テンセグリティで体感できる「生命的な組織」の特徴

山田裕嗣 / Yuji Yamada
組織のカタチ
Published in
4 min readJul 13, 2018

自然経営(じねんけいえい)のイベントやコンサルティングなどの場面で、「生命的な組織ってどんなものか?」を説明するのに、テンセグリティを使う機会が増えました。
どのあたりが「説明に適している」のか、備忘録的にも少し整理してみました。

ちなみに、一応文章で書き起こしましたが、物理的に「触ることができる」というのはやっぱりとても強力です。amazonでさくっと買えるのでご興味ある方はぜひ。

テンセグリティとは?

wikipediaから引っ張るとこういう内容です。

テンセグリティ(tensegrity)とは、バックミンスター・フラーにより提唱された概念で、Tension(張力)とIntegrity(統合)の造語。実際はケネス・スネルソンが彫刻として取り組んでいた引張材と圧縮材からなるオブジェに対し、テンセグリティなる造語を発案し、これを自ら用いたのがバックミンスター・フラーであった。

これもやっぱり、定義を「理解する」というよりも、実際に触って「体感する」ことが一番です。

「生命的な組織」の特徴

全てはテンション(=引っ張り合い)で成り立っている

このオモチャのテンセグリティで言えば、構成要素は「6つの棒」と「6つの輪ゴム」だけです。それぞれが「引っ張り合っている」ことで成り立っています。
特定の人が「権力が強い」とか「偉い」とかではなく、等しく相互に作用しあうその「関係性」によって組織が成り立つ、というのが分かりやすく現れています。

上下も中心もない

引っ張り合う「関係性」によって成り立っているので、上も下もありません。中心は「なんとなくこのへん」という場所は存在しますが、明確に「このパーツが中心」というのはありません。
組織で言えば、「社長」や「創業者」という影響力の強い人は確かに存在しえますが、それもあくまで流動的なものであり、「なんとなく真ん中あたり」くらいのものだという捉え方になります。

因果関係で捉えられない

前に別の記事でも書きましたが、一度キレイなバランスが崩れると、「どうすれば元に戻せるか」を論理的に理解するのはとても難しいです。
どれかのゴムを引っ張ると、他のパーツにも影響が出ます。「Aをやる→Bが直る」という分かりやすい因果関係ではなく、「Aをやる→B,C,Dに影響が出る」のようなものです。
「要素に分解して課題を特定する」のではなく、「全体を見ながら少しずつ手を加える」ような取り組み方が求められます。

情報の透明性があってこそ成り立つ

「全体を見ながら手を加える」ためには、当たり前ですが、「全体」が見えていることが必要です。テンセグリティが、隙間だらけで全部が見えているように。
組織に置き換えると、ここは「情報の透明性」がいかに重要か、という話につながります。

組織という「虚構」

サピエンス全史では、国家、企業、法律、人権、平等、などなど、様々な「虚構」によって人は協力関係が作れた、と書かれています。私達が当たり前に組織とか企業とか思っているものも、「虚構」と言うとやや大袈裟ですが、カッチリした不可侵なものでは全くありません。
テンセグリティでいえば、どこまでが「テンセグリティ」なのか?というと、「棒と輪ゴムだけ」なのか「その中の空間も含まれる」のか、良く分からなくなります。
組織に対しても、こういった感覚を持っていることは必要だと思っています。それぞれのパーツの関係性で組織全体が成り立つのであり、自分自身も、他の人も、組織を成り立たせるために等しく「担っている役割がある」という感覚があって、初めて組織全体としての自律性がうまれてきます。

Originally published at EnFlow / 組織デザイン.

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山田裕嗣 / Yuji Yamada
組織のカタチ

HR系のコンサル、大手ITのHRを経て、ITベンチャーの経営に参画。 2017年12月にEnFlow株式会社を設立。Teal/ホラクラシー/自然経営など、新しい時代の組織への変容を支援。 https://en-flow.com/