190701_2年4組

Mao Kusaka
給食をたべる
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5 min readJul 4, 2019
今日のメニュージャンバラヤ、野菜スープ、冷凍みかん、牛乳

今日は4組で牛乳パックをひたすらに切る、という作業からスタートした。肝っ玉母ちゃん先生に命じられて、無数にある牛乳パックの山を三等分していく。どうやら工作に使うとのことで後ろの棚で黙々と切っていたのだが、完全に子どもたちから背を向けて作業するのは、なんだか本来の趣旨と違う気もする。しかし一方でこれも役割の一つである確信もあるので、作業を進める。

その牛乳パックの数々は、切り込みを入れて、輪ゴムをかけたら、「ぴょんぴょんガエル」が出来上がる。輪ゴムのバネの力を使って、開いてた牛乳パックがピョーンと跳び上がる、といったものだ。出来上がると、教室は盛大に盛り上がる。好きなキャラを描いて見たり、おみくじ風にして見たりと行った工夫はすぐに広まるもので、お互いのを見てゲラゲラ笑ったりしていた。私も、完成したそれを子どもたちとピョンピョンさせていると横から先生が「これめっちゃいいでしょ、簡単だから時間余った時に使いやすいからね~」とtips的な?ことを教えてくれる。ふとしたそんな瞬間に先生から見える私が垣間見えたりする時がある。やっぱり、教育実習生のなりそこないくらいには見えているのだろうか。

そうこうしていると、給食の時間がやってくる。「ちょっと行ってくるから片付けさせておいてね~」と先生に頼まれ、「ぴょんぴょんガエル」の材料散らばる机の上を片付けるように促していく。教室内は、まだその興奮が冷めやらぬ感じで、普段は給食がくる前はシンとしている4組でさえもザワザワとした空気感が広がっていた。その雰囲気に乗せられてかはわからないが、一緒に「カエル」を作った女の子が不意に折り紙を差し出してくれる。本当は、先生がいない間は折り紙を出すのは禁止なのだが、しょうがないのでそれは目をつぶって「ありがとう~」と受け入れる。結構手の込んだ「ハート」の折り紙だったので、折り紙を一枚もらって(自分で買ったという大切な折り紙らしいのにプレゼントしてくれた!)机の下でコソコソ作り方を教えてもらったりなどしていた。

名札の厚みが増え、そろそろ名前まで覆ってしまった。「次にくるときに折る用」の折り紙ももらったのにまだ折れてない。

先生が帰ってくると、男子たちがややざわついている感じがする。先生は状況を聞くなり、「はああ!?!?」と完全にキレてアツくん、タクくんのもとに向かう。どうやら近くにいた子に聞くと、給食を待っている間にちょっとした喧嘩が起こったらしい。当の私はというと、完全に折り紙に夢中で気づかなかった。先生が雷を落とす間しばらく重苦しい空気が続く。

その後、配膳中に先生から「くさか先生、状況みてた?」と事情徴集を受ける。実際のところ、折り紙に夢中になっていたとも言えず、視界の端で捉えたことをできる限り詳しく伝える形となった。「すいません、これくらいのことしか伝えられず」と言うと、「いいのよ、気にしないで!」とあっさりした返事だった。

今日の座席は先生から指定があり、月くんの前に言って欲しいと頼まれた。結構大きめの声で「月くんの前」を指定するので、月くんも気になって「え、何?」と顔を曇らせる。以前(この日かな)にも書いたように、月くんは勉強や着替えなどマイペースだからなのか何かと遅れがちで、それに加えて食べ物の好き嫌いも多いのだ、ということもそっと先生が共有してくれる。だからこそ、今日のミッションは月くんの前に座って「食べているか様子見て、食べ方も指導してやってください」とのことだった。結構食べ方は他の子も一緒な気もしていたが、先生がそう言うのでしばらく様子を見ることにして見た。月くんは先生に背を向けた状態なので、先生からは見えない死角に座っている。私はその反対側に座っているので、つまりは先生とばっちりアイコンタクトを取れる席に座ってしまった。先生の視線を感じつつ、月くんの食事を観察する。あらかじめ、先生が月くんのために過剰なまでに減らしてあるので(残しが出ないようにするためだと思う)、皿にはほとんど残っていない。ゆっくり咀嚼して、どの皿にも手をつけているところを見ると、今日のメニューはいけそうらしい。先生が「いけそう?」と口パクできくので、曖昧に頷くと食い気味に「じゃあ月お皿全部持っといで!!!!」と勢いよくいう。

結局給食が終わった後に「どうだった?」とまた先生に聞かれ、「結構いけそうな感じしましたけどね」というと、「そうなのよね~」と悩ましそうに先生もいう。給食中にお腹が痛くなってしまったことなど、その時の状況を共有して、教室を離れようとしたら再び先生に呼び戻される。

「それよりも、この重苦しい空気はどうしたらいいのかね!」と笑いながら言う。すっかり忘れていたが教室は、アツくんタクくんが怒られた時のままズドーンとした淀んだ空気が残っていた。子どもたちの表情を気にせず我が道をゆく先生も、そんなことで頭を悩ますんだな、と不意に先生の人間らしさを感じていた。

そういえば先生、珍しく必死に「ジャンバラヤ(左下のご飯の名前)」の説明してたな、と帰り道で思い出していた。先生なりの盛り上げ方だったのかもしれない。

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