
アメリカは未来の仕事にどう備えているのか?by Jay Shambaugh
AI時代の再教育には企業の見習い制度が適しているのではないか
McKinsey Global Institute (マッキンゼー)は2030年までにアメリカの労働者の3分の1の人たちが仕事を変えることになるか、その仕事を明け渡すことになると予測しています。
これからAIの技術で多くのことが自動化されていく時代に、仕事はどう再定義されるのか、我々はそういった時代に生き残っていくためにどう準備するのか、今何をするべきなのかでしょうか。
さらに重要な質問として、産業革命以来とも言えるほど大きな労働力の移行が必要になるとき、労働者の再教育、再配置といった取り組みに対しては、一体誰が責任をもつべきなのでしょうか。国、または伝統的な学校でしょうか。それとも、民間の企業、もしくは個人?
先日紹介した記事の中で、元アメリカ財務長官のロバート・ルービンは国が積極的に関わるべきということでした。
もとオバマ政権の時の大統領経済諮問委員会のメンバーで、現在はHamilton Projectというシンクタンクの理事長をやっているJay Shambaughは、現在のように将来を予測することが難しい世界では、企業こそが労働者により適したトレーニングを提供できるのではないかと言います。具体的には見習い制度のようなものをもっと制度化してもよいのではないかと提案しています。
詳しい話は以下のMITのTechnology Reviewによるインタビュー記事の中にありますので、こちらで紹介したいと思います。
以下、要約
未来の仕事場で仕事をしていくための準備として、それぞれの個人にはいったい何が出来るのでしょうか?
おかしく聞こえるかもしれませんが、正直な解答としては、学校にとどまり続けることです。経済全体を考えたとき、教育というのは、賃金の伸びという問題の答えとしては十分ではありません。しかし、個人という場合においては十分なのです。
個人にとっては、より多くの教育を受けていたほうが失業する可能性は低くなり、より賃金は高くなるのです。他にできることがあるとすると、あなたがこれからの労働生活に必要だと思うことを支持している政治家の支援をすることです。
誰が労働者の再教育(再トレーニング)に責任を持つべきで、誰がそれをより効果的に行えるのでしょうか?
公的機関にこうしたトレーニングの全てを任せることは出来ません。なぜなら、労働者の全人生を見渡した上で、彼らに必要になるトレーニングを提供することは不可能だからです。ですので、そうしたトレーニングの一部は企業の中で提供されるべきです。
他の国ではもっと大きな見習い制度が行われていると指摘する人がいます。たしかにそれは魅力的な制度なのですが、それぞれの国のシステムには、それぞれ適した進化の仕方があります。アメリカでは、他の国で言ういわゆる見習い制度は、コミュニティーカレッジのレベルで行われています。
アメリカの未来の仕事はどうなると思いますか?
アメリカを含めたほとんどの国では1980年までは、経済がより豊かになると、人々は今までよりも働く時間が少なくなっていったものです。ドイツ、フランス、その他多くの国では、一年の間に働く時間というのは減少傾向にあります。もっと多くのバケーションをとっているか、一週間に35時間の労働時間制に移行したかのどちらかです。
しかし、1980年以来のアメリカでは、労働時間に変化が見られません。これは不思議なことです。ロボットが私達の仕事を奪うという恐怖の世界の話はおいておいたとしても、私達がもっとレジャーを楽しむ時間が増えて、仕事をする時間は減るという世界が来てもよさそうなものです。しかし、アメリカの経済はそういった方向に向かってはいないようなのです。
以上、要約
記事の中にもあったように、従業員が継続的に新しい技術、スキルを習得していけるような仕組みを、それぞれの企業が作っていくというのは、こちらシリコンバレーでは、データサイエンスに限って言うと、AirBnBのData University、FacebookのData Bootcamptなどが成功している例として有名です。GoogleもAI/機械学習/データに関する社内トレーニングは充実していて、最近はさらにそれらのクラスを社外にも開放していたりします。
特にAI、データサイエンスのようにテクノロジーの進化がとにかく速い領域はこうして動きの早い企業がどんどんとそういった取り組みを始めていくということになるのでしょう。
ただ、心配なのはこうした企業に入れるのは一部の人達だけであり、アメリカ、もしくは同じカリフォルニアでもシリコンバレーの外に一歩踏み出ると、そういった機会とはかけ離れた世界があります。つまり、「鶏が先かと卵が先か」というように、持てるものと持たざる者の差がどんどんと広がっていく可能性があるということです。
ここに、国と教育機関と企業がパートナーとして、こうした最新のテクノロジーに関するトレーニングをすばやく、柔軟に、そして社会的なスケールで提供していくチャンスがあるのかもしれません。そしてそれを可能にする社会こそが次の10年、エネルギーがあって、さらに競争力もある、おもしろい場所となるのではないでしょうか。
データサイエンス・ブートキャンプ開催!
Exploratory社がシリコンバレーで行っているトレーニングプログラムを日本向けにした、データサイエンス・ブートキャンプを東京で開催します。データサイエンスの手法を基礎から体系的に、プログラミングなしで学んでみたい方、そういった手法を日々のビジネスに活かしてみたい方はぜひこの機会に参加を検討してみてください。

