起業したいなら今すぐプログミングとデザインを始めるべき

Shoin Wolfe
shoinwolfe
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9 min readSep 23, 2017

私は数年前に有名なハッカソン「スタートアップ・ウィークエンド」に参加し、非常に面白い現象を見た。

ハッカソンの目的は限られた時間内その場で出会ったメンバーとでどこまでプロダクトを作れるかを試し、制限時間の最後にそのプロダクトを審査員にピッチするイベント。そしてスタートアップ・ウィークエンド特有のルールは参加者が必ず自分をHipster (デザイナー) 、Hacker(エンジニア)、 Hustler(ビジネスパーソン)のどれかとして参加しなければならない。

チームを作る際、一番良いチーム構成はもちろんHipster 、Hacker、 Hustlerの全員を揃えることだ。だが一番興味深かったのは一つの属性に偏ったチーム達の結果だった。

Hackerのみで構成されたチームは動くプロダクトができていた。キレイではないしUXもよくないが、見た目がどうであろうと実際に動くプロダクトができていた。何かを生み出していたのだ。

Hipsterのみのチームは、プロトタイピングツールで実際動いているように見えるキレイなモックアップができていた。表面上だけであっても、完成形に限りなく近いものを生み出していた。

Hustlerのみのチームはプロダクトもモックアップもなく、ビジネスプランをパワポに打ち出してあった。つまり何も具現化されず、アイデアはアイデアのままだった。事実上なにも生み出していなかった。

上記の各チームが出した結果は実際のスタートアップ業界の良い例になっていると思う。

スキルがないのに起業をしたい人が多すぎる

アイデアはプロダクトになって初めて現実になる。アイデアをプロダクトにする能力が自分に備わってないなら、かなり人頼りの起業になってしまう。なのにスタートアップ業界には起業や”イノベーション”の話ばかりはするけど自分ではプロダクトを作ろうとしない「なんちゃって起業家」が多すぎる。特にHustlerの部類に「なんちゃって」が圧倒的に多い。そしてその人たちがよく使う言い訳が「資金がないから」や「賛同してくれるチーム(Hipster/Hacker)がまだ見つからないから」。だが実際にはそんな人任せな起業は一生始まらないし、始まったとしてもその人が無能なメンバーなままな状態は変わらない。

そんな人には良い人は集まらない。特にHackerの人たちはIT系にチンプンカンプンなボスを避けるため、Wantedlyみたいな最近のスタートアップ就職サイトには「社長がプログラミングできる」というフィルターがある位だ。

何かを作りたいなら自分自身で創造する能力を備えるべき。当たり前なことだが、「起業したい」と言う大多数の人は実践していない。だが自分も大多数の人のままでは特別な物は作れない。だからこそ絶対に怠けてはいけない。

人の力に頼らずに自分がプロダクトを作るためなら必死で勉強と努力を行うべき。そうすれば資金も人材もいらずに自分が願っていたものができる。しかも逆に初期のプロダクトさえ作ってしまえば、面白いことに資金もメンバーも自然に集まりやすくなる。

では自分でプロダクトを作るのはどう始めればいいのか?数年前、ベンチャーキャピタルで働いていてビジネスしか取り柄がなかった私は、こうやって始めた:

専門学校やクラスは全く通ってない。独学だけ。現代は情報社会。プログラミングの情報やデザインの情報も一生読んでも読みきれないほどの量が無料で公開されている。分からないは検索しながら学べばいい。全てが独学できる時代なのだ。

Hatchのアイデアからプロダクトの軌跡

私の場合、Hatchというマッチングアプリを世の中に出したいと思った。
自分のみでも作ろうと思えば作れるが、競合を負かすスピードで開発やマーケティングを行いたいなら資金調達が必要だと分かっていた。

でもアイデアだけで投資家にピッチしても、笑われて返されるだけ。過去ベンチャーキャピタルで働いてたからこそ分かる、資金調達が有利に効くプロダクトの状態の順位はこうだ:

