中古品のすヽめ

sakuraneko
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4 min readMay 15, 2020

おうち時間を皆様はどう過ごされているだろうか.Amazonを利用する方も増えたらしく,宅配業者の方々には感謝ばかりだ.

Image by Free-Photo from Pixabay

さて今回はタイトルそのままだが,「中古品を購入する楽しさ」を紹介したいと思う.大まかに分けて2つある.

・1つ目は安く楽しめること。

・2つ目は思いがけないサプライズがあること。

今回はこの2つ目に注目して話したい.

写真撮影や読書が趣味な私だが,残念ながらお金があんまり無いので,よくハードオフやブックオフに出掛けては,中古のカメラや本を買って楽しんでいる.

Image by Markus Spiske from Pixabay

中には壊れているカメラを買っちゃったりと「ハズレ」を引いてしまうこともあるが,根気で修理修復する為あまり問題もない.

そんな気持ちで数ヶ月前に購入したままだったジャンクのフィルムカメラを修理しようとこの度取り出した.

すると,なんと中にはフィルムが入っているではないか.しかも使用途中であと何枚かは撮影できる!

「これは当たりを引き当てたぞしめしめ」

きっと私はここ一番のにやつき顔だったろう.エモい写真を撮るべくベランダでパシャパシャ.恋人にポージングを頼んでパシャパシャ.

しかしその努力虚しく,フィルムが経年劣化の為殆どが写ってなかったのだが,過去の撮影者が残した何枚かは現像できた.

その中の一枚がこれだ.

(これでも加工してようやくはっきり見えるようになった)

まあなんのこっちや分からないくらい青くなっていたのだが,運動会の様子なのは分かった.親御さんが子供達を撮影したものだろう.しかも他の写真を拡大して日付を見ると「平成10年」の文字が.

なんと20年近く前の写真だったのだ.そらフィルムが劣化しないわけがない.

白色がしっかり出ていて,きっと晴天の中で行った運動会だっただろう.午後には家族皆でレジャーシートを敷いて,お弁当を囲んだに違いない.そんなことまで想像してしまう.

20年前の運動会.きっとこの持ち主も,その家族でさえも忘れているだろうその時間.その時間を今私は長い年月を超えて共有できたのだ.そう思うとなんだかタイムスリップを経験したような,不思議な感覚になる.素敵なサプライズだ.

実はそんな経験が他にもあるのだ.皆さんは,恩田陸さんの「夜のピクニック」をご存じだろうか.

タイトルに惹かれ,ブックオフで購入し読み進めていた.中古の本といっても汚いわけではないし,安い為何冊も買って溜めていた本を一気に休日に読むのが習慣なのだ.

そして物語中盤に差し掛かった時,次のメモが表れた.

「カタタタキケン」

思わず笑ってしまった.前の持ち主が読書メモの為かどうか,目的が分からないが,物語にコメントしているのだ.しかもこの猫ちゃん超かわいい!!

この本自体何万冊も出版しており,沢山の方が読まれているのだろうが,このメモの存在で,見ず知らずの前の持ち主と,なんだか気持ちが通じた気がした.物語を共有できた気がしたのだ.

最近ではブックオフの他にも,メルカリ,ラクマなどネット上でのフリマサービスが増えている.

「顔も,声も,性格だってわからない相手との取引ということで,少々気が引けてしまう.」「ブックオフ,ハードオフで買った中古品はどんな人が使ったか分からないから嫌だ.」

そんな声をたまに聞く.勿論気持ちは理解できるし,事実相容れない方も一定数いらっしゃるだろう.勿論,無理強いはしない.

だが,中古品を通して出会うサプライズは,きっと温かい「共有感」をあなたに与えてくれるに違いない.

そんな楽しみ方を是非試して頂きたい.

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