを運営しています。

黒田:面白いコンセプトですよね。

姜:ありがとうございます。専門性というものは個に帰属しますが、そういった人材が企業の中に閉じこもった状態になるのがもったいないと思っていて、その専門性をもっと流通させることを目指した事業です。

黒田:一般的なクラウドソーシングとの差別化はどう考えているんですか?

姜:ハイエンドのクラウドソーシングみたいな形で、個人としては高い単価で仕事ができるし、企業としては優秀な人材にアクセスできるというマッチングを実現させています。

黒田:では登録者に基準を設けているのですね。経歴などでしょうか。

姜:登録者を「エキスパート」と呼んで、その基準を満たすかを厳しくチェックしています。経歴もそうですし、スキルの経験年数などもチェックしています。また、 基本的には全員に面接して審査をしています。これは事業規模が大きくなってきたとしても続けていこうと考えていますね。

黒田:エキスパートはどういった案件にアサインされることが多いんですか?

姜:Web系の人材が多いですね。ディレクションやマーケティングのようなお仕事をしていただいています。

Bizlinkでは様々なジャンルで専門家として活躍する人材に仕事を依頼できる

黒田:企業としても安心して依頼できますね。このサービスの背景にはどういった考えがあるのでしょうか。おそらく姜さん自身の経験にも関連しているのではないかと。

姜:個人と法人の双方の問題意識がありますね。個人の側面から話しますね。前職はインテリジェンス社で、i-commonというサービスの立ち上げをやっていました。シニアの元大手企業の役員のような人を企業に紹介する事業です。でも、きちんと活躍できる人が1割しかいない。

黒田:残りの9割は仕事に在り付けなかったり、契約も短期で終わってしまうことがあるのですね。

姜:そうです。なんでかな、と思って分析チームを立ち上げて調べてみると、やはり専門性が高い人が稼働の件数も多いし期間も長い。逆に期間が短い人は長年の管理職経験から現場を離れた時代が長く、突出した専門性が薄れており、結果として長く働く中で身につけた人脈を使った営業をすることしかできていなかった。

黒田:焼き畑農業みたいな営業ですよね。

姜:その通りです。そういった人脈営業ではない形で専門性を発揮して制度構築支援やファイナンス支援、マーケティング支援ができている人が重用される傾向が高かったんですね。個人のスキルが低いと、現代のように流動性が高くなりつつある市場では生きていくのが難しいと実感したわけです。

黒田:私も色々なタイプのフリーランスと話しますが、中には案件の獲得に苦戦する人もいて、個人のスキルの重要性を痛感しています。

姜:期せずしてリストラなどで企業のカンバンがなくなる人もいますし、どうやって個人として働いていけるのかということを考えるようになりました。スキルを磨ける環境が無いと難しいですよね。組織のなかで管理職として登って行くのがよしとされてしまっていますし。私たちの世代では医療費が高騰したりして年金がどれくらいもらえるかどうかも定かではないわけだし、企業や事業も短命化しているなかで、個として専門性を磨くステージを用意したいと思うようになりました。

黒田:すごく重要ですね。フリーランスや専門家の全体の質が底上げされれば、全体としても良い影響があると思います。あるクライアントから「以前フリーランスと契約して痛い目をみた」という話をされて契約が難航したことがありますが、こういったことも減っていきそうです。

姜:そういった個についての問題意識の一方で、法人についての問題意識もあります。私が中小企業を経営する家庭で育ったことにも関係があります。銀行にいたころも中小企業の支援をしていたのですが、お金だけで解決できる問題がすくないのを実感しました。そこでインテリジェンスに転職して「金」から「人」に視点を移すことにしました。ですが、人材業界でも中小企業やベンチャーへの支援はなかなか実現できなかった。取引の金額が小さくなるので経営判断として仕方ない部分はあるのですが。

黒田:「金」の支援と同じような壁に、「人」の支援でも突き当たってしまったんですね。本当に必要なところに届けられない。

姜:日本の9割は中小企業ですが、そういったところにフリーランスや専門家の持っているノウハウやスキルを提供できれば、役に立つことができるはずだと考えたんです。個人についての問題意識と法人についての問題意識の両方から、専門家のシェアリングサービスに行き着いたわけです。

Growtherでは週末に有志で集まって事業を創る「草ベンチャー」という取り組みも行っている

黒田:働き方が自由になっていく最近の流れは、Growtherにとっては追い風ですね。企業に依存しない働き方が増えていますから。

姜:そうですね。現代は物質的に恵まれすぎているせいか、チャレンジ精神がないように感じていて、閉塞感がある。そういったところにも風穴が空くかもしれません。今までの資本主義経済とは異なるシェアリングエコノミー(共有経済)によって、社会は変化を余儀なくされると思いますよ。

黒田:シェアリングエコノミーは経済の担い手が企業から個人に一部シフトする流れだと思っています。個人や小さい組織の力がどんどん高くなっていますね。

姜:そうやってフリーランスや専門家が増えていくんでしょうね。働き方の概念が変わらざるを得ないのも当然といった感じです。リモートワークや複業規定についての議論もその流れで説明がつきます。

黒田:そうですね。働き方も変わるし、仕事の内容も変わっていきそうです。インターネットの進化がもたらしたシェアリングエコノミーのように、AIやロボットの進化が仕事の中身も更新していくんでしょうね。

姜:AIとかロボットの議論はされつくされている感じなので深追いしませんが、昔から繰り返されていることですよね。テクノロジーの発展でなくなる仕事がある一方で、新たに生まれる仕事がある。そういった変化にキャッチアップするのが大事ですね。

黒田:キャッチアップできない人や企業も出てきそうですね。

姜:ともすれば淘汰の対象になってしまう企業でも、フリーランスのように最先端のテクノロジーや情報を持っている人のサポートがあれば生き残れるかもしれません。

黒田:確かに、私も生存本能のようなもので新しい情報にはキャッチアップしていますね。

姜:そういった進化し続ける個人を活用することで、企業の存続さえも左右する可能性があるわけです。

黒田:それも個人にとっては新しい働き方になるかもしれませんね。

姜:そうですね。

黒田:ここで少し気になるのが、個人の力が高まっていったときに、Bizlinkとしての存在価値をどう考えるのか、です。テクノロジーの進化も相まって、仲介者としての価値は相対的に下がっていくんじゃないでしょうか。

姜:それはその通りで、これはあらゆる仲介業に当てはまることだと思います。付加価値が重要だと思っていて、専門家と企業の最適なマッチングを生み出せれば、このサービスを使ったほうが良いということにできるはずです。ちなみに、もうすぐビジネス版のモンスター◯ンターみたいな機能もリリース予定なので、楽しみにしていてください。

黒田:専門家でギルド(チーム)を作ってプロジェクトというモンスターを狩る感じですか?(笑)

姜:そうですね。いわゆるチームランス(フリーランスのチーム)を結成できる機能です。黒田さんもその機能を使って、抱えている案件で最適なチームを作って対応していただければと。

黒田:楽しい世界観ですね。期待しています!本日はありがとうございました!

(この記事は Social Design News からの転載です)


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