Yu Momosaki
Aug 18 · 5 min read

再生案件のコストカット

最近、翻訳作業で手一杯で、なかなかブログ更新しておりません。。。ブログにありがちですが。。。

ですが、久しぶりに記事を書こうと思うモチベーションが上がる話があったので、コンサルティングの業務のひとつ、再生案件に関する内容を。

コンサルティングって絶対的な国家資格的なものが少ないこともあり、猫も杓子も名乗ってる傾向がありますが、俗に言う「経営コンサルティング」の領域のうち「再生案件」についてです。私達は基本的に再生案件は過去も今もあまり手掛けることは無いですが、同じファームで扱っていたり、周囲にそういったところを主力にしている会社が多かったりする関係で、情報は入ってきます。

そんな再生案件でよく出てくる話のひとつが、「コストカット」。コストカットという論点は再生案件に限らないですが、ビジネスに構造的な問題を抱えている状況では、(特に現状に精通していない第三者にとって)手をつけやすいという理由で、再生案件では一丁目一番地になりやすい論点です。

そういう状況でのコストカットの話を客観的に聞いていて、どうなのかなあと思うことがこれまでも非常に多いのが実情でした。直近の話は特に象徴的だったので、これまでの経験も含め、違和感の主要な2点を整理してみます。


「コストカット」の定義が曖昧であること。

「コスト」に似たような日本語、「支出」「損失」「費用」「原価」「経費」「投資」。このあたりを即答かつ明確に定義づけ出来ない方のコストカットは経験上、要注意だと思います。単に支出を減らしてしまうと、関連する収入まで(長期的には)毀損してしまうことも多く、特にコーポレート・ファイナンスの知識が無いまま、会計ちっくな知識だけでコストカットに邁進する場合にこういうミスがよく発生するように見受けられます。

コストカットの際に、「金額の大きいもの」かつ「短期的に直接的な収益関連性が低い(ように見える)もの」に片っ端から手をつけようとする方も多いようですが、「月次部門別」のような人為的に仕分けされた情報をもとにこういった判断でコストカットをすると、大きな判断ミスをしてしまうように思います。

コストカットとは、シンプルに、「活きてない金を減らす」ことです。

そういう意味では、年次単位で会計処理上「損失」になったもの、「支出」が大きいもの、勘定科目別に見て大きい額の「費用」、割合の大きな「原価」や「経費」、大きな額の「投資」といったものは、それだけで「活きていない」とは判断できない。あくまでも、プロジェクト単位での収支判断のみが、コストカットの可否を判断する基準になるのが原則だと考えています。

正義感からくる「聖域バイアス」

正常の状態だと、どうしても「経営層のコストカット」よりも「現場層のコストカット」が優先されがちです(すばらしく自律心のある経営状態にある会社を除く)。これが、再生状況のコストカットになると、「聖域をなくそう!」ということで、「経営層のコストカット」にもメスが入りがちで、これは歓迎すべき状況だとは思います。

が、正義感に燃える第三者が絡んだ際にありがちですが、平時の「経営層の聖域化」が、有事に伴って「現場層の聖域化」になってしまうケースも見受けられます。例えば、「経営層の交際費月間300万」と「生産管理ツールへのメンテナンス費用月間400万」だと、特に再生のような有事の状況においては、前者に飛びつく方が圧倒的に多いように感じます。

たしかに、道義的にはその方が良いでしょうけど、再生状況にあるような企業においては、ほぼあらゆる支出の構造が狂ってしまっているケースが多いので、必ずしも前者が優先されるとは限らない。(フタを開けてみたら、交際費は粗利1000万の案件を維持するためのコスト、メンテナンス費用は事務職が外注先担当と仲が良いのでなんとなく使っていた費用だった、なんてことはザラにあります)

にもかかわらず、正義感に燃えて「聖域をなくし」「現場の意見を取り入れて」という「正しいテンション」で事に臨むと、残念ながら「単に一時的に聖域が逆転しただけ」のコストカットになってしまう。その場は良いかもしれませんが、後で振り返ると事業に致命的なダメージを与えてしまう可能性があることは、そういったコストカットの後の事業を見た経験から、間違いなくあると断言できます。


「コストカット」が論点に上がったら、「正確な知識」と「豊富な経験」に裏付けされた「クールさ」が主導者にあるかどうか、観察してみると先が見渡せる可能性が上がるかもしれません。「いくつかの成功事例」だけを頼りにしてコストカットをしていたら、それはあまりにもリスクが高いと考えます。

610g

SWANOIRのブログ。Mediumなので、固まってない考えを連想ゲーム的にとりあえず書いていってます。文脈も多々飛びますがご容赦ください。

Yu Momosaki

Written by

CEO of SWANOIR LLC

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