ティール組織において、個人的に解けていない3つの疑問

山田裕嗣 / Yuji Yamada
組織のカタチ
Published in
4 min readJun 21, 2018

ティール組織や自然経営(じねんけいえい)について、個人的に解けていないなと思うテーマがいくつかあります。
ざっと挙げてみると、「1.戦略的に大きな意思決定」「2.給料の決め方」「3.個人の非連続な成長」の3つがあります。

1.戦略的に大きな意思決定

経営をする中で、事業を大きくピボットさせる、事業を始める(or止める)、リソース配分を大きく変える、といった「戦略的に大きな意思決定」が必要になることがあります。
それは、自律的な組織の中にどうやってインストールされていくのか?ここがイマイチしっくり来ていません。

ポイントとして2つあります。
①「現状延長ではない方向へ舵を切る」という意思決定をした場合に、自律的な組織において、どうやってその方向に組織を動かすのか?
②戦略的な意思決定という抽象度の高い仕事に対して、その価値が組織内でどれだけ理解され、評価されるのか?

2.給料の決め方

「絶対の正解はない」という前提で、なんというか「いまいちスッキリしていない」という表現がおそらく一番適切です。

世の中のケースを調べてみると、
・みんなで相談する
・自己申告
・全員一律にする
・計算する方程式を決める
など、色んなバリエーションはありますし、それぞれ試行錯誤を繰り返しながら自分たちなりのやり方を作り出そうとしています。
一方で、それぞれにやはり難しさは存在します。(もちろん評価制度だけを切り出して良し悪しを言うこともできないんですが)

そもそも、「評価」とは?「報酬の分配」とは?みたいな、ものすごく抽象度の高いレベルでの問い直しが必要なのであって、そこの筋の良い問いの立て方が分かっていないのかもしれません。

3.個人の非連続な成長

自律的な組織において、人はどうやって「成長」していくのか。育成に責任を持ってくれる上司がいる場合と違い、基本的には自助努力に担う部分が大きくなります。
その場合、どうやって人は成長していくのか? 特に、「視野を広げる、視座を高める」といった、本人にはまだ見えていない世界に対する「非連続的な成長」は、どうやって実現するのか?

例えば、スキルマップで能力の一覧を作り、それぞれにレベルをチェックする、それに基づいて自助努力を促す、というのは一つの方向性として可能性を感じます。
一方で、自助努力に依存する限りは、視点を高めるチャレンジが自らできるとはあまり思えません。

「見えていない世界」へのチャレンジ

あえてやや強引に共通するテーマを見出すのであれば、「知らないこと」をどう扱うか?というのが通底しているのかもしれません。

「戦略」であれば、限られた人しか洞察できない機会や脅威に対して、どうやって対応していくのか?
「給与の決定」であれば、互いにすべての仕事や貢献が見えるわけではない中で、どうやって納得感や公平性を醸成するのか?
「個人の成長」であれば、本人がその時点で見えていない世界へのチャレンジをどうやって促すのか?

旧来の組織であれば、「優秀な人(≒より多くのことを知っている人)」に組織内での権力・権限を与えて、組織内の「普通の人(≒知らないことがある人)」を引っ張り上げる役割を担わせていました。
自律的になっていったときに、このあたりのことをどうやって扱っていくとうまく行くのか?

色んな事例に関わったり調べたりしながら、このあたりはよりよい形を探していきたいところ。

Originally published at EnFlow / 組織デザイン.

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山田裕嗣 / Yuji Yamada
組織のカタチ

HR系のコンサル、大手ITのHRを経て、ITベンチャーの経営に参画。 2017年12月にEnFlow株式会社を設立。Teal/ホラクラシー/自然経営など、新しい時代の組織への変容を支援。 https://en-flow.com/