偏りを活かせ!「できないこと」よりも「できること」にフォーカスしよう

苦手を克服するよりも得意を強化する

受験勉強では各教科の得点を100点満点に近づけることが求められます。

だから「できないこと」への対策に時間を使いますよね。1点の差が明暗を分けるので、90点を100点にするためのその差10点にかける労力を厭わないゲームです。一定の基準で不合格者を決めるための仕組みとしては悪くないかもしれません。

でも、この方法では本当の才能を測ることはできません。100点満点を超えたところにその人の強みがあるからです。分かりやすい例を挙げれば、サヴァン症候群もそうですしGIFTEDのようにある領域において特異な才能を発揮する発達障害者もそう。

対人能力は10点だとしても、それ以外の能力で200点取れたらそれでいいじゃないですか。その200点の能力を活かすことが本人にとっても、社会にとってもいいことだと思います。

例えばジェイコブ・バーネット君は発達障害を持って生まれましたが、11歳で大学に入学するほどの超天才児でした。

他にもたとえば、超優秀なプログラマーや起業家にもGIFTEDがいます。彼らは「できること」を活かすことができたのです。

独創的なことを考えるというのは、言うは易く行うは難しだ。シリコンバレーでは、成功を収めた創業者の中にアスペルガー症候群の人がかなりいるという奇妙な現象がみられる。逆の見方をすれば、それは社会に対する非難であるとも言える。アスペルガー症候群でない場合には、さまざまなアイデアをもっていても、それが完全に形成される以前にやめるように説得されてしまうというのは、いったいどんな社会なのだろうか

ここに挙げたサヴァンやGIFTEDは極端な事例だと捉えられていますが、実際にはこの文章を読んでいるあなたにも多かれ少なかれ能力に偏りがあります。もちろん私もそう。ある能力では50点でも、200点を出せる別の能力がある。

あくまで偏りの程度が違うだけで、すべての人間は連続した線分の上に並んでいます。もし不連続性を感じているとしたら、線分の端に行くほど出現率が下がり密度が薄くなっているのが理由でしょう。

「できないこと」よりも「できること」

子どもの成長を見ていると「できないこと」が「できること」になっていきます。子どもは「できないこと」だらけで生まれてくるので当然ですね。

だから、「人間の成長とはできることが増えることだ」と思いがちです。そうすると、どうしても「できないこと」に目がいってしまう。

ですが、大人になってからの成長は子どもの成長とは違います。「できないこと」が「できること」になる以外にも、「できること」が「もっとできること」になる成長もあるわけです。

大人になっても「できないこと」を多大な労力をかけて克服するよりも、「できること」を強化する方がいい。受験勉強と違って実際の社会では100点満点ではありません。200点も300点もある。だったらその能力を強化したほうがいい。

持っていないカードを必死に集める(中には見つからないものすらある)よりも、持っているカードを最大限活用するべきです。

私自身の偏りについて

ちなみに私自身も能力に偏りがあります。

記憶力が極端に低いので、日常のほとんど何も覚えていません。

すべてはGoogleカレンダーとAsanaとEvernoteに集約して必要なときに通知が来るようになっているため、記憶していなくても問題が起きないようにしています。また、人に会う前にはその人に関するevernoteのメモやFacebookメッセンジャーのやり取りを見て予習しています。

特に固有名詞が弱いみたいです。人の名前や企業名、事業名は覚えられません。ビジネスモデルのように抽象度の高いものやパターンは覚えているのですが。

受験勉強においてもあらゆることを演繹的に導かないといけなかったので、それができない歴史や地理には苦労しました。数学は公式を覚えなくてもその場で1から証明すればいいので得意でした。英語はラテン語まで遡って構造的に覚えることでなんとかやっていました。

このように脳のストックする力は弱い私ですが、インプットを受けてからのプロセシングの力はあるので、それが活きるディスカッションという場を生業にしています。脳を情報の倉庫としてではなく、情報処理の工場として使っている感じです。

記憶力が必要な仕事はできませんが、そうでない仕事を選ぶことで暮らせています。

「できること」が活きる場を選ぶ

「できること」を強化するのと同じくらい、「できること」が活きるコミュニティを選択することも大切です。コミュニティが求めている能力に自分を無理やり合わせるのではなく、自分の得意分野で誰かの役に立つことができるコミュニティを見つけましょう。

身体障害者の方は、健常者を前提にした環境では不便を感じることもありますが、それは適切なサポートやバリアフリーの思想によって解消できます。また、肉体労働が苦手だとしても頭脳労働で活躍することができるでしょう。

あらゆる人が能力に偏りを持っています。その人の「できること」を伸ばして適切なコミュニティや組織と繋がることができれば、個人だけではなくて社会にとっても良いことのはずです。

私がフリーランスとして発達障害者向けのプログラミングスクールにジョインしたのも、この偏りを活かせる社会を実現するというビジョンに共感したからです。GIFTEDのように比較的極端な偏りを持つ人が自身の能力を活かせるようになれば、その同一線分上にいる私たちの働き方も変わってくるかもしれません。

あなたの「できること」は何でしょうか?

あなたはそれを活かせていますか?

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Yusuke Kuroda(黒田 悠介)
文系フリーランスって 食べていけるの?

「フリーランスを実験し、世に活かす」という活動ビジョンのもと自分自身を実験台にしているフリーランス研究家。東京大学→ベンチャー社員×2→起業→キャリアカウンセラー→フリーランスというキャリア。ディスカッションパートナーを生業とし、新規事業の立ち上げを支援。その他、議論メシ代表。FreelanceNow発起人。