This is 大阪ストラット

この三連休で大阪に帰省し、短い時間ではあるが故郷大阪を堪能した。三日目の月曜日、友人と二人で昼ご飯を梅田で食べることになった。いつもの場所で待ち合わせ(阪急ユーザーなのでアズナス前がぼくらの定番だ)、手っ取り早く食べるために近場でご飯をさがす。ぼくらのお気に入りは、梅田駅改札から徒歩1分の、新梅田食道街という通りだ。「新」と言っても、1950年からずっと続く、昔ながらの食堂街だ。正式には「食道街」であり、これはホームページによると、 『ここはいろんなものを食べさせ、飲ませる店が、狭い通路に並んでいる。だから「道」』なのだそうだ。阪急梅田駅と阪急百貨店の間に位置するこの食道街は、一見汚い大阪の路地のような印象を受ける。そのため、ここには観光客も、梅田を歩くおしゃれな若者もあまり見られない。近場で働くサラリーマンや、「大阪のオッチャン」という風貌の人がほとんど。うどんやお好み焼きに喫茶店、まさに大阪を凝縮したような空間だ。その日ぼくたちは、串カツ屋でビールを飲みながら久しぶりの再会を祝うことにした。

観光客に気を遣う、外に開いた串カツ屋ではないため、「二度漬け禁止」なんて文言は見当たらない。「言うまでもない」ということだろう。横のおじさんが熱燗をおかわりすると、おおよそお酒が入っているとは思えない銀の容器からその場で注がれる。細かいことは気にしない、美味けりゃ良い。そんな雰囲気が逆に心地よかった。前に並べられているアルミの箱に、次々と串カツがあげられていく。定期的に、「若鶏美味いから食べーや」と、頼んでもいない串カツが投入されてくる。タダでサンプリングでもしているのかと思ったが、大阪の街にタダなんてあるわけがない。食べるともちろん料金を請求されるが、他の客を見るとみな黙って食べているようだった。大阪の串カツ屋ならではの光景だ。

食事を終えてビールを飲みながら、ふとタバコを吸いたくなったので店員に「灰皿ありますか」と聞いてみた。「ないない、下にポイしといて」と言われて、呆気にとられた。よくよく周囲を観察してみると、みんな平然と灰を地面に落とし、タバコを踏みつけて消している。ここでは床全体が灰皿なのだ。店のしきたりに倣ってタバコを地面に落とすと、とても悪いことをしている気になったが、それも慣れると案外悪くない。灰皿を洗う手間より、後で床を掃く方が幾分手間がかからないという判断なのだろうか。「衛生的によくない」といった正論が、「だからなんやねん」と一蹴されてしまいそうな空気に、思わず笑ってしまった。

店を出て喫茶店に向かい、メニューも見ずにアイスコーヒーを頼む。ものの一分ほどで店員がアイスコーヒーを持ってきて、せわしなくシロップとミルクを机に置く。大阪のおばちゃんはせっかちだ。1時間ほど談笑して、お会計を済ませようとすると、「600円です」と言われた。ぼくは思わず、「二人分でお願いします」と応えると、「600円ですよ」と返された。関東の物価に慣れていたのか、コーヒー1杯300円という価格に驚かされる。店をあとにしながら、「ええなぁ」とふと郷愁に浸り、ひとり新大阪に向かった。

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