コンビニのコーヒーは、一杯1000円のコーヒーよりも美味い。

アメリカ発のコーヒーに対する新しい考え方「サードウェーブ・ムーブメント」が少しずつ日本にも上陸しつつありますが、スターバックスの次の新しいコーヒー文化は、コンビニで買える淹れたてコーヒーから来るのではないかと指摘する人たちがいます。

数字だけを見ても、2014年、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、サークスKサンクス、そしてミニストップの計5社は、合計で15億杯のコーヒーを販売しており、この販売数は2013年の2倍以上、さらに全日本コーヒー協会によれば、2014年度のコーヒー国内消費量は過去最高の44万9900トンにまで伸びており、缶コーヒーやペットボトルよりも安くてクオリティが高く、淹れたてがすぐ飲めるコンビニコーヒーは、アメリカのサードウェーブやスターバックスとは違った、新しいコーヒー文化を日本に根付かせてくれるのかもしれません。

安くてクオリティの高いコーヒーは、今までコーヒーを飲む機会がなかった人にまで、コーヒーを飲む機会を与えましたが、コーヒーハンターであり、実業家でもある川島良彰氏によれば、コンビニの100円のコーヒー、街のカフェや喫茶店の300〜500円のコーヒー、そして高級ホテルの一杯1000円のコーヒーの味はそれほど変わらず、むしろ高級ホテルのコーヒーの方が、数杯まとめて淹れて保温し、それを出しているところが多いと言います。

さらに、今までコンビニのコーヒーと言えば、男性をターゲットにした缶コーヒーでしたが、缶コーヒーの市場は3年連続で減少しており、現在、家庭で飲まれるコーヒーを除いた日本のコーヒー市場は年間約295億杯で、約半分の140億杯が缶コーヒーですが、将来的には、この割合が変わってくる可能性があるとして、コーヒーハンターの川島さんは次のように指摘しています。

「テレビで放映されているコーヒーのCMを観て驚くこと、販売されている商品を見て首をかしげることはしばしばです。“ロブ(ロブスタ)とアラビカの融合”などというコピーを耳にするたびに、CMディレクターはコーヒーの専門家ではないかもしれませんが、そのCMを発注しているコーヒー会社や飲料メーカーの広報担当者でさえ、コーヒーをわかっていないのでは・・・と、がっかりします。消費者を侮ってはいけません。」

街のカフェにしても、高級ホテルにしても、一杯のコーヒーにあと10円掛ければ、コーヒーは劇的に美味しくなると言われますが、とにかく利益重視の経営の場合、まずは原料の値段から入ってしまうため、どんどん原料のコストを切り詰めることで、味が落ちるという負のスパイラルにハマってしまい、値上げしてもお客さんを説得する自信がないのが本音のところのようです。

1990年代、コーヒーを飲む人が格段に増えたのは、スターバックスの貢献度が大きいですが、CEOのハワード・シュルツは、「私たちのビジネスはコーヒー・ビジネスではなく、人間ビジネスだ。」と述べており、スターバックスのコーヒーが美味しいかどうかは、人それぞれですが、スターバックスに行く人はコーヒーの味が目的と言うよりは、店舗の空間や店員のフレンドリーな対応に惹かれて通う人が多いようにも感じます。

スターバックスはコーヒーとは別のところで付加価値をつけましたが、安くてクオリティーの高い、コンビニのコーヒーのレベルがどんどん上がってきていることで、コーヒーに300円、500円、そして1000円を払う価値があるのか、コーヒー業界の真価が問われることになりますが、コンビニのコーヒーにしても、家庭で飲むコーヒーにしても、まだまだ美味しくなる余地が残されていると言います。

そういった意味でも、消費者が本当のコーヒーの味に気づき始めたのかもしれません。どんな商品やサービスにしても、日本人がマーケティングやブランディングのコンセプトに惑わされず、物事の真価を見極められるようになったら、もっともっと日本は面白くなると思うけどな。

参考:川島 良彰「コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味いのか。」(ポプラ社、2015年)

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