【STOCKHOLM】水玉模様の彌生先生

MIKAKO
群青色の日々
Published in
6 min readMar 23, 2017

26–30 July 2016 in Sweden

Yayoi kusama Infinity moderna museet

ストックホルム滞在中に Moderna Museet (ストックホルム近代美術館)で行われていた草間彌生のエキシビション ”IN INFINITY”。

ちょうど草間彌生のエキシビションをロンドンにあるVictoria Miro Galleryで見たばかりで似たようなものが展示されているのかな、と思っていたら規模がすごく大きくて初めて見る作品も多く展示されていて見応え抜群でした。

いま東京の新国立美術館で草間彌生展「わが永遠の魂」が行われていますよね。いきたい!!

草間 彌生

幼い頃から悩まされていた幻覚や幻聴から逃れるために、それらの幻覚・幻聴を絵にし始めた。1957年に渡米すると絵画や立体作品の制作だけではなくハプニングと称される過激なパフォーマンスを実行し、1960年代には「前衛の女王」の異名をとった。

草間彌生のいくつかの作品は、水玉模様などの同一のモチーフの反復によって絵画の画面や彫刻の表面を覆うことが特徴のひとつである。合わせ鏡を用いて光やオブジェを無限に広がるように見せるインスタレーションや、男根状のオブジェ(ファルス)を日用品などに張り付ける立体作品も制作している。カボチャをモチーフにした作品もしばしば見られる。

Yayoi Kusama, Louis Vuitton shop window display with Tentacles, 2012/2015 © Yayoi Kusama/Louis Vuitton.

彼女の60年にも渡る作品、ペイントやスカルプチャー、写真、彼女へ宛てられた著名人からの手紙や直筆の手紙まで展示されていました。

おなじみの水玉模様を描いたもの、カボチャやミラーの部屋など、ついつい可愛くてみんな必死に写真を撮っていました。

よく見ると一面パスタ。そこにハイヒールのスカルプチャー郡。

ファルスのスカルプチャー郡。

ファルスのスカルプチャー

この作品は、彼女のコンプレックスの裏返しといえる。少女の頃から草間は、セックスに嫌悪感や恐怖感を抱いていたと振り返る。その強迫観念を乗り越えるため、セックスの象徴であるファルスを膨大に作り、自らの心の傷を癒そうとするのだ。自伝『無限の網』で、草間は、ファルスについてこう語っている。

恐怖の対象となるもののフォルムを、いつもいつも作りつづけることによって、恐怖の感情を抑えていく。ソフト・スカルプチュアの男根をいっぱい作って、その真ん中に寝ころんでみる。そうすると、怖いものがおかしなもの、おもしろいものに変わってくる。

(出典:http://d.hatena.ne.jp/font-da/20100122/1264156624

わたしの興味を魅いたこのインビテーション。

1960年代後半に発生したヒッピー・カウンター・カルチャー・ムーブメントにも巻き込まれ、そこで彼女は裸の参加者に水玉のボディペイングを行うハプニング芸術(クサマ・ハプニング)を開催し、一般世間からも注目を浴びるようになった。

他にもクサマ・ハプニングとして1969年には、MOMA(ニューヨーク近代美術館)の庭の彫刻庭園で8人の男女がセックスするハプニングを行った。彼女は、「レッツ・メイク・ラブ」と繰り返し叫びながら、芸術の権威性をぶち壊す行為であると説明した。雑誌では次のように解説される。

これら「クサマ・ハプニング」は、性的な表現が強いものではあるが、彼女がここに込めたメッセージは「愛はとこしえ」である。

“セックスの根底にあるのは愛なのに、いまだ汚いもの、自由に楽しんではいけないものという中世的な倫理がハバをきかせている”

“人の身体はこんなに美しいのになぜ戦争へ行って死なせるのか?戦争とフリー・セックスのどちらがいいと思いますか?”

当時既成概念でがんじがらめになっていた人々を、彼女は「窒息寸前」と言い、救い上げようと願っていたのだ。そうして男女の性差を含む性文化の否定をベースに同時代を席巻していた社会問題(美術界にまで影響を与える金儲け第一の資本主義やベトナム戦争を中心とする軍国主義)などに対する反対運動などへとターゲットをどんどん広げていく。それが証拠に、ハプニングの会場として選ばれたのは、ニューヨーク証券取引所、セント・パトリック大聖堂、さらに冒頭に記述したニューヨーク近代美術館など、どれもその分野の権威的象徴とも呼べる場所であった。

(出典:http://d.hatena.ne.jp/font-da/20100122/1264156624

いまは日本をはじめ世界的に有名な芸術家 草間彌生さん。活動当初は日本では無名でニューヨークで認められ、その後日本でも受け入れられました。前衛的で性をも作品の対象にしていた彼女の作品は当時、日本ではどう捉えられていたのかななんて気になりました。

ただアートを鑑賞するだけでも価値はあると思いますが、こうやって彼女の作品に込められた彼女自身の考えを知るとより作品に対する見方、受け取り方が大きく変わってきます。

やっぱりアートの持つ力ってすごいな。

youtube : https://youtu.be/n6wnhLqJqVE

YAYOI KUSAMA
IN INFINITY
11 June— 11 September 2016

Moderna Museet

Exercisplan 4
111 49 Stockholm
TEL:
+46 8 520 235 00
月曜休み。
10:00–18:00
URL :
http://www.modernamuseet.se/stockholm/en/

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