27: 香港からのパクチー便り

学期末、年度末に向けて、自分も周りも慌ただしい。こんな時は、目の前のことで頭がいっぱいになりがちだが、1通の手紙が視界を広げてくれた。差出人は、23号で紹介した友人のあいこさんだ。あいこさんは、最近家庭菜園をまち全体に広げていくプロジェクト「EDIBLE WAY ー食べられる道」に力を入れている。私たちのこの週刊パクチー通信のことも気にかけ、応援してくれている。手紙の内容は、あいこさんが旅先の香港の園芸街で聞いたパクチー情報だった。

あいこさんからの手紙

パクチーの種を手に取ったら、園芸品店のおばちゃんが、麺棒のようなもので種を軽く1回転がしてから蒔くと、芽が出やすくなると教えてくれたそうだ。種を割ると良いという話はさやかも知っていたのだが、麺棒で転がすという具体的な方法は知らなかった。早速、次に種を蒔くときに試してみたい。その園芸品店では、日本、アメリカ、中国など各国から輸入されたオーガニックの種が販売されていたという。香港でも、自分で育てた安全な野菜を食べたいという理由から、家庭菜園の人気が高まっているらしい。香港のおばちゃんとあいこさんが店先で交わしたことばが、手紙にのって、国境を越えて届くというのは、何ともたのしく、嬉しい経験だった。

私は、このような国境を越える情報の移動をはじめ、人、モノ、資本、イメージなどの移動にも関心を持っている。さまざまな技術革新により、国境を越える多種多様な移動にかかる時間や費用は大幅に減少した。その結果、多くの人が日常生活において、海の向こう側の人、モノ、資本、情報、イメージといろいろなかたちでつながるようになった。私とさやかが研究室のテラスでパクチーを育てるというローカルな活動が、友人のあいこさんが香港を旅して、手紙を送ってくれたことによって、香港の園芸品店のおばちゃんのことばの影響を受けることになったように。『フィールドワークの技法と実際 マイクロ・エスノグラフィー入門』の中で紹介されている社会学者のアブ=ルゴッドの考え方を思い出す。彼女は、ローカルな場で展開している個々人の行為、ことば、身体に刻印されたかたちでグローバルな事象も出現すると述べているのだが、そのことをしみじみと実感する。

ところで、私たちの研究室のテラスのプランター・パクチーは、この寒さの中、どんどん育っている。そろそろまた収穫して、新しいパクチー料理を試してみたい。

2017年1月11日のプランター・パクチーの様子

最後に、私たちの研究室からのお知らせをひとつ。毎年2月の初めに開いている研究室の1年間の活動の成果を展覧する「フィールドワーク展」を、今年も横浜にて開催します。週刊パクチー通信の読者のみなさまと、会場でお会いできることを願っております!

◎フィールドワーク展ⅩⅢ:たんぽぽ(オフィシャル) http://vanotica.net/fw1013/
◎フィールドワーク展ⅩⅢ:たんぽぽ(Facebook)
https://www.facebook.com/fw1013/

慶應義塾大学 加藤文俊研究室
フィールドワーク展ⅩⅢたんぽぽ
2017年2月4日(土)〜6日(月)
11:00〜21:00(最終日15:00まで)
会場:BUKATSUDO ( http://bukatsu-do.jp/
住所:〒220–8190 横浜市西区みなとみらい2−2−1
アクセス:みなとみらい線「みなとみらい」駅 より 徒歩3分 
 JR・市営地下鉄「桜木町」駅 徒歩5分

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