プロダクトができていて利益が出ている>>プロダクトができていてユーザーがいる>>>>プロダクトのプロトタイプがある>デザインが完成している>>>[超えられない壁]>>>> 良くできたピッチデッキ>アイデア

上記のプロダクト状態の順位によって資金調達が左右されるのはシンプルな理由がある:投資家はこのチームが実際プロダクトをそもそも作れるのかが知りたいからだ。

時間短縮の為、私は投資家を周る前にプロトタイプまでは完成させておくことに決めた。

そこからは数ヶ月間、週3フリーランスの仕事をしながらそれ以外の日はカフェへ行きHatchの作業に取り掛かった。

デザイン

まずはアプリのデザインの完成形予想して、色んなターゲットユーザーから意見を貰いながらデザインしていった。

時間をかけて進化させていった。

デザインが完了した段階でプロトタイプ作りに集中。

プロトタイプ
Hatchは初期の頃はSwiftではなく、iOSとAndroidを同時に出せるようReact Nativeで書こうと決めていた。私は実際React Nativeを触ったことがなかったからプロトタイプ作りはこう始まった:

数週間はかかってしまったが、Hatchのメイン画面のプロトタイプができた。

(雑談だが、資金調達後、結局React NativeはヤメてSwiftにで開発することにしたので私の書いたコードが無駄になった。でもプロトタイプのメインの役目は投資家に見せる為だったので、特に問題ないし、私の勉強にもなった。)

React Nativeで作ったプロトタイプの動画を撮り、次はサイト作りに取り組んだ。

ウェブサイト
実際のプロダクトはアプリであっても、ウェブサイトを事前に作っておくことはプロトタイピングの一貫である。他の人に自分のプロダクトの話をする時にリンクを送れるのは強力だ。プロダクトがまだできていない時、サイトはプロダクト代わりになる。

Hatchは殻から出ているこのヒヨコ(🐣)をモチーフにしているため、卵の殻っぽいデザインをサイトに取り入れた。でもそんなデザインはやってことはないので、もちろんこう調べた:

あと残るはピッチデッキだった。

ピッチデッキ
ピッチデッキもある程度はデザインして、プロトタイプの動画をタイトルページに埋め込んだ。

(ピッチデッキの構成についてはまたの機会に書きます。)

そしてピッチデッキができた段階で色んな投資家にアプローチをかけ始めた。

結論

プログラミングとデザインを独学していたおかげでアプリのデザイン、プロトタイプ、ウェブサイト、ピッチデッキに掛かった費用は0円。人に渡した株も0。安上がりに資金調達ステージまで持って行けた。

そして資金調達した今でも、UI/UXデザイナーやディレクターは自分ができるからこそ人を雇う必要がない分、資金をマーケティングなどもっと他のものに回せる。

それに加え、React NativeやギザギザのCSSなど前に知らなかったことが身についた。これもいつかはまた役に立つ。

現代はIT系の起業が多い。IT系ならプログラミングとデザインを学ぶことは必須だと思うし、自分のアイデアを実現できるのは強力なスキル。
世の中のほとんどの人がHustlerだからこそ、HipsterとHackerのスキルを備えるべき。全部揃ったら怖いものなんて正直なくなる。

私も正直Hackerの部分がイマイチだが、現在進行形で学んでいる。でも結果的に最強のHackerになろうとはしてない。自分の作りたい物の原型だけでも作れればそれで十分。

数年前までビジネスとDJしか取り柄がない私にでもできるなら、正直誰にでもできると思う。「自分には遅すぎる」「時間がない」など決して自分に言い聞かせてはならない。

起業の道は荒波に似ている。険しい波の中、自分以外メンバーが全員船から振り落とされることだってある。そんな時に自分だけででも舵を取れるくらい器用な船長であれば、その船は航海を続けられる。逆に自分で舵の取り方を知らない船長だと、その船は沈む。舵の取り方を知らないまま船長になってはダメだ。

プロダクトを作りたいなら怠けず、一度真剣にHipsterとHackerのスキルを身につけて欲しい

(この記事はブログ https://shoinwolfe.com/ から引用)

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Shoin Wolfe
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