7年間ヨーロッパに住むと英語は上達するのか

Ka
日本語で読む
Published in
6 min readJul 16, 2019
Photo by KA

来月末でヨーロッパに住みはじめて丸7年になります。

最初の方は1年すぎるたびに振り返りをしてたけど、数年経つと新鮮なことも少なくなってあまり立ち止まって考えてみることも少なくなり。今は期間限定単身赴任生活をしていることもあり、ぼーっと考え事をすることが増えたような気もします。

この7年間はオランダに3年、イギリスに3年半、そしてまたオランダに戻ってきて半年とヨーロッパの2つの国を行き来してるわけですが、仕事でメインで使用する言語はもちろん英語。オランダ人とはお互い第二外国語(ESL)として、イギリス人とはネイティブ vs ESLという構図になりますが、仕事で関わる人たちは殆どがESLの人たちで、イギリスで働いてた時も生粋のイギリス人と話すことはそんなに多くなかったです。各国の言語の訛りを帯びた英語が飛び交う環境でこの7年間を過ごしてきました。

赴任した時の英語力は、TOEICは895点、英語メールはまあまあ書けるものの、英会話はそんなに得意でなく海外拠点とのテレコンは半分くらい分からない、話すのも酷くはないけどたどたどしいし恥ずかしい、外国人と話すのも得意ではなく尻込みする、特に電話は大嫌いで可能な限り避けたい、といった感じ。

そんな私がこの7年間で出来るようになったこと、まだ出来ないことは次の通り。前提として赴任中は英語上達のための勉強は全くといって良いほどしておらず、上達要素は仕事と日常会話を通じてのみでした。

出来るようになったこと

  • 英会話に全く尻込みを感じることがなくなった
  • 英文メール書くのがめっちゃ速くなった(日本語書く速度とそんな変わらない)
  • 英文メールの質があがった(イギリス人の役員秘書2人にWriting Englishのレベルが高いと褒められた)
  • 英語できたメールを理解するために何回も読み直すことが減った
  • 英語での電話も全く気にならない、というか積極的にかける(例外あり)
  • 英語の会議でそれなりに議論が白熱しててもついていけるし、タイミングを見計らってなら割って入れるようになった
  • 英語でうまく表現できない、ということが圧倒的に減った
  • 英語が聞き取れない場合でも、工夫して会話を続けることが出来るようになった
  • BBCなどのニュース番組が大体理解できるようになった
  • 外国人の同僚に自分から挨拶はもちろん、気軽に雑談ふっかけたりするようになった
  • ESL同士の会話で意思疎通に困ることはほとんどない
  • 苦手だった欧州各国の英語の訛りが気にならなくなった

未だにできないこと

  • 英語ネイティブ同士の会話についていくのがとても難しい
  • イギリスなど母国語が英語の国において役所や公共機関、車のディーラーなどから電話かかってきたら何言ってるのか理解するのにとても苦労する
  • 海外ドラマや映画は字幕なしで半分弱くらいしか聞き取れない
  • 発音は日本人アクセント(片仮名発音ではないと思う)
  • 英語で新聞なニュースなどの長文を読んでるとすぐに飽きてストップしてしまう
  • 洋書を完読することが少ない
  • 語彙力はあまり増えておらずEconomistなどレベルの高い記事を読むのに苦労する

こんな感じでしょうか。英語で仕事をする能力という意味では7年間でかなり向上したと思いますが、本当の意味での「英語力」はそこまで伸びていないのかなというのが実感です。いくら長年ヨーロッパに住んでるとはいえ、やはり英語力を伸ばすための勉強をしないと伸びないですし、何より非英語圏に住んでるとESLの英語に慣れてしまってネイティブと話す時に「あれ、いつもと違う…」となってしまいます。私のいるオランダは国民の英語力がヨーロッパ1、2を争うほど高レベルで、最初赴任してた時は皆流暢に話すのでいつも感心してましたが、イギリスに赴任してまた戻ってくると、「英語うまいと思ってたけど、実際大したことはないな…イギリスに住んでる移民の方のが上手かも…」って思いました。

英語をどこまで伸ばすのか、というのは海外駐在員にとって悩ましいポイントでもあると思います。特に日系のグローバル企業で働いていると、現地人も日本人の英語に慣れているのである程度話せれば問題なく意思疎通できますし、他の国から来ているESL同士の会話であればネイティブとの会話よりも難易度がぐんと落ちる。このレベルを目指すのであれば、年月と経験でなんとかなるかなというのが個人的な感覚です。(もともと英語が苦手な人は英会話への投資が必要だと思うけれども。)

一方で、ネイティブ並みの英語力を目指すためには、よほどの才覚をお持ちの方を除いてしっかりと計画を立てて、教材を選んで、指導者を雇いながら勉強しないと難しいのかなと思います。ただ、英語力のさらなる向上に投資するのか、その分を他のビジネススキルの開発に充てるのか、その判断は難しいですよね。

私としては、ある程度まで英語力をつけたあとは、言語はコミュニケーションツールと割り切ってビジネススキル向上に時間を充てる方が良いと考えています。国際企業のビジネスリーダーが話す英語を聞いても自国語訛りの方も多いですし、自社に目を向けると赤字会社を何社も建て直してどんどん昇進してるけど、英語はそんなにうまくない(けどコミュニケーション術を心得ているので意思疎通はうまい)という人もいます。ビジネス英語という観点では英語のうまさと仕事力は必ずしも比例しないんですよね。

という背景もあり、私自身残りの駐在生活においては苦手なリスニングの訓練を頑張りつつ(リスニングは出来て損をすることはないし上達するほど仕事の生産性もあがるため)、その他のビジネススキルを磨くことと、必要最低限のオランダ語の習得に重きを置いていこうかなと考えております。本当はネイティブに近いくらいのレベルで英語を使いこなせればすごくかっこいいんですけどね。海外に駐在していて同じような悩みを抱えている方がいらっしゃれば、是非お話ししてみたいものです。語学って難しいなあ。

--

--

Ka
日本語で読む

Japanese base in Europe / ヨーロッパ在住の日本人。