ウェブライターの本音(2)

コピペ率20%以下にしてくださいって、それ無理だから

Publisher TY
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Jan 20, 2021

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最近は、電子書籍出版が流行っているらしく、原稿を執筆する仕事がたくさん出てきています。私は、電子書籍原稿作成は得意な方だと思っているので、見つけたら積極的に応募することにしています。でも、たまに「おいおい」といいたくなるクライアントがいまして、今回もそうでした。

「電子書籍の原稿を書いてくれるライターさん募集!」という案件に応募してスムーズに採用されるためには、最初の応募メッセージの段階で書ける書籍の企画構成を提案するのがおすすめです。どんなテーマ、タイトル(仮)の書籍で、内容はどんなことを盛り込む予定なのか、「章立て」にした企画書を添えて応募します。

そうすると、クライアントの方でも、このライターは必要なライターなのか判断しやすくなりますし、ダメなときは一発でお断りメッセージをいただくこともあり、ぐだぐだとメッセージ往復を繰り返さなくて済むのです。

それで、今回も私は自分が執筆できる書籍の内容企画を添えて、新規クライアントの案件に応募しました。確か、副業系の書籍執筆だったと思います。

応募メッセージに対するクライアントさんの反応と感触は悪くなかったものの、返答までに時間がかかることがちょっと気になりました。どうもチームで動いているらしく、こちらからのメッセージに対しての回答を他のメンバーと逐一相談しているような雰囲気なのです。こういう、メッセージ返信のテンポが遅いクライアントの中には、できた原稿を納品してから連絡がつかなくなる人もいるらしいので、少し警戒して様子をうかがっていました。

それでも、メッセージ文そのものはていねい。結局、本契約で「原稿執筆お願いします」という段階になりまして、その数日後に仮払いが行われたのを確認しました(契約同意から仮払いまでの日数がかかるクライアントも要注意なんですが)。

とにかく、「では、作業に取り掛かります!」と返事をした段階になって、向こうからマニュアルが送付されてきました。「書籍原稿作成にあたってのライターさん向けマニュアル」ということでした。それ自体は、数ページのPDFファイルで、読むのに時間がかかるとか、ややこしい内容が含まれるといったことはありません。ただ、何気にサラッと「弊社既定のコピー率は20%とです」という表記が…。

一般的に、ウェブライティングの世界で「コピー率」というのは、ウェブサイト上に公開されている他ページと類似し過ぎていないかを判断するためのものです。コピペチェックツールは、無料・有料ともにいくつか出回っていますので、興味がある方はネット検索してみてください。

文章作成を依頼するライターさんが、他サイトから文章をマルっと転載したりすることがないようにチェックするために使います。ただ、今の段階では、ネット上の日本語コンテンツが増えすぎていて、ジャンルにもよりますが、他サイトをコピペしたわけではなくても、コピー率が50%近くなってしまうことがまれにあります。まあ、「50%」というのはちょっと高すぎますが、でも本当に、40%くらいになることは、けっこうあります。たとえそのサイトをまったく参照していなくても、それくらいのコピー率になったこともあります。特に専門用語も多く出てくる副業系ではコピー率を下げるのが非常に難しいというのが私の実感です。

ですから、「弊社既定のコピー率は20%です」という文言を見た瞬間、この案件は無理だなと思いました。残念ながらキャンセルさせていただきました。

コピー率20%以下は、完全に自分の体験記を書くなら可能です。でも、ちょっと他サイトでの情報を参照してその内容を盛り込もうとすると、かなりの確率で20%は超えるでしょう。あるいは、一般的ではない語彙を使えばコピー率は下がりますが、そうなると今度は読みにくい文章になってしまいます。ウェブ系のサイトなどで、あまり一般的でないカタカナ語をやたらと使っているサイトがありますが、カタカナ語の多用によりプロっぽく見せているのではなく、コピー率を下げるための施策なのではないかと思ってしまうこともあります。

まったくの自分のオリジナル文章で100%体験記を書くなら別ですが、コピペ率(厳密には「一致率」といいます)20%以下なんて、ライティング案件は受けない方がよいと考えています。安易に引き受けると、どれだけ書き直してもコピー率が下がらず、時間を費やしてしまうだけですから…(実力のあるライターさんなら可能かもしれません。私はやっぱり無理だな~)。

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