【LONDON】魂の踊り、春の祭典

MIKAKO
群青色の日々
Published in
4 min readMar 28, 2017

24 March 2017 in United Kingdom

The Rite of Spring(春の祭典) by Pina Bausch

ロンドンもサマータイムが始まり、木々も緑豊かになってきて花も奇麗に咲いてきました。春ですね〜。今月の23日に初演を迎えたイングリッシュナショナルバレエによるピナ・バウシュ振り付け ”春の祭典(The Rite of Spring)” を観に行ってきました。

先週の3/16(木) ~ 3/19(日)は埼玉でピナが創設したバレエ団ウッバタール舞踏団による”カーネーション”が公演されたようで、チケットは即完売だったようです。

もともと春の祭典はストラヴィンスキーがバレエリュス団に作曲したバレエ音楽。

1910年、ストラヴィンスキーは、ペテルブルクで『火の鳥』の仕上げを行っていた際に見た幻影(“輪になって座った長老たちが死ぬまで踊る若い娘を見守る異教の儀式”)から新しいバレエを着想し、美術家ニコライ・レーリヒに協力を求め、制作。

春を迎えたある2つの村同士の対立とその終息、大地の礼賛と太陽神イアリロの怒り、そしてイアリロへの生贄として一人の乙女が選ばれて生贄の踊りを踊った末に息絶え、長老たちによって捧げられる―。

ピナの他にも、ニジンスキー版、マクミラン版、ベジャール版など多くの振り付け師によって雰囲気の全く異なる春の祭典が存在します。

ピナによる春の祭典は、生け贄となる少女たちをメインとしたダンス構成で、美しくも残酷な悲しい心情がまるで魂が踊っているかのようなインパクトのある作品となっています。

会場に敷き詰められる赤土

演目が始まる前に、赤土が舞台上に運ばれ敷き詰められます。私はピナのドキュメンタリー映画を見たことがあって、これも演出の一部だと知っていたので興奮しながらパフォーマンスが始まるのを待っていました。隣にいた友人はその光景を目にして驚いていましたが(笑)。

そしていざ開演。

アイボリー色のサテン地のようなキャミワンピを着た女性たちが土の敷かれた舞台上に現れ、各々が力強いダンスを始めます。そこに現れた赤い布。それを拒絶するかのように女性たちが譲りあうような仕草。

じつはその赤い布こそが『生け贄』の象徴だったからです。

そして男性ダンサーたちも登場し、対立したり、交じり合う群舞はすごく奇麗で素晴らしかったです。

ダンサーたちの衣装が土や汗で変化し、息づかいが聞こえてくる、まさに魂の踊り。

後半になると、生け贄として選ばれた乙女が赤いドレスを身に纏い、一心不乱に生け贄のダンスをしているのには観客全員が圧巻されました。

終わった後のカーテンコールでは、大きな拍手とブラボーの声でいっぱいでした。クラシックバレエも華麗で素晴らしいけど、モダンバレエの力強く表現に満ちた世界観はかっこいい。

いつかウッバタール舞踏団の春の祭典も観れたらなと思っています。

The Rite of Spring by Tanztheater Wuppertal

BAUSCH
FORSYTHE
VAN MANEN
23 March — 1 April 2017

Sadler’s Wells Theatre

Rosebery Avenue
EC1R 4TN London
TEL: 44 (0)20 7863 8000

Underground:Northern線 Angel駅
URL :
http://www.sadlerswells.com/

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