組織を理解する「深さ」が変わる5つの観点

山田裕嗣 / Yuji Yamada
組織のカタチ
Published in
5 min readNov 14, 2018

これまで、フルタイムで働く経験を3社して、ざっくりその10倍くらい?の会社には、一定以上の深さと密度で関わらせてもらってきました。
とても感覚的にしか言えないんですが、たまに、それまでと違った「深さ」で、その組織のことが理解できたな、と感じる瞬間があります。

その「深さ」とはどういうことか?っていう定義を言語化するのは大変そうなので(笑)、とりあえず、そ「深さ」の違いを生み出している「観点」の方を、思いつくままに書いてみました。まず出てきたのがこの5つです。

「外からの見え方」と「中で体験する実態」の違いを認識する。

とても当たり前な話ですが、とりあえず。この違いは100%存在します。
その会社から外に出される情報は、何かしら自分たちにとって「よく見える」ように、意識的にも、無意識的にも、一定の「編集」が加わります。むしろ会社としては、それをやらない方がおかしいですし。(もちろん、嘘をつくとかは論外ですが…)

あとは、どれだけ優れた映像でも文章でも、リアルな「体験」とは違う、というそもそもの話もあります。
そして、その体験から感じることも千差万別です。っていうのが次のやつに繋がります。

「発信者の解釈」を考慮する。

「組織の全容を100%分かっている人」っていうのも、絶対に存在しません。必ず、その人なりのバイアスや解釈がかかります。
雑な例で言えば、「色んな人の意見を吸い上げて意思決定する」ことが得意な経営者がいたとして。それを「耳を傾けてくれる良いトップ」と取るのか、「自分の意志がないダメなトップ」と取るのかは、その人の解釈次第です。

誰かから直接話を聞く場合は「目の前の人」の解釈が入っているし、社外に発信される情報も「広報担当」や「経営者」の解釈が入ります。
ここは、わかりやすくは「色んな人からの話を聞く」ことで軽減されるし、「発信している人のことをより深く知る」ことでも理解が深まったりします。あとは、その人の持ってる役割とかもかなり影響します。

組織の「歴史」を知る。

今の組織の形は、これまでの歴史の中で、「そのときに最善だと思った選択の積み重ね」によって出来ています。たとえ今の時点から見たら、「なんでこんな悪い選択したんだ…」と見えるようなことがあったとしても、「それを選択した時点」では、必ず、そのときなりにベストな選択をしています。

その選択の仕方に、価値観というか理念というか、平たく言えば「その会社らしさ」みたいなものが現れるし、かつ、その「らしさ」は強化されていきます。
今の形に至るまでに大事だった「転換点」とか「事件」は何だったか、みたいなことが分かると、立体的にその組織が見えやすくなります。

「事業モデル」を理解する。

上記の「組織の歴史」に非常に通じるところがありますが、事業モデルの理解が深まると、組織としての過去の決断の意図とか理由がより深く理解できます。

ちなみに「事業モデル」ととりあえず書きましたが、これが適切な言葉の選択なのかいまいち分かってません。
「どんな市場で」「どんな競合がいて」「どんな顧客に価値を提供して」「どうやってお金をもらってるか」といったビジネスモデルの話も必要ですし、それを再現することを可能にしてる「競争優位の源泉」とか「コアコンピタンス」をきちんと捉えられることも大事です。そして、後者のほうが掴むのが難しい。

例えば、人材紹介会社であればビジネスモデル自体の振れ幅はそれほど大きくないですが、競争優位の源泉としては「クライアントとのグリップ力」「過去に培ってきた人脈」「集客できるメディア」「カリスマ性のあるトップ」など色々なパターンがあります。
そのあたりのリアリティがつかめると、その組織に対する理解がぐっと深まります。

影響力のある人(≒経営者)の人間性を知る。

経営者の人間性は、本当に色んな意味で、事業の形・組織の形に投影されています。
分かりやすいところで言えば、その経営者の「創業の動機」や、そこにつながっている「原体験」。それが分かると、一つ一つの意思決定の理由がより深くわかります。
もう一つ分かりやすいのは、その経営者のキャリアや専門性と、それを選んでいる理由。同じエンジニア出身の経営者でも、「とにかくテクノロジーそのものが大好き」なのか、「課題解決の手段としてのテクノロジー」と思っているのかで、かなり違います。

分かりづらいところでいうと、その経営者が根深いところで持っているこだわりや、避けていること。天外伺朗さんは、このあたりを4つのメンタルモデルという表現をされています。(詳しくはこちらのFBのポストに書かれています)

上記のような観点を踏まえつつ、組織に対する理解が深まっていくと、その奥にある矛盾とか対立している構造は実は極めてシンプルだったり、「そんな当たり前のところが違うんだ」みたいに思うことも多かったりします。
もっと色んな組織に接しいくと、とても抽象度の高いレイヤーでですが、「組織の中に生まれやすい対立構造」は一定のパターンに落とし込めるのかもしれません。(そんな探求してみたらそれはそれで面白そう…)

Originally published at EnFlow / 組織デザイン.

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山田裕嗣 / Yuji Yamada
組織のカタチ

HR系のコンサル、大手ITのHRを経て、ITベンチャーの経営に参画。 2017年12月にEnFlow株式会社を設立。Teal/ホラクラシー/自然経営など、新しい時代の組織への変容を支援。 https://en-flow.com/