台湾のバンド四枝筆樂團の二枚のアルバムを聴きながら

四枝筆樂團のEP「Summer Tragedy 夏季悲歌」のジャケットに使われた姚愛寗(ヤオ・アイニン)のポートレート

Monou.さんがこのストーリーの中で紹介している四枝筆樂團を知ったのは本当につい最近のことで、確かpipiこと姚愛寗(ヤオ・アイニン)が自身のFacebookで紹介していたことがきっかけでした。写真の通り、最新EPである「夏季悲歌」のジャケットには彼女が大きくあしらわれてい、ファンならずとも気になるところでしょう。

ただそのときは四枝筆樂團のこの曲を聴いてみることはなかったのですが、Monou.さんがこのストーリーに貼り付けている「夏季悲歌」のライブを見てちょっと興味が出てきました(と、ここまで書いて気がついたのですが、このライブ、昨年の「青山 月見ル君想フ」で収録されたものの様子。知っていればきっと観に行ったのに……と少し後悔しています)。

Monou.さんが”最近的單曲,我個人蠻喜歡他們synth的表現,讓整個樂團附帶了很多alternative的味道。”と綴っている通り、自分もこのシンセの使い方は非常に気に入りました。そこで今朝、彼らがリリースしている二枚のアルバム『AM 6:57』と『PM11:59』を購入し、今それを聴きながらこのストーリーを綴っているのですが……。

「夏季悲歌」とはやや趣を異にした静的な雰囲気が際だった楽曲が多く、「夏季悲歌」とはまた違った良さがありますね。ギターもシンセも歌を引き立て、バンドとしての楽曲構成を前面におし出した「夏季悲歌」とはまた異なる、どちらかというと静的な趣の際だった楽曲が多く、今日のような雨の日に聴き流したりするのには好適なアルバムではないでしょうか。

そして「離開你的森林 Leaving the forest」や「無人島 Island」などギターのアルペジオに優しい歌声が重なる曲を聴きながらふと思い出していたのは、陳綺貞の初期のアルバム――たとえば『還是會寂寞』や『GROUPIES』でした。

陳綺貞の三枚のアルバム。『還是會寂寞』『GROUPIES』『太陽』

エレクトロニカへと大きく傾斜した『52赫茲』を経て発表された新作『時間的歌』も、それはそれでもちろん魅力的なのですが、デビューアルバム『讓我想一想』を再構成したかのような内省的な魅力を放つ『太陽』や、上に挙げた二枚のアルバムなど、昔の彼女の曲が懐かしい……台湾ポップスのオールドファンであれば、自分のように四枝筆樂團のアルバムをそんなふうに聴いてしまうひともいるのではないでしょうか。

『AM 6:57』と『PM11:59』、ともに素晴らしいアルバムで、台湾ポップスのファンであれば文句なしにオススメです。

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Mark Yu -taipeimonochrome
読む,書く,撮る,聴く,旅に出る

読んだ本や聴いた音楽について、あるいは旅したことについて写真とともに綴っていきます