Chinese Virus発言で海外在住の日本人が受ける悲劇

Limi iliuda
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7 min readMar 21, 2020
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先日のトランプ大統領の「チャイニーズウイルス」発言、まるで子供の喧嘩を見ているようでした。

先に中国が意味の分からないことを言い始めたから、トランプ大統領が政治判断で(ムカついて)言い返した。

この気持ちは多少分かります。これが居酒屋のおじさんたちの口げんかであれば、誰も気に留めないでしょう。

しかし、アメリカ大統領という立場の彼がこの発言をしたことで、大きすぎる代償を払わされる人達がいます。

それが、私たち「日本人」を含む「アジア人」です。

欧米では「アジア人」は一つのカテゴリー。

日本人も中国人も韓国人もタイ人も、区別されません。

日本にはトランプ支持派の方が多いようですが、これについて東京大学名誉教授のロバートキャンベル氏が分かりやすくツイートされていました。

まさにこれで。

ここで噛みつかれている方は、自分が日本国内で人種差別や暴行をされる心配がないから言っていられるんだろうなと心から思います。

冒頭にも書きましたが、先に中国が意味の分からないことを言い始めたから、トランプ大統領が政治判断として(ムカついて)言い返した。

日本ではここが争点になってるんです。

でも、本当に恐ろしいのはここから発展しかねない「アジア人の悲劇」。

この問題は深刻です。

トランプ大統領が使った「チャイニーズ」という単語には、形容詞の他に「人々」という意味も含まれます。

コロナウイルスで被害を受けた中国人も当然「チャイニーズ」なのですから、被害を受けた中国人の一部は激怒し、アメリカに憎しみを覚えるでしょう。

そして世界中に存在する一定数のアジア人ヘイターも、「そうだ!チャイニーズが悪いんだ!」と、より結束させる危険性が増えました。

その一定数のヘイター達の中でもさらに頭がおかしい集団は、アジア人を無差別に攻撃します。

彼らには「日本人」と「中国人」の区別はつきませんから、アジア人の顔をしていれば、当然日本人にも暴行を加えます。

両親がアジア系のアメリカ人ももちろん対象。

留学生、女性、子供関わらずです。

実際に、毎日このような事件が海外では起きています。

結局残っているのは、民族間の憎しみのみ。

中国とトランプ大統領の子供の喧嘩は「戦争を引き起こしかねない」んですよ。

Twitterのタイムラインを見ていると、日本語ツイートはほぼほぼ「よくやった」「いいぞトランプ!」と言う感じだったのですが、私はドン引きしてしまいました。

みんなトランプと中国の「口喧嘩」に興味があって、このトランプの発言から「世界中でアジア人が受ける悲劇」が想像できないんだな、と。

自分達も海を渡れば「いじめの標的」であることに、気が付かないんだなと。

もちろん、頭のおかしいヘイターは一部です。すべての人が差別をしてくるわけではありません。

ですが、そのような「一部のヘイター達」は、日本を含む世界中に存在します。

パレスチナ人でもいましたよね、日本人女性に差別発言した人。

もちろん、暴言を吐く方が悪いのは間違いないので周囲の人が助けたパレスチナの差別事件についてはこれで済みましたが…

海外旅行や留学で日本人が「ウイルスウイルス!」と指差され、暴言や暴行を受けないという保証は全くあらず、その相手は暴行を「悪い」とも思っていません。

暴言が暴行に代わり、暴行が殺人に変わったらどうするんでしょうか。

頭のおかしいヘイターは、このコロナパンデミックを最大限に活用し、ここぞとばかりに日頃のアジア人に対する(謎の)憎しみをぶつけようとします。

「我らがトランプ大統領だって”チャイニーズウイルス”って言った!これは正当だ!!」と解釈し、暴行を正当化するんですよ。頭がおかしいから。

だからトランプ大統領のこの発言は、元々世界中に存在した「アジア人ヘイター達」の結束をさらに強めたのは間違いないんですよね。

チャイニーズウイルスと言わなくても、みんな中国武漢発祥と知っている

既にウイルスの名前は「COIV-19(新型コロナウイルス)」と正式に決まっており、これだけ猛威を振るっているんです。

当然、世界中の人々にだって「中国の武漢で見つかったウイルス」という共通認識はとっくの昔からあります。

「アメリカが持ってきた」「イタリアウイルス」「日本ウイルス」など。

中国が先に挑発を仕掛けた喧嘩であれ、今、売られた喧嘩を買うほどの状況でしょうか。

もっと言うと、トランプ大統領が「チャイニーズウイルス」と言い返したくらいで、中国の工作は止まるのでしょうか。

トランプ大統領は意味不明な中国に対して「なにを言ってるんですか?」と大人の対応をした方が、少なくとも現地に住むアジア人には良かったでしょう。

わざわざ「人々」という意味の含まれる単語を使い、人種差別を煽るような言い方をしなくても、状況は好転せずともこれほどまでに民族間の憎しみ合いを生むことは無かったはずです。

すぐに差別だ!と考える人の心こそが差別の原因?

「差別だ!と考える人の心こそが差別の原因」という意見は本当によく聞きますが、私はそう思いません。

実際にこのような権力者の発言で差別を正当化する人は存在し、それが暴行事件になっているので「差別だと考える人の心こそが差別の原因」「民度の問題」と言い続けていても、被害者が増えるだけで何の解決にもならないですから。

自分がアジア人差別の被害者になれば、また考え方も変わるのかもしれませんね。

ブラジルという国では、人種差別はあまり見ません。

しかしながら、以下でも記事にしていますが、悪気なくナチュラルにアジア人差別を受けることは多々ある。

差別は悪いとみんな知っているけど、差別が世界から無くなることも残念ながら無いのです。

アジア人の3歳娘を育てる親として、海外に住むアジア人として、このトランプの発言に感化されたヘイター達の暴動が、この国まで届かないことを心から祈っています。

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Limi iliuda
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