【書評】ビジネスでいちばん大事な「心理学の教養」


こちらも、酒井 穣さんから直接恵贈いただいた本です。いただいたからには感想をお伝えするのが感謝を表す方法のひとつだと思うので、また少し書きたいと思います。

ビジネスでいちばん大事な「心理学の教養」

by 酒井 穣

心理学は「平均的な人間」の理解

この本のタイトルにもある通り、心理学的知見はビジネスにも大いに適用可能です。私自身も大学で心理学を専攻していたので、その可能性を感じていますし、日々の仕事でも毎日のように意識的に活用しています。

私の場合は認知心理の、特に視覚に関するものでした。身体を通じて入力された五感という情報を脳の中でどのように処理・統合しているのかという学問だったので、生物学や脳科学でもあります。

心理学は、言ってしまえば「平均的な人間」について理解しようとする試みです。それは現代の人間に対してのみならず、過去や未来にも適用できる普遍性を持っています。テクノロジーで外的環境がものすごいスピードで変化するなかで、様々な知識や教養が数年後には陳腐化しますが、最も陳腐化しない教養は「人間の心」に関するものだと思います。

「人間の心」というモジュールはこれまでの人類の進化の中でゆっくりと獲得されてきたもので、それが変わるのには数百年単位の時間が必要になります。

心理学という武器・盾

あらゆるビジネス・サービスに人間が関与している以上、心理学は強力な武器となり、盾となります。

武器としては、サービスの対象がどういった特徴を持ったセグメントなのかを心理学的に分析してマーケティングすることもできますし、社内の人間関係や育成といった場面でも活かせるでしょう。さらに、盾と言ったのは、「一般的な人間」の傾向を自覚すれば、望ましくない傾向に対して意識的に対処することができるからです。

多数派同調バイアスを知っていれば、判断を迷った時に他者の行動に同調する人間の特性を理解しているので、マーケティングにおいて「みんなが良いと言っている」というクチコミを活用してマーケティングすることもできます。一方で、その理解を自身にも適用し、経営の場面で周りの意見に流されないように「自分は今まさに多数派同調バイアスに影響されている」とメタ認知することで、客観的な決断をすることもできるでしょう。

行為者・観察者バイアスを知っていれば、他者の行動はその内面(性格など)に原因があり、自分の行動は外側(環境など)に原因があると考える傾向があることを理解しています。だから、失敗した部下に対して「君の今回の失敗の原因はどこにあると思う?」というように客観視を促し、このバイアスを打ち消すコミュニケーションをとって部下の成長に寄与できます。一方で、その理解を自身にも適用し、「人間は自分に甘く、他者に厳しいものだ」と考えて他者から見た自分を知るために適切なフィードバックを周囲に求めることもできるのです。

ビジネスに活かす工夫がされた良書

この本のいいところは、60語に渡る心理学的キーワードに対して

  • 簡単だが本質的な解説
  • 仕事への応用方法
  • さらに学びたい人のための参考書籍

といった整理がされているところです。心理学的な理論や法則を仕事に活かすことを考えた結果、こういった構成になったのだと思います。用語の理解だけではなく、実用の場面が思い浮かべば学習意欲も高くなりますし、効果的な仕掛けだと思います。

ビジネスでいちばん大事な「心理学の教養」

by 酒井 穣

案件のご相談はfacebookページのメッセージでお受けしています。対応メニューは新規事業立ち上げ、Web心理マーケティング、Webプロデュース、Webディレクション、セミナー講師。

黒田 悠介