官能小説誌「悦」が主催する電子書籍サイトAubeBooks.comがオープン

https://www.aubebooks.com/

瀬井隆氏のブログで今日知りました。サイト内の「書店員日記」を読むと、今月の一日にオープンした様子。現在のところのラインナップは十冊にも満たないものながら、とりあえずご祝儀で全冊購入してみましたので(爆)、簡単ながらサイトの使い勝手などについてコメントしたいと思います。

自分は以前にも書いた通り、電子書籍はソニーのReader™ Storeをメインに、Reader™ Storeにない作品などはKindleで、という使い方をしています。さて、そんな自分の視点からこのAubeBooks.comの使い勝手について見てみると、まず提供している電子書籍の形式は二つ。「MOBI」形式のファイルと「EPUB3」形式のファイルで、前者の「MOBI」はKindle向けで、後者の「EPUB3」の方が業界のスタンダードであることは承知の通りですが、今回は敢えてMOBI形式で購入してみました。ただこのサイト、ちょっと困るのは「購入する際にファイル形式を選択しなければならない」ところでありまして、カートに入れる際にその選択をしていないと、デフォルトでEPUB3形式になってしまうので要注意です。このあたりはちょっと不親切といえば不親切。

それと会員登録をしてから購入という流れは納得できるものの、会員としてログインしてみると――サイトのヘッダには見慣れたツールバーがご登場。つまりこのサイトはWordpressで作成されており、会員登録イコールWordpressのアカウント作成ということのようです。

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実際にツールバーから「プロフィールを編集」してみると、「管理画面の配色」や連絡先情報の設定などができる管理画面へと遷移するのですが、商品購入の際に入力しなければならなかった住所や電話番号の情報は編集できないという謎設定。自分は今回、三回にわけて購入を行ってみたのですが、いずれの場合にも「住所」や「電話番号」の情報入力を求められました。もっともブラウザのキャッシュに入っていたので再入力する必要はありませんでしたが、もしかしてこの「住所」や「電話番号」の情報は会員情報にリンクしているわけではなく、ただ商品購入のIDに紐付けされているだけということでしょうか?

支払いはカードかPaypalが選べます。自分は文句なしにPaypalを選択。ここでPaypalの決済へと遷移するプラグインを使用しているのですが、この処理に凄く時間がかかり「大丈夫なのかな……」と凄く凄く心配になったのはナイショです。一分とは言わないまでもPaypalの決済が完了するまで結構な時間がかかるので、ここはジッと我慢の子で待つことにしましょう。大丈夫です。

さて、決済を終えると、cs@aubebooks.comからメールが届き、そこにダウンロードできるリンクが書かれているのでそこからダウンロードするのも良し、また決済した後の購入画面から直接ボタンをクリックしてダウンロードすることもできます。

購入画面

自分の場合はMOBI形式のものを購入したので、ダウンロードしたファイルを端末に送らないといけません。これはこのサイトの「電子書籍インストールガイド」のページにも説明がありますが、基本的には自分の端末のアドレスにダウンロードしたファイルを添付して送信するだけで完了します。自分の場合は、Android端末のKindleアプリを使用しているので、アマゾンの管理画面に表示される端末と紐付けされたメールアドレスに送信することで同期がなされ、無事に読むことができました。実際の読み心地は普通のアマゾンで購入したKindle本と何か変わりありません。小さい書店とはいえ、組版はしっかりとなされており、表紙もカラーで、普通にKindleストアやReader™ Storeで購入する電子書籍と何ら遜色はありません。

ひとつ注意するとすれば、アマゾンのユーザ情報に登録しているメールアドレスからでないと端末に送信できないということで、複数のメールアドレスを使い分けている人は注意。自分は最初にこれに引っかかり、何度同期を繰り返してもKindleアプリに送信した本が表示されないのでかなり焦りました。

自分の場合、瀬井氏の『悦楽園』はすでに悦の森文庫の紙本を持っていますが、上にも書いた通り、ご祝儀ということで全冊購入したゆえ二冊の形式の比較ができます。悦の森文庫の紙版は天地一杯いっぱいに組版がなされているのでちょっと読みにくかったのですが、このMOBI形式の電子書籍はその点もまったく問題なし。文字拡大ももちろん普通に出来るので、非常に読みやすいです。

……と、ファーストインプレッションはこんな感じでしょうか。一応、使い勝手についての個人的な要望を以下に記しておきます。誰も読まないとは思いますが。

  1. 購入後はいつでも、無制限にダウンロードできるようにしてもらいたい。
     

     には「ダウンロードしたファイルにつきましては基本的に再配布はいたしません。バックアップをとるなど管理には十分にご注意ください」とあるのですが、このクラウド時代にダウンロードしたデータをバックアップしておかなければいけないという対応は非常にマズいと思います。中小の電子書籍ストアが乱立していた数年前であれば、ダウンロード回数に制限を設けるのもまだアリだったでしょう。しかしKindleストアを始めほとんどの大手サイトがダウンロード回数制限を撤廃している今、この対応は大問題。ユーザが端末を買い換えた場合はどうするのか。端末が壊れた場合には商品を再購入しなければならないのか。さらに「書店員日記」の「第1回 このサイトの由来」には以下のようなコメントがあります。
VHSとベータだったビデオがDVDに一本化され規格が統一されたように、電子書籍も今後規格が統一されていくでしょう。しかし、まだまだ自社で購入してもらいたいがための開発競争に各社は資金を投下していますので、規格の統一までにはもう少しの時間がかかると思います。
  1. 規格が統一されていく途上にあることを認めているのであれば、現在ダウンロード可能な二つの規格が廃れ、新たな規格が業界のメインとなった場合の対応までも考えておくべきでしょう。それとも新しい形式でまた買い直してもらいたいということなのか――その対応はこれまた非常に危険だと思うですが、如何でしょう。ユーザ視点からすれば、会員登録したユーザはいつでも無制限にダウンロードできるよう、仕様変更がなされることを期待したいと思います。
  2. カートに入れる前にファイル形式を選択させるのではなく、ダウンロードする際にファイル形式を選択させるべき
  3. 現状の仕様ではラジオボタンで「MOBI」か「EPUB3」かを選択してカートに入れるようになっていますが、電子書籍の購入に慣れていないユーザはこの選択を忘れて購入してしまう可能性が大です。やはりユーザ視点からすると、ここはダウンロード時にファイル選択できるよう仕様の変更を行った方が、上のようなユーザの過ちを回避できる可能性がより高まります。
  4. 「MOBI」形式の商品を購入した場合には、ダウンロードボタンのほかに直接Kindle端末に送信できるようにしてもらいたい。
  5. それほど難しい仕様変更ではないと思います。ユーザの情報にkindle端末のアドレスを追加してもらい、そのボタンを押すと自動的にデータを送信できるようにすれば、今のように「まず端末にダウンロードし」「それを改めてKindle端末のメールアドレスに添付して送信する」という二度手間が省け、利便性という点では、Kindleストアで購入するのとほぼ同じ使い勝手となる筈です。是非とも検討頂きたく。

――と、Wordpressでのサイト管理をしている自分としてはかなり辛口の感想を述べてしまいましたが(爆)、実はこのサイトには非常に期待しています。今のところ商品の品揃えはあくまで『悦』の蔵出しといった感じではありますが、例えばここに花房観音、岡部えつ両女史の書き下ろしなどが加わっていけば、かなり魅力的なラインナップとなっていくことは間違いない筈で、特にこのサイトに参加している作者も含めた官能小説家が雑誌などに発表したまま単行本にまとめられることなく死蔵されている短編なども積極的に加えてもらえれば――と願ってやみません。Kindleストアに自力で商品をあげている作者たちにしても、ジャケのデザインも紙本と同様、プロがしっかりとしたものを仕上げてくれるというのであれば執筆そのものに集中できることでしょう。

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