幸福論

sakuraneko
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2 min readJul 7, 2020

まだ太陽が眠る時間, 私は家を出る.

Image by マクフライ 腰抜け from Pixabay

寒空の下で手袋をせずにバイクの運転は自殺行為.

昔恋人にもらったキャメル色の革手袋をポケットに突っ込む.

そして, 程よく土汚れをつけた17.5cmのスニーカーをビニールに入れ今日の仕事が始まる.

今日の仕事は道に靴を落とす.

たったそれだけ.

非常に単純.

単純だがコツはある.

例えば片道3車線あるような道路のど真ん中に置くのはナンセンス.

通行の邪魔だし、何より危ない.

だから程よく道幅があって, さらにスピードを出しやすい道路脇, あるいは中央線の丁度上に「配置」する.

先輩の三井さんは, 赤のスニーカーを選ぶらしいが, 私は紺色を選ぶ.

色や形や靴のタイプ(スニーカー、スポーツシューズ等)は個人に委ねられているわけだけれど, やっぱりセンスは大事.

そして, 赤のスニーカーなんて履きたがる子供なんてそう多くはないだろう, 偏見だが.

今日のノルマは半径15kmで4か所の配置と前回配置した物の回収.

日の出までに仕上げることがルール.

仕事終わりの吉野家のお新香セットを楽しみに, 今日も家を出る.

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