デジタル化の成功の鍵を握るデータリテラシー教育
デジタル化されたビジネスの世界での共通言語であるデータを読み、伝え、考える力
We think we want information when we really want knowledge.
私達が情報を欲しいというとき、実は本当に欲しいのは知識なのだ。
ネイト・シルバー
現在多くのビジネスがデジタルトランスフォーメーションを進めている最中です。
最近のコロナによってもたらされた新しいビジネス環境は、ビジネスの大小を問わずその動きをさらに加速させています。
もちろん、デジタルトランスフォーメーションの目的は仕事をデジタルにすることでも、新しいITシステムの構築でもありません。ビジネスのデジタル化によって効率的にデータを使ってすばやく意思決定を行っていくビジネスへと変革していくことです。
しかし、残念ながら多くのプロジェクトがデータドリブンで進んでしまった結果、データの収集と、データの基盤構築ばかりに注意が向けられてしまい、集められたデータから社員がどのように知識を獲得し、より良い意思決定を行い、ビジネスを改善していくのかとという点についてはまだまだ真剣に議論されていないというのが現状です。
すでにデジタルトランスフォーメーションが行き詰まってしまった企業でよく聞くのは、データはたくさんあるが、活用できてないと言う話です。
つまり、データがないのが問題なのではなく、データがあってもそこから知識を得ることができていないということが問題となっています。
シリコンバレーの成長企業に共通するもの
私たちExploratoryが本拠を構えるシリコンバレーには、Google、Facebook、Airbnb、Tesla、Uberといったデータを効率的に使ってビジネスを急成長させている企業がたくさんあります。
そうした企業にはスタートアップでも大企業でも、2つの共通点があります。
もちろんシリコンバレーだけあって1つ目はテクノロジーなのですが、実はそれ以上に他の地域に比べて大きく違う特徴が、2つ目データをビジネスの共通言語としていることです。
部門を問わず、さらに組織の中のどのような階層にいても、データを使って現状を的確に理解し、将来を予測し、的確なアクションを毎日すばやく効率的に打っていくことが求められます。
この共通言語であるデータを話し、理解していくためには全ての社員にデータリテラシーが求められます。
データリテラシーとは、データを読み、意思決定に役立つ知識をデータから導き出し、さらにそうした知識を他の人達に適切に伝えることができる能力のことです。
残念ながらアメリカの既存の学校システムではデータリテラシーの教育はまだまだ遅れているというのが現状のため、こうした企業では、自前のデータ教育プログラムやオンラインなどの外部のプログラムを使って、社員のデータリテラシー教育に日夜積極的に取り組んでいます。
データドリブンから知識ドリブンへ
ガートナーによると全米のチーフ・データーオフィサーにとって最も重要な問題の1つとして、「社員のデータリテラシーの欠如」を挙げています。
データがあっても、データリテラシーなしでは、例えば売上高、顧客数、ページビュー、コンバージョン率、といった数字に一喜一憂し、そこからビジネスを改善するための施策を打っていくのではなく、逆にデータに振り回されてしまうばかりとなってしまいます。
これでは、データが人間をドライブしている状態、つまりデータドリブンとなってしまいます。
データを元に的確なアクションを毎日すばやく効率的に打っていくためには、人間がデータから得られた知識を使ってビジネスをドライブしていくべきなのです。
ビジネスの改善に役立つ知識を得るためには、例えば以下のような質問をしていくことができます。
- 自分たちのビジネスの状態を的確に理解するために必要な指標は何なのか。
- ビジネスを改善していくために追うべき最も重要な指標は何なのか。
- ビジネスの改善のための仮説を構築するためには、このデータは十分なのか。
- このデータからは何がわかって、何がわからないのか。
- データから観察できる現象はたまたまなのか、それとも何か大きなトレンドを示すものなのか。
- データから得られた知識は、これからアクションを打つために十分なのか。
- それは将来の予測に役立つのか。
- データから得られた知識を他の人達にどう伝えればよいのか。
こうした質問をデータに対して積極的に投げかけていくことで、データからビジネスの改善に役に立つ知識を得ることができるようになります。
そして、こうした慣習が組織に広まっていくことで、ビジネスは変革していくことができるようになるのです。
ビジネスの変革の主人公はITではなく、人間だ
デジタルトランスフォーメーションとはITの問題ではなく、実は人間の問題です。それは、デジタルトランスフォーメーションの目的がビジネスの変革だからです。
ビジネスの変革は、最終的にはビジネスを行う人間の変革によってしかもたらされません。
これからのデジタルビジネスの共通言語はデータとなります。
そこでは、すべての社員がデータを読んで理解する能力、データから得られた知識を伝える能力、データを使ってものを考える能力を持っていることが期待されます。
デジタルビジネスの時代、データがないのが問題ではありません。溢れるばかりのデータからビジネスの成長、そして改善に役立つ知識を得ることができる人材がいないということこそが問題なのです。
今こそデータリテラシーの向上に本気で取り組むべきときではないでしょうか。
私達Exploratory社としても何か貢献できることはないかということで、来月より「データリテラシー・サロン」を定期的に開催していくこととなりました。
今回は、弊社CEOの西田と、データ業界の有志3名の方にゲストとしてご参加いただき、「データリテラシー」という点から話して頂き、最後にパネルディスカッションを予定しております。
興味のある方はこちらのページよりぜひお申し込み下さい